第七話:真夏に始まる風物詩!?
すみません、更新がだいぶ遅れました。
その分、良い物ができたと自分では思っています。
この話を読んだ感想や評価をドシドシ書いてくだされば光栄です。
−視点:狂弐−
今は夏休み前の自宅学習ってことで学校がねぇ。
まだ初夏だと言うのに連日35度を突破するという異常気象。
それに突き刺すような殺人光線が降り注ぐ炎天下の中、窓を全開にしたリビングで俺は本を読んでいる。
「キョウ〜・・・暑いぃ〜」
「そりゃ夏だしな」
「違うよキョウ部屋が暑いって言ってるの〜、エアコンつけてよ溶けちゃうよ〜」
殺人光線の餌食になっているセフィがクーラーを入れろと騒ぎまわっている。
騒がしい奴だな。そんなに暑いのが嫌ならそんな日のあたるところにいるんじゃねぇ。といっても絶対に動かないだろう。なぜなら
「扇風機の前に座り込んでいるやつがなにをほざいてやがる」
という訳だ。
せっかく人が読書してるって言うのに。
でも、確かに今年は例年に比べて格段に暑い。
けど、窓を開けとけばそこまででもない。
風も吹き込んでくるし、カーテンをすれば殺人光線も幾分和らぐ。
そこに扇風機があれば十分快適だ。
扇風機の前に居るバカは動く気配は一向にないがな。
俺は今、ゆっくり読書がしたいんだ!
「だって〜風がないと暑いんだもん〜」
「・・・・・・暑くなくなりゃいいんだな?なら俺が身も凍るような話をしてやるよ」
「ほぇ?どんなお話?」
「怪談話さ・・・・・」
俺はそう言って静かに語り始めた。
そう、それはわりと最近の出来事だ。
とある青年がいつものごとく塾を終え帰路に付いていた時の事。
塾は終わるのが遅く、青年が家に着くのはいつも真夜中の12時を過ぎる。
その日もいつも通り、塾が終わったのが夜の10時。
青年はいつもと変わらない帰り道を歩いていた・・・・はずだった。
だがいつの間にか青年はまったく知らない道を歩いていたのだ。
そのことに気づき、すぐさま引き返そうとしたが、青年は今まで自分がどの方向から歩いてきたのかがまったく分からなくなっていた。
困り果てた青年は、誰かに道を尋ねようと適当に進み始めた。
しばらくすると、十字路で一人の老人に出会った。
その老人は薄暗い夜の闇の中でも一際目立っていた。
しかし、青年にはそんなことを気にする余裕はなく、その老人に駆け寄ると
[○×通りに出るにはどう行けば良いのでしょうか?]
と尋ねた。
すると老人は、自分が歩いてきたであろう道を指してこう言った。
[ここをまっすぐに進めば出られますよ。ただし、何があっても十字路では決して立ち止まらないでください。]
青年は老人にお礼をいい、老人が指差したほうに駆けていった。
老人と別れてしばらく行くとさっきと同じような十字路に差し掛かった。
青年は老人に言われたとおり立ち止まらず、通り過ぎようとしたとき
[もし、ここいらで黒い鞄が落ちてはおりませんでしたか?]
という声がして、十字路の真ん中で声のした方へ振り向いた。
そこには190センチはあるのではないかと思われるほど背が高く、背広を着込み、つばの広い帽子を深く被った男性が立っていた。
男性はキョロキョロと辺りを見回すようなしぐさをすると、近くの電柱に立てかけられるように置かれた黒い手提げ鞄を見つけ、それを取りに行った。
[いやぁ、すみませんねぇ呼び止めてしまって。]
青年はなんて答えていいかわからず言いよどんでいると
[あぁ、私ちょいと急ぎの用がございますので失礼させていただきます」
とだけ言い残し、暗い夜の道の彼方へ消えていった。
それから青年がしばらく行くと、また十字路に指しかかった。
[おや、あなたは先ほどの]
また唐突に声を掛けられた。
先ほど同様に立ち止まり、声のする方を見るとさっきの男性がそこに立っていた。
よく見るとその男性は仮面を被っており、素顔はわからない。
[失礼を承知でお願いがあるのですが、聞いてはもらえぬでしょうか?」
なにやら男性は忘れ物をしてしまったらしく、急ぎ取りに戻らなければならないらしい。
しかし、それには鞄がどうしても邪魔になるということなので、鞄をもって先に行ってて欲しいとのことらしかった。
青年は困っている者をほおって置ける性格ではなかったため、それを快く引き受けることにした。
青年が鞄を受け取ってからしばらく歩くとまた十字路に差し掛かった。
今度は男性が先に十字路に着ており、青年から鞄を受け取ると深々とお辞儀をして去っていった。
それからまたしばらく進むと、同じような十字路に行き着いた。
青年がこの十字路はいつまでつつくのだろうか、いつになれば元の通りに戻れるのだろうと考えていると、前の道から先ほど分かれた男性が歩いてやってきた。
いい加減不審に思い
[ご用時の方は大丈夫なのでしょうか?]
と尋ねると、男性はゆっくりと仮面に手を掛けながらこう言った。
「あなたは、四つ路で同じ者に四度合うことの意味を知っておりますかな?」
青年は男性から目を離さないようにしながら首を横に振った。
[それは・・・・・死界、つまりは冥府へ誘われるということですよ。]
男性はそういいながら仮面をはずした。
その顔は、自分と同じ顔でその手に持っていたはずの黒い鞄はいつの間には柄の長い鎌に変わっていた。
青年は、少しずづあとづさりをして距離を取ろうとした。
すると何かにぶつかり振り返るとそこには最初に出会った老人が居た。
しかし、その老人はすでに赤く染まったその手で青年の首をつかみ、鬼のような形相で
[何があっても立ち止まるなと言ったのに]
と、それだけ言うと彼の目の前で首を飛ばされ、青年を真っ赤に染め上げたあと、落ちた頭は断末魔の叫びをあげながら青年の首に噛み付いた・・・・・・・・
その後、その青年の姿を見たものは誰も居ない。
今でも、その青年が最後に通った道を通るととこからともなく断末魔の叫び声が聞こえて来るそうだ。
「どうだ?少しは暑さも紛れただろ」
俺の話を聞き終えたセフィは青い顔をして震えていた。
いつ間にやら集まってきたリアやイャクウ達も同様に震えている。
「こ、怖かった〜・・・・」
「キョウジさんの話し方がもう・・・・・・・」
ふぅ、たまにはこうやって怪談話するのもわるかぁねぇ・・・が、しかし、人の事をなんだかんだ言ってるこいつらがちょっとむかつくな。
なにが「本物のお化けみたい」だ、このやろう。
「てめぇら、悪さばっかりしてるとその青年みたいに冥府に連れてかれちまうぞ」
ありもしないことを適当に言っただけなのだが、セフィたちは相当びびってる。
こいつら怪談苦手なのか・・・・よし、今度からなんか問題起こしやがったら縛り付けて怪談話録音したテープを永遠流し続けてやるか。
「そ、そんなバカなことあるわけないよ・・・・なぁフィル!」
「も、もちろん!」
あんたら声裏返ってますよ?
「もしかしたら、チャイム押して悪い子迎えに来ましたって来るk【ピンポーン】」
「「「「「「!!!!!!!!!!??????????????」」」」」」
お〜すげータイミングでの訪問者だな。
で、どうでもいいが全員で俺にしがみつくのやめろ。動くに動けねぇ・・・
バカ共を気合で振り払いインターフォンの元まで歩いていく・・・両足にしがみつくな。
「だぁ!てめぇらどけ!でれねぇじゃねぇか!」
「いやぁ!だめぇ!!いい子にしてるから連れてかないでぇ!!!!」
「おねがいします、追い返してくださぁぃぃぃぃ!」
半泣きで俺にすがりつくセフィとイャクウ
本当に迎えに来たわけじゃねぇよバカ
俺がインターフォンについているボタンを押すと
「迎えに来たぜー!!」
とか、バカみたいに元気な声が聞こえてきた。
俺には殉の姿が見えてるからなんとも思わないが、後のメンバーはマジでパニックだ。
「ほ、本当に迎えにきたぁあああああああああ!!!!!!!!」
「いやぁああああああああ!!!!!キョウの言うこと何でも聞くから!!」
「てめぇらうるせぇ!!!!少し黙れ!!!」
ソファのクッションの下に隠れているメシアや抱き合って震えているフィルやフィヴ、リアは完全に気絶してる。
あ〜めんどくせぇ!!!
「殉!あがって来い!セフィとイャクウはいい加減離れろ!メシア、ちょっとリアたたき起こせ!」
一喝して、混乱を収めてからソファーに座りなおす。
疲れる・・・・ん、そういや殉のやつ、迎えに来たとか何とかほざいてやがったよな?
「オッス狂弐!!今年もアレの季節だ!早く行こうぜ!!」
「アレ・・・・?あぁ、アレか!そうだな日ごろのストレス発散といこうじゃないか!」
やべぇな、すっかり忘れてたぜ。
夏、会談とくればもうアレしかない。
会話に花を咲かせてる俺たちを他所にセフィ達は状況が今一理解できていない様子だった。
「キョウジさん、さっきから言ってるアレってなんですか?」
気絶から復活したリアがそう尋ねてきた。
そういやこいつらは知らないんだっけな。
「お前、夏に怪談話ときたら次はもうアレしかないだろうが」
全員頭の上にはてなマークでも出してます的な顔してやがるな・・・・まぁしょうがねぇか。
「「百鬼夜行だ!」」
俺と殉が見事にハモった。
こいつ、学校ではいつも弄り倒してるのによくもまぁ、ここまでポジティブにいけるな。
それにここまで俺と息が合う奴も珍しい。
実はマゾですとかいうなよ?気持ち悪いから。
「「「「「「百鬼夜行?」」」」」」
「なんだ、テメェらしらねぇのか?」
「いいんじゃないのか狂弐?行きゃわかることだし」
「それもそうだな、よしお前ら、これから出かけるから武器もってこい」
あいかわらずなにがなんだかわからない様子だが俺の言葉に各自、武器を取りに言った。
その間に“百鬼夜行”について説明してやろうじゃないか!!
普通、百鬼夜行ってのは深夜の町を集団で徘徊する鬼や妖怪の群れ及びその行進のことを言うだろ?。
だが!!こんな真昼間からそんなことやるわけねぇ!
これから起こる“百鬼夜行”の正式名は“百鬼夜行・バトル・トーナメント!!”通称CBT。
どうだ、こんなの誰も予想してなかっただろ?
最初、CBTのことを知ったとき俺も唖然としちまったのを覚えてるさ。
ドタドダドタと言う足音とともにリビングにリア達が戻ってきた。
「よし、そんじゃま、いきますか」
俺たちはまず学校へ向かった。あ、もちろん武器は大っぴらに持ち歩くとやべぇからギターケースやらにしまってある。用意周到だろ?全部殉に用意させたんだがな!!
学校の正門に着くと、今度はそこから10分くらい歩いたところにある空き地に向かった。
いや、空き地だった場所に向かったと言った方がいいのか?
今俺らが居る場所は、PASSING SHOWERという名のカフェに居る。
PASSING SHOWERというのは通り雨という意味らしい。
どうでもいいか。なぜ俺たちがこんな店に来ているのかというと。
「すみません、百鬼夜行の参加登録お願いします。」
ウェイトレスらしき女の子にそう言って俺たちは適当な席に着いた。
「あの、キョウジさん。これからなにがあるのか教えてもらえませんか?」
「ったく、しょうがねぇな」
俺はさっきした説明をもう一度こいつらにしてやった。
まぁ、さっきはこいつらいなかったんだけどな。
一通り説明が終わると香織と聖子が店にやってきた。
「どうも、こんにちは皆さん。」
「応援に来てあげたわよ」
香織は相変わらず性格がきついな。
「うるさい!」
おっとまた口に出しちまったぜ。
・・・・ん?気づかれちまったか?わざとに決まってんだろ。
投擲されたスーパーボールを見事にキャッチして聖子に渡す。
香織に渡したらまた飛んできそうだかなら。
「皆さん登録のほうはお済になりましたの?」
「いんゃ、まだっすよ聖子さんやっぱ登録は全員そろってからじゃないと。」
やっぱここに来ると空気が違うな、何かピリピリした感じがする。
「あの、ショウコさん。さっきから登録とかなんのことを言ってるんですか?」
「あら、キョウ君説明してないのですか?」
「一応はしてもらったんですがよく分かんなくて・・・」
「そうですか、では私が少し詳しく説明させていただきますね。
百鬼夜行・バトルトーナメント(CBT)とは!?
これは、毎年夏に開催される特殊な空間で行われる最強決定戦なんです。
個人戦、団体戦と分かれていて両方に出ることが可能です。
個人戦では文字通り一対一で戦い、最強を決める戦いです。
団体戦は三人一組で戦い、チームのリーダーがやられた時点で負けるという形式で行われます。
戦闘は特殊な空間で行われるため、殺されても肉体にはなんら支障はありません。
勝利条件は相手を倒す、気絶させる、戦闘不能な状態にする三通りがあり、なにをしてもかまいません。
その空間の強度は星が大爆発を起こしても揺らぐことがないほどと言われていますので、どれだけ暴れても問題はありません。
参加者は色々な場所から来るので、もしかしたら知り合いが居るかもしれません。
優勝者には豪華な賞品が渡されます。
と言ったところでしょうか」
聖子が丁寧に説明を終えたところで登録用紙が届いた。
「聖子は団体だけだったよな。んで、俺と殉が個人もっと・・・んで、お前らはどうすんだ?」
「え、ボクたちですか?えっとイャクウ、メシア、どうする?」
「僕は団体でなら出てもいいけど、個人戦は遠慮しとくよ。」
「両方でる・・・・・・・」
「じゃぁ、ボクも両方でお願いします」
俺は登録用紙にリア達のフルネームともと居た世界を書いた。
登録に必要なんでね。
「あたしたちも出るよ!」
セフィが無駄にでかい声を上げた。
「「僕達は魔王様にお任せしますが、個人戦は参加しません。」」
さすが双子、よくハモるね。
「んで、セフィは団体だけか?」
「両方でる!」
スコーンを食べながら俺は登録用紙に記入していく。
「ちょっと狂弐!あんたなんでスコーンなんて食べてるのよ!」
「ここのスコーン美味いから。」
「そうじゃなくていつ頼んだって聞いたのよ!」
「あぁ、俺、ここのお店の常連だから。俺が来る=スコーン+ティーセットって決まってた」
「そんなの聞いてない!あたしの分は!?」
ギャーギャーと騒ぐ香織を無視して登録用紙をウェイトレスの女の子に渡した。
すると、女の子はこちらです。と言って店の入り口とは違うドアを開け中に入るよう促してくれた。
「なにしてんだ、会場行くぞ」
今だ騒いでるバカ共に声を掛け会場へ足を踏み入れた。
やべぇ、胸が高鳴るわ。
年に一度のお祭りだからな。
会場は、RPGによく出てきそうな酒場を何倍にも大きくしたようなつくりで到る所に液晶画面が取り付けられ戦闘観戦ができるようになっている。
「うわぁ、すごい人だね・・・・」
リア達が関心していると・・・
「狂弐、今年も来たな。」
野太い声が俺の名前を呼んだ。
その声のするほうを見ると、屈強な男がこちらに手を振っている。
「よう、ゼウスさんにオーディンさん、ラーさんも。今年は勝てそうですかい?」
その名前に驚いたのは他でもないリア達ご一行。
「か、か、神が、なんで神が普通にこんなところで酒のんでるんですか!?」
どの世界でもユグドラシル説はあるらしい。そのせいかセフィ達もオーディンを指さして固まっている。
「がはは、よかったなぁオーディン!お前は人気者らしい!」
豪快に笑いオーディンの背中をバシバシと叩くゼウス
「まぁ、このイベントは参加するものを拒まないからね、それにどんなに暴れてもかまわないなら日ごろのストレスも発散できよう・・・・ゼウスいい加減痛いぞ」
ゼウス達と会話をしているとまた声を掛けられた。
「狂弐!オーディン!」
声のするほうに顔を向けると
「おぉ、サタンじゃないか!それにルシファーも・・・あれ、ベルゼブブは?」
悪魔の三賢人までもが登場した。
「今年こそ貴様らから優勝をいただいてやるから覚悟しておけよ!」
そう言ったサタンだが
「だが、今は戦い前だ一杯やろうじゃないか、なぁ狂弐!」
なんとも言いがたい性格だ。
「ベルゼなら肩慣らしとか言って消えた」
ルシファーが答えてくれた。
リア達は空いた口がふさがらないのか硬直したまま動かない。
それもそうだろう、最高神と悪魔王と呼ばれるような奴らが同じ席に座り一緒に酒を飲んでるなんて想像できる奴がいるか?
普通は居ないだろうな。俺は慣れたがな。
サタンやゼウスたちと話していたら開会式が始まった。
さて、これから面白くなりそうだ・・・・・・
いやぁ〜ついに始まったね、百鬼夜行・バトルトーナメント
「どうでもいいが更新遅れすぎじゃねぇ?なにしてたんだよ」
それは簡単さ!神やら悪魔やらに関する知識がこれっぽっちしかなかったから書きたくても書けなかったのさ!
「威張るな!」
ブベラ!い、痛い、いきなり殴るなよ・・・どうせこれから思う存分暴れるんだから力蓄えとけよ
「ふん、そんなの知ったことか!・・・・ところでなんでリアはずっと黙ってんだ?」
『え、いや話に参加するタイミングがなくて・・・』
「そうだな・・・会場言ったときどう思ったよ?」
あぁ、それは俺も気になるな
『とりあえず、びっくりしました。まさか神さまや悪魔の王が参加してるなんて思っても見ませんでしたから』
「そりゃそうだな、俺も最初はびびったし」
お前でもびびるのか
「ぶっ飛ばすぞ♪」
お、おっとそろそろ次の話を書きに行かないと!
それでは次につつきます!ごきげんよう!
「逃げんなゴルァ!」
『あ、えっと、さようなら!』