出会い
少年は 花束を
少女は ────、
パチリと瞳が開いた。
瞼は重く 手足は震える。
まるで何年もベットの上に居たような、そんな感覚だ。
太陽が眩しく、目を細め周りを見渡した。
行き交う人々、子供のはしゃぐ声。
風で揺れる青々とした木。
車が沢山通る。
ふと、少年は違和感を覚えた。
自分の知っている街ではないと。
ポケットのスマホは充電切れで、見渡した先の看板には静岡の文字。
少年の出身は、東京。
何故ココに居るのか、考えてみても頭痛が酷く。
まるで考えるなと、言われている様だった。
嫌な汗を拭き、静岡の文字を見る。
静岡に来た記憶はどこにも無い、ましてや、金銭など持ってもいない。
頭痛は止まず、混乱は収まらない。
妙に喉が乾くし、泣きたくもなった。
カサッ……。
手元から、紙の様な音がし、目線を下げる。
「────何だ、これ……?」
手元には見覚えのない花束が握られていた。
持ち上げてみると、ふわりと花の香りがし。
枯れてもいない。
黄色や淡い桃色 白といった、色とりどりの花が オレンジ色の紙に丁寧に包まれていた。
「……こわ……」
なんの見覚えもない花束を捨てようと、近くのゴミ箱に移動した。
が、何故か 捨ててはいけないと 体が拒んだ。
じわりと額に汗が滲み。
手が震える。
捨ててしまったら、何かを失う様な気がしてならなかった。
「…もう少し、持っていよう……」
自分がココに来た記憶はない。
もしかしたら、誰かに会いに 花束を持って来たのかもしれない。
無理に自分にこじつけた。
浅くため息をついた少年に、一つの声がかかった。
「お兄さん、可愛らしい花束を持ってるね」
静かな 落ち着いた声だった。
後ろを向けば、生きているのかと疑う様な少女が居て。
肌は普通よりも断然白く 瞳は金色 白髪の柔らかそうな髪で、着用している黒のスーツがいっそう少女の白を引き立てていた。
これが、僕と少女の初めの出会い
ありがとうございます
まだ続いていきます