★坑道の死闘
ここから先の戦闘は、わずかでも判断を間違うと生き死ににかかわる……。
と、その男は、一瞬剣を引き、そして首元に鋭い突きを放ってきた。
恐ろしく速く、伸びのある突きだった。
俺は籠手をはめた腕を十字に組んで、剣を跳ね上げて何とか凌ぎ、反撃の蹴りを放った。
……しかし、男が体をひねって直撃を避けたため、有効なダメージ与えられない。
男は、俺の体の右側から、剣を跳ね上げるようになぎ払って来た。
飛び退いて後方に逃れ、何とか難を逃れたのも束の間、敵は畳みかけるように細かな連続攻撃をかけてくる。
右腕はまだ大イノシシと戦ったダメージで、回復していない。
じりじりと後退し、後がなくなってくる。
何とか反撃しなければ……。
俺は思いきって大跳躍し、膝蹴りを放つという賭に出た。
しかし、飛び上がる俺を見て、男はニヤリと笑った。
次の瞬間、男は高速の剣を走らせた……しかし、それは俺を捕らえることはなかった。
俺は壁を蹴り上げて、跳躍の軌道を変えていたのだ!
そのまま膝蹴りを相手の頭部に叩き込もうとしたが、左腕でブロックされてしまう。
それでも、いくらかのダメージは与えられることができたが……まだ決定的ではない。
しかし、相手もこちらの攻撃をいくらか警戒するようになり、あの畳みかけるような攻撃は一時的に中断した。
ここにきて、膠着状態に陥ってしまった。
先に隙を見せた方が、致命的なダメージを負う……。
空気が凍り付いたような緊迫感の中……全く予想外の事態が起きた。
「うっ……!」
男の顔面が白く照らされ、右手で目の前を塞ぐ。
千載一遇の好機だ!
俺は目が眩んだ男に一瞬で詰め寄り、よく見えぬまま放たれた袈裟切りを躱して、ナックルダスターでその顔面を殴り飛ばした。
「うぐはっ……!」
顔面を砕かれたその男は、大の字になって気絶した……俺の、完全勝利だった。
――息を切らせ、振り向くと……そこには、LEDライトを右手に持った優里が、涙を溜め、震えながら座っていた。
「優里……ありがとう。君が奴の顔を照らしてくれたおかげで、倒す事ができた……」
「いえ、あの……私、ただ夢中で……夢中で……」
それ以上は声にならない。
俺は彼女の側に行き、その小柄な体を抱き締めた。
「……勇二さん……ありがとうございます……一人で刀を持った相手を全員倒すなんて……凄すぎます……でも、無茶でした……」
「……あ、ああ……いや、俺は、大事な人を守るために、小さい頃からずっと武術を習って来たんだ」
「えっ……勇二さんは、お医者さんを目指しているんじゃあ……」
「武術の修練をしていると、怪我も多いからね。もともと父親は、そういう怪我を直す医者なんだ。だから、今日……ここで戦う事は、天命だったのかもしれない」
「……そうだとしても、私なんかの為に……」
「危険な目に遭っているのが、君だったからこそ、だよ……」
……優里は、再び声が出せなくなった。
ただ、俺に抱きついて、ずっと泣きじゃくっていた――。
その後、何とか歩けるようになった彼女と共に、剛田部家へと戻った。
驚きと喜びの表情で、波美、葉菜、そして彼女たちの両親は俺と優里を出迎え……
そして俺が、盗賊四人を廃坑で倒し、優里を助け出した事を告げると、使用人も含めた全員で俺に感謝し、褒め称えもしてくれた。
しかし……優里は、大きな怪我こそしていなかったものの、精神的なショックのためか熱を出し、寝込んでしまった。
俺も、命をかけて四人の盗賊と戦った疲労は相当なもので……この日と翌日は優里と寝食を共にするはずだったが、
結局俺も客間で眠りこけてしまった。
その後、おぼろげな意識の中、三百年後の俺へ宛てた地図とメッセージを書き上げ、代々伝えるように託した。
一同、三百年という年月に少し驚いていたが、必ず恩に報い、伝えて見せると約束してくれた。
その言葉に安心し、俺は再び眠りについた。
※ゲームの場合、選んだ女の子や、選択コマンドによって、戦闘内容は変わってきます。




