第十二話:百鬼夜行・バトルトーナメント!〜個人戦終幕〜
いやぁ、色々とありましたが個人戦、無事終幕いたしました。続きましての団体戦もがんばりますので、もうしばらくお付き合いくださいませ。
〜視点:狂弐〜
今、パフェ食いながらヴァルさんと謎の剣士の戦いを見てるんだが・・・・ヴァルさんが押されている。
珍しいな・・・あのヴァルさんが俺以外の人間に遅れを取るはずがない・・・・・いや一人だけ俺が認知してる中でいるな、ヴァルさんを倒せる奴が。
俺は思わず笑みをこぼした。今までどっちが強いか定かではなかったが・・・・ここで決着をつけてやる!!
画面ではヴァルさんの剣を物ともせず攻撃を仕掛ける謎の剣士
「くっ・・・・・!!」
ヴァルさんが距離を取ろうとするが、謎の剣士はそれを許さず一気に間合いを積め、攻め立てる。
だが、ヴァルさんも負けずに切り返す。
『な、なんという接戦だぁ!!こいつぁ俺もびっくりだ!ヴァルキリー相手にここまで優勢を取れる奴はこの会場にも数えるほどしか居ない!!あの剣士何ものだぁ!?』
実況のがしゃどくろが騒ぎ立てるが正直ここまで来ると痛いだけの存在である。
『あ〜・・・実況の座敷童子です、一言。骨野郎耳元でうぜぇんだよ』
座敷童子ナイスだ。
俺は冷徹な実況に心中で拍手を送りながら試合を見ていた。
やはり遊んでるとしか思えないような戦い方をしている。
そろそろ試合が始まってから20分が立とうとしている。
この空間での時間は元の世界には反映されないらしい、完全に孤立した空間ってやつだ。
なもんだから、どんだけ時間が経っても別段問題ないんだが・・・・そろそろ飽きてきた。
それを察したかのように謎の剣士がヴァルさんを倒した。
『何と言うことだぁ!!!あのヴァルキリーが負けてしまったぁああああ!!!』
『うるさいって言ってんだよ骨』
【バギィ】
『すまねぇ、童子さん』
なにやら実況室では面白そうなことが起こってそうだが今はヴァルさんを迎えるほうが先決だ。
「どんまいよ〜ヴァルちゃん、今回は相手が悪かっただけだって、何せ俺の見た感じなかなかの使い手よ?」
殉がヴァルさんの肩に手を乗せるが軽く払われる。
地面にひざをついて落ち込んでいる殉は無視してヴァルさんに声を掛けた。
「お疲れ様ですヴァルさん、あいつどんな感じでしたか?」
「強い、本気を出していなかった。」
「そうですか、ヴァルさんの仇俺が取ってきますよ」
「・・・面目ない」
俺とヴァルさんの会話が終わると同時に実況の骨が喋り始めた。
『これで残り16人となったわけだ!!残った16人の紹介をしていくぜ!!
一番目は前優勝者 オーディンだ!!
二番目は言わずと知れた 鎖野狂弐!!
三番目は見事ヴァルキリーを打ち倒した謎の剣士!!
四番目は巨大な狼 フェンリルだ!!
五番目はあの名作からの参戦 エル○カイザーΣ!!
六番目は地獄の王 サタン!!
七番目は百の頭を持つ竜 テュポーン!!
八番目は雷を司る聖獣 麒麟!!
九番目は実態を持たない レイス!!
十番目は地獄に住む蠅の王 ベルゼブブ!!
十一番目は狡猾なトリックスター ロキ!!
十二番目はオリュンポスの長ゼウスだ!!
十三番目は天使長 ミカエル!!
十四番目は前大会惜しくも11位の 乱刃鏡
十五番目は見かけは可愛くても侮れない ケット・シー!!
十六番目は炎の魔人 イフリート!!
以上が本トーナメントを勝ち上がった猛者共だ!!この中でいったい誰が優勝するのか!!!』
『馬鹿ドクロうるさい、頭もぐよ?』
『童子さん、それだけは簡便だぜ・・・・ってこれから各ブロックの対戦相手を発表するぜ!!
まずはAブロックDA!!
オーディンVSイフリートとキリンVSベルゼブブ
次にBブロックだZE!!
ロキVSケット・シーとテュポーンVS謎の剣士
Cブロックに来るのこいつRA!
鎖野狂弐VSサタンとレイスVSフェンリル
最後のDブロックはこの四にNN!
ゼウスVSエルデ○イザーΣとミカエルVS乱刃鏡
決勝戦はABブロックからとCDブロックから各1名づつだお前らぁ!!最後まで会場湧かせやこらぁああああああ!!!!!!!!!!』
【バキスコーン】
多分、実況の骨が座敷童子の怒りを買ったんだろう・・・
「おい狂弐」
「何だよ・・・・・・・札術師」
「名前呼べよ!!ってそんなことどうでもいいが、何で乱刃がここに居るんだ!?あいつって確か新作の主人こ「それ以上喋ると母なる大地に帰る破目になるぞ?」すいません・・・」
それは置いといて、奴と当たるのは決勝か。こっちの山での難関は初戦のサタンと次上がって来るであろうフェンリルである。
参ったね、今まで見たいに一筋縄じゃ行かないか。
俺は試合を見ながらこの先の展開を予想した。
多分準決勝にはオーディンさん、謎の剣士、俺、ゼウスさんの四人が上がってくるだろう。
いつになく真剣な顔で画面を見つめていた。
〜3時間後〜
参った・・・まさかここまでとは。
たった今、上位4位が決定した所だ。
俺の予想ではオーディンさん、とゼウスさんが上がってくる・・・・はずだった。
しかし実際に上がってきたのはベルゼブブ、謎の剣士、俺、エル○カイザーΣとかいう4人だった。
「んで、実際のところ勝てそうなのか?」
「どうだろうな・・・・ロボットだしでかいだろ?動功術でどこまでいけるか」
今更ながら、説明しておくが一口に気功術と言っても導引、行気、吐納、内丹、存思といったようにいくつかの種類があるう上、内気功と外気功という使い方の違う方法がある。
内気功は自分の内側、つまり肉体強化や治癒能力の向上などに向いているのに対し、外気功は気の放出などの遠距離での攻撃や治療などに向いている。
狂弐が普段使っているのは導引の中の動功術という奴の内気功だ。
動功術は攻撃より護身に向いているため、戦闘でも狂弐から仕掛けるということは少ない。
ここまで説明して思う、奥が深い・・・・・・。
他にも色々と説明しなければならないことはあるのだが・・・コメディーなのであえて飛ばすことにしよう。
「まぁ、お前なら奥義使えば倒せそうなもんだがな」
「軽く言うな殉、アレはアレで使った後しんどいんだぞ。特に最終奥義なんて使ったら俺だってどうなるかわからん」
どうやら狂弐もかなり真剣になっているらしい、いつものおちゃらけた雰囲気とは違い、とてつもないプレッシャーを感じる。
『勝ったのは謎の剣士だぁ!!決勝戦進出決定だぜ!!!』
実況の骨があまり意味のない実況を再開している。
【続きまして、準決勝2戦目を始めます。】
もうベルゼブブと剣士の戦いは決着がついたらしい。
まだ開始から5分と経っていない。
流石というべきか・・・・
「俺の番か・・・行ってくる」
それだけ言うと、席を立った。
がんばれと言う声援を背にフィールドに転送された。
「ここまで上り詰めたその武勇、賞賛に値する!!」
これでも、前大会での準優勝者だ。なめられるわけにはいかない、いやそんなこと俺のプライドが許さない。
それなりの礼儀とこれでもかという威厳を見せ付ける。
だが、相手は何も言ってこない。
「なれどその武勇!ここで終わらせてくれる!!」
俺はその言葉を言うのと同時に地を蹴り、自分の10倍はあろうかという巨大ロボット、エル○カイザーΣの中腹部まで跳び上がり、そのまま相手に蹴りを入れた。
相手もそれを合図にしたように動き始めた。
こっちの蹴りはまったく意味を成さず、相手の攻撃を避けるため飛びのいた。
こんな馬鹿でかいロボット相手じゃ合気道なんか何の役にもたたねぇよなぁ・・・。
やっぱ奥義でも使わねぇと勝てそうにねぇか。
そんな事を考えている間も相手の周りを走り回り、ひざなどの関節部分に攻撃を入れる。
くっ!このときほどあの道士(前大会で16位決めの時に戦った相手)の武器を作り出す技が羨ましいと思ったことはないぜ!!
着実に攻撃を決めているのにまったくと言っていいほどダメージの見られない相手に、少し苛立ちを覚えつつも、冷静に状況を判断していく。
このままだとこっちの体力を尽きて終わるか・・・仕方ない。
『気功!』
気功球を作り出し、隙だらけの相手の足に技を決める。
『発勁!』
相手の内部に衝撃を与える技だ。
硬い殻に覆われていたり、鎧を着た奴なんかに有効な技なのだが、果たしてロボットにも通じるのだろうか?
今までたいした変化はなかった相手だが、この時ばかりは大きくバランスを崩した。
どうやらそれなりには有効らしい。
それは相手にもわかったらしく俺を近づけまいと戦い方を変えてきた。
大きさに反して割と早い。
それでも、俺の方が数枚上手で着実に発勁を決めていく。
途中わけのわからないシールドを何度か張ったがそのシールドを『虎月脚』と『轟龍掌』で打ち砕いてやった。
このバトル・・・・もらった!!
そう思ったとき、相手が地面から剣を引き抜き始めた。
どうやらこのままでは勝てないと見て最後の切り札を使うらしい。
地面から引き抜かれた剣を俺が居る所目掛け投げてきた。
それを横に大きく跳躍して回避するが、剣が突き刺さった場所からとてつもなく大きな爆発が起こった。
「しまっ!!」
流石にそこまで予想してはいなかったためその爆風に吹き飛ばされてしまった。
直撃こそ受けなかったもののダメージはそれなりにあった。
くぁっつぅ・・・・・・・やってくれる!
すぐさま立ち上がり、俺も構えを取る。
こいつには時間の掛かる奥義は使えない・・・っと、なるとアレしかないか。
「体内に収束せし気によりて、我は光をも上回り時さえも越える瞬神!!奥義!!『瞬拳』」
俺と数名以外にはなにが起こったかわからないだろう。
説明するとこうなる。
俺と相手との距離は約30m、俺が奥義を発動した瞬間光より早く相手の下まで詰寄り、その拳を相手に9000発叩き込み元居た位置に戻ったのだ。
時間にして0.000000000000001秒。
俺は構えを解いて相手に背を向け指をパチンと鳴らす。
すると、相手は急に物凄い衝撃に数メートル吹き飛んで大破した。
やべぇ俺かっこいい!
でも、この技を使うと体中に激痛が走る。
それもそうだろう。いくら気で体を強化していても基本は人間のそれと大差ないわけだから。
光より早く動けば筋肉は悲鳴を上げる。
その激痛を顔に出さないよう涼しい顔をして転送されるのを待った。
【ヒュイン】という音がして転送されたのは、フィールドに来る前に送られる控室だった。
決勝は相手が控室に入り、ある程度の実況が流れた後フィールドに送られることになっている。
『つ!い!に!やってまいりました決勝戦!!果たして!今年の優勝を果たすのはどちらなのか!!』
『・・・二人ともかっこいいのでかんばってください・・・』
がしゃどくろと座敷童子の実況が終わり、無機質な転送者の声が響く。
【これより5秒後にフィールドに転送します。】
この間、俺はただひたすらに胸を躍らせていた。
視界が開けたときにはフィールドには謎の剣士が立っていた。
その手にはすでに剣が握られている。
しばらくにらみ合い、ほぼ同時に行動に移った。
俺は気功球を作り、相手は一気に間合いを詰めてきた。
俺が相手の間合いに入ると容赦のない剣舞が俺を襲った。
この剣速と技量・・・・ヴァルさんの比じゃないな。
その剣舞を全て紙一重で避けきり、反撃に移った。
上段からの振り下ろしの際にできたほんの一瞬の隙にローキックを繰り出す。
それを剣の側面で止められる。
その体制から相手の剣舞と同じくらいの速度の拳を繰り出す。
しかし、全て当たっているのにもかかわらずまったく怯む様子がない。それどころか剣を構え切り掛かって来た。
なるほど・・・硬気功か!
相手の剣士も気功術の使い手らしい・・・しかも俺とは違う外気功型の。
相手を思いきり蹴り飛ばし、自分も後ろへ跳躍し距離を取る。
すると、剣士は斬撃に氣を混ぜた物を飛ばしてきた。
それなりの速を持っていたがこの程度なら見切りきれる!
幾度が打ち出されたその飛ぶ刃をかわした時だった、悪寒を感じその体制から前に転がるように飛ぶ。振り返ると、今まで自分が居た所に雷撃が落ちた。炎のおまけつきでだ。
「厄介な剣を持っているな・・・」
このまま続けても拉致があかないだろうと予測した。
あまり使いたくはないんだが、この際贅沢は言ってられないだろう。
相手の攻撃のが一瞬止んだ今、俺は自分のリミッターを解除した。
「我が内に眠る狂気よ!今こそ全てを解き放て!!」
この状態は今までの俺とは比べ物にならないほどの力を発揮するがその分正気と生命力を蝕んで行く諸刃の技だ。
だが、その分何の前置きも無しに奥義を連発できる。
繰り出される雷撃と斬撃を避け、相手に『瞬拳』を使ったが、見事に防がれる。
反撃の氣斬撃を見切りつつ今までに使った奥義を連発して使っていく。
それにともなって、剣士も今までのような小技ではなく大技を使うようになった。
相手が、まったく持って喋らないのは色々と事情があるからだろう。
『爆裂脚』
『獅子猛烈撃』
相手の技を避け、こちらの技を決める。
けれど硬気功のせいでまったくダメージが出ない。
多少なりとも衝撃は通っているはずなのでいつかは倒れるだろうがそれまでこちらのバーサーカー状態が持つかどうかだ。
この激戦を・・・始まってからすでに60分以上繰り返している。
そろそろ俺の正気が保てなくなってきた。
ここいらで、決める!!!!
『気縛』
名の通り、気で相手の動きを封じる技だが、こいつ相手には3秒と持つまい。
だが、一瞬でも攻撃が止めばこちらの物だ。
『爆裂!』
『金剛!』
連続で肉体強化を行い最終奥義を発動させる準備を整えた。
『最終奥義!真・覇王狂羅滅裂功!』
俺がこの技を放ったとき、相手も何かを言った気がするがすでに自分の技の轟音で何も聞こえない。
俺の拳と相手の剣がぶつかった瞬間、意識が吹っ飛んだ。
気がつくと俺はカフェで剣士と肩を並べて立っていた。
わかっていた、こいつはまだ全力を出し切っていなかった。多分7割〜8割といったくらいの力だっただろう。それでも俺は全力でぶつかれてそれなりに緊張感があり、充実できた。
「満足だ、ありがとう・・・・・」
俺はそれだけ自分を待つ奴らの元へ向かった。
〜視点:リア〜
いや、なんとも物凄い戦いでした・・・・・・
二人とも人間離れした動きと技で目で追うのがやっとでした。
しかも、最後なんてお互いに奥義ぶつけ合ってとんでもない爆発が起きて、やっと画面が見れるようになったら何にもないし、誰も居ないし・・・・
これ、どっちの勝ちなんだろう?
『な、なんていうことだ!!今の判定は二人の消滅が同時っつうことで引き分けだそうだ!!ってことはなんだ?優勝者が二人ってことか!?こいつぁ前代未聞だぜ!!!だが、お前らよくやった最高のファイトだったぜ!!!!』
どくろさんが実況をしているけど、たぶん誰も聞いてない。
「キョウーーーおつかれさま!すごかったよー!!」
「お疲れ様ですキョウジさん」
「キョウジ・・・お疲れ様」
「「おつかれ」」
皆戻ってきたキョウジさんに群がっている。
それだけすごかったんです。
【ただいまの試合の結果、両者優勝ということに決定いたしました。賞品を授与しますので転送者の所までお越しください。】
わぁ・・・キョウジさん優勝だ。すごいや・・・・でも、優勝賞品って一つじゃないのかな?
ボクが疑問に思っているとジュンさんが色々と教えてくれた。
授与が終わって戻ってきたキョウジさんが持っていたのは黒い宝石だった。
「どうやら“銀河の理”っつう宝石らしい」
・・・・・・とりあえずすごい物らしい、ゼウス様やオーディン様が色々とキョウジさんと話している内容からしてとてつもない力が凝縮された物なんだって。
それで、もう一人の人は幻料理チケットをもらって早々にどっか行っちゃったらしいです。
「おっし、次は団体戦だな!」
あ、すっかり忘れてましたけど、まだ団体戦が残ってるんですよね。
約束もあることですから、汚名返上のためにがんばります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いやぁ、完敗だったなぁ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「?どうした、なんか暗くてキモイぞ」
結構酷いこと言うなお前・・・
「これが普通だ我慢しろ」
俺の苦労も知らずに・・・・・
「まぁ、知る気もないが次は団体戦だろ?やっと、ラウシン兄弟やイャクウの出番が来るんだから気張れや」
はいはい、がんばってきますよ
それでは




