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少女選択

「友の命って……相手はひょっとして、熊?」


「いや……大イノシシだ」


「……へっ? イノシシが、人の命を奪ったの?」


「人の? ……ああ、すまない、言い方が悪かったか。死んだのは、飼い犬だ」


「……犬? なるほど、友って、そう言う意味か」


 ちょっとほっとする。


「ああ。山嵐はこの辺りでは有名な大イノシシで、畑の作物を食い荒らす。頭が良くて、なかなか罠にもかからない。月の出ていない夜に限って、奴等の仲間と人里まで降りてきてやりたい放題だ。罠の効果がないならば、我々としても対応策が思い浮かばないんだ」


「……うーん、それは全くの専門外だなあ……イノシシ退治、か……ネットで調べるとしても、今日はもう夕方になっているし、間に合わないか……」


「ねっと?」


「あ、いや……仙界で調べないと、という意味だよ。早くても明日の日中に準備を調えて、夜中に迎え撃つ……そんなに簡単じゃないだろうけど」


 正直、その時点では、熊退治ならともかく、イノシシ退治ぐらいなら大して危険はないだろうと甘く考えていた。


 ただ、さすがに猟銃を使えるわけではないので、具体的にどうするかまでは考えが至っていなかったが。


「と、いうことは……協力してくれる、ということなんだな? けど……どうして貴殿は、そんなに私達に良くしてくれるんだ? 今日知り合ったばかりだというのに……」


 ナミが、笑みと戸惑いが同居したような微妙な表情で俺に尋ねてきた。


「えっと……この地の事を、もっと良く知りたいと思っているし、あと……罪滅ぼしもしないといけないし」


「罪滅ぼし? 仙人様だから、下界の様子を知りたいっていうのは分かる気もするが……罪って、一体……」


「えっと、今朝、その……」


「……分かった、『のぞき』だな!」


 ナミが、得意げな表情でそう叫んだものだから……俺は顔が熱くなるのを感じたし、ユリ、ハナの二人も赤くなっていた。


「ははっ、もうそんな事気にする必要ないのにな。二人とも、なんとも思っていないだろう?」


「あ、はい、あのときはビックリしてしまっただけで……ちょっと恥ずかしかったですけど、そんな、その……嫌な感情なんて全くないですよ」


 ユリは赤くなったまま、両手を広げ、顔の前で交差させて否定した。


「私も一緒です、むしろそれで仙人様と知り合いになれたし……嬉しいです……」


 ハナはうつむきながら、そんな俺にとっても嬉しい事を言ってくれた。


 それがきっかけで彼女たちと打ち解け、話が弾んだ。

 彼女たちが聞きたがったのは、やはり仙界、つまり三百年後の現代のこと。


 馬なしで勝手に走る『自動車』、空を飛ぶ乗り物である『飛行機』、さらには人類が月にまでたどり着いている話。

 そこには全員食いついてきて、自分達も行ってみたい、沖田様は行ったことがあるのか、など、かなり盛り上がった。


 そこから発展して、この地球は丸いというような壮大な話から、好きな食べ物といった、たわいもない話まで。


 嫁はいるのか、という話はもちろん否定。


 そして彼女たちが花嫁修業中であること。


 ナミをのぞいて、あまり若い男と話をしたことがない、ということまで普通に、気軽に会話することができた。


 ちなみに、彼女たちの名前の書き方が判明。


 男勝りな性格の長女は『波美(ナミ)』、長い髪で、とびきり可愛い次女は『優里(ユリ)』、そしてちょっとあどけなさも残る三女が『葉菜(ハナ)』だった。


 夕食が終わり、俺は一旦、現代に帰ることを告げた。

 すると三人は、お風呂に入っていくよう勧めてくれた。


「申し出はありがたいけど、仙界でも風呂、用意してくれているから……」


 とやんわり断ると、


「そうか? 私達の誰かが背中を流して差し上げようと思ったんだけどな……」


 波美のその言葉に、ぴくりと反応してしまう俺。


「……なっ、言った通りだろう? 若い男は、こういうのに弱いんだ」


 と、波美がニヤリと笑みを浮かべた。


「い、いや、そういうわけでは……」


「今日一日世話になったんだ、そのぐらいさせてくれないか?」


「え、えっと、その……君たちは服、着てるんだよな?」


「ええ、腰巻きは付けて入りますから、お気になさらずに」


 優里がニッコリと微笑みながら答えてくれた。


 ふう、良かったような残念なような……って腰巻き!?

 それって……上半身は裸、っていうことなのでは……。


 俺はこの時代の文化について、結構詳しく調べていた。

 そして知っていた……この時代の女性は、特に上半身については、裸を見せることは現代で言うところの水着姿を見せるのよりも抵抗が少なく……地方では、平気で胸を出して農作業なんかをしてたっていうことを。


 と、いうことは……こんな美少女が上半身裸で、俺の背中を流しに来てくれるのか?


 そんな俺の表情を、ニヤニヤと波美が見つめていた。


「仙人様……ここは私達のお礼だと思って、そうさせてくれ。ただ、選ぶのは一人だけにして欲しい。その方がより親密になれるしな」


 挿絵(By みてみん)


 ドクン、と鼓動が跳ね上がった。


 上半身裸の女の子と……浴室で二人っきり?

 しかも、誰を選んでも相当な美少女だ……。


 俺の期待は、MAXまで高まっていた――。


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