EP.** 光の巫女
『人間共の中で、光臨祭についてきちんと理解をしている者はどれくらいいるのだろうか。
きっと、ほとんどいないはずだ。
一部の貴族が祖先から受け継いできた伝統を守って行うお祭り。
表向きではそう言われているらしい。
だが、違う。
本当は、最高神に捧ぐ光の巫女を見つけるためだ。
光の巫女、とは言うが要するに生贄である。
二度と捧げられた少女は戻らないのだ。
そのため、かなり幼い子を使う。
まだ何も理解できない子ならば逃げることはしないからだ。
候補の娘の親の気持ち?
そんなのを貴族は考えない。
親を騙し、娘をさらうのが貴族の役目である。
しかし、10年前。物心ついてほんの少しの娘が逃げだしたのだ。
貴族の娘で、大人びていてもおかしくはなかったが、隔離していたという。
親の話からして逃げ出すのはおかしい。
そのため、致し方ないが、レオニーに追わせた。
──でも、レオニーは、その娘を両親の元に返した。
それはいけない、禁忌の事だった。
レオニーについてはその後処分をした。
少女の記憶もその親と相談し、ある程度消した。
でも、少女も成長するのだ。
いつまでも外に出さないというわけにはいかない。
そこで、レオニーにももう一度チャンスを与えた。
すると、どうだろうか。
少女はレオニーを思い出した。
レオニーはしばらくして少女を思い出した。
最高神もこれには苦笑いだった。
そこで、少女は光の巫女となり、レオニーをその夫にした。
まあ、私はあまり快くは思わなかったが……。
──初代・光の巫女の日記』
少女は光の巫女としてどんどん成長していきました。
レオニーはお許しをもらい、少女──254代目光の巫女と結婚しました。
二人はいつまでも幸せに暮らしました。