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第一話

 ―――――うら若い美少女の豊満な胸に挟まれて眠ってみたい。

 あなたはこんな体験をしたいと思った事はありませんか?

 ……………自分は今、まさしくそんな体験をしています。






「ちょっ、あっ、こら!?――――メタスラってば、やめなさいっ!!」


 取り敢えずグリグリと谷間に顔を押し付けてみたら、本気で殴られました。






メタリックスライムの冒険記~自身の欲望に忠実な魔物~






 目を開けたら森の中……等ではなく木々が一本も生えてない、茶色い色をした地層剥き出しの山の中腹でした。


 見上げれば霞んだ頂上が見えないけど、こういった場合見えるって言うんだよな?んでもって視界を前へとやると雄大に広がるジャングルが……


 いやさ、確か俺、教室で授業受けてなかったけ?と思い出そうとするも、何をやっていたかは思い出せるけど、自分の容姿とか名前とか、家族構成とかを思い出せない事に気付いた。


「なんでっ!?」


 思い出せない事に慌てて、わたわたと両手で頭を抱えようとして、その腕がない事に気付いた。


「何だこれっ!?」


 混乱して声に出すも、何というか感情が籠らない。最初から腕がない事の方が自然だと自身で思っているような、そんな感じ。


「てか、足もねーしっ!?」


 見れば目の前に地面が……何で最初に気付かなかったんだろうとも自分で思う。


「……でも動けんだっ!?」


 バラバラ殺人の被害者にでもなったのかっ!?と慌てつつも、何とかこの場から動こうとして体をグネグネと動かすと、意外や意外。何て言うか体の動かし方?というものが解った。


 しかもピョンピョン跳ねる事も出来て、結構楽しいかもしれない。


『きゃぁぁぁぁぁ………――――――――――――!!』


 そんな時絹を裂くような悲鳴が響き渡った。


「今のは絶対、ぜぇったいっ!!美少女っ!!」


 うん、声の高い高齢の声優さんとかも時々居るけど、声の張りが違うっ!そんでもって俺は美少女が大好きだっ!!


 いやさ、なんで俺は山の中腹でこんな事を叫んでんだろうとも思うけど、やっぱり美少女が居るのなら見に行くよね?行くよね?ねっ!!


「――――という訳で……とうっ!!」


 今の有り得ない状況に混乱していたのもあるのだろう。このまま歩いて降りていたら美少女に逃げられると思った俺は、その美少女ののっぴきならない状況である事も加味して、目の前の崖から飛び降りた。


 いや、この時何でか出来ると思っちゃったんだよ。






「…居る訳ないでしょうに。」


 ポツリと呟かれたレイナの独り言が自然のざわめきに消されていった。


「オーガなんかの巨体が、こんな森で歩き回れば遠目でも見ただけで判るでしょうに…」


 もう一度、からっと晴れ、さんさんと降り注ぐ陽光。その熱気は木々が遮っていると言っても、湿気が多い所為で余計に不快になっている現状に文句が口をついて出てくる。


 首都カランガランから少し離れた場所にある初心者の森で、巨体を誇る魔物オーガを見かけたと言う話が持ち上がった。


 そんな訳ないのにとレイナは思う。


 この初心者の森。正式名称は別にあるが、首都グランガランで冒険者になった者が最初に魔物討伐のクエストを受ける場所である為、だからこそ冒険者からは初心者の森と呼ばれ、出てくる魔物も精々がゴブリンぐらいだ。


 ゴブリンと言えども数が揃うと厄介だが、この初心者の森には定期的に冒険者が入り、初心者でもある程度安全にクエストを行えるよう、魔物の間引きが行われている。


 その上、この森に隣接するよう大国三ヶ国がグルリと囲んでおり、しかも定期的に騎士団の見回りをしている以上、他所から魔物が流れて来る事も無い。


 ましてや周りの木々より頭一つ飛び出る巨体のオーガが歩けば、その場所だけ木々が薙ぎ倒され、遠目でもはっきりと判る獣道が出来る筈であった。


 グランガランの城壁の上から確認した時にはそんな獣道は無かったし、当たり前だがオーガの頭が一つ、木々の上へと飛び出ている等といった事も無かった。


 だけどクエストとして受けてしまった以上、城壁の上から見てはい終わりという訳にはいかない。最低限居ないのを確認する必要があってこの場にレイナは居た。


「報酬がそこそこ美味しいのよね。」


 冒険者の中堅には届いていないレイナにとっては慣れた初心者の森を歩き回るだけで、あれだけの報酬が手に入ると言うのは見逃せなかったのだ。だけど季節柄、どうしても蒸し暑く、更には数日前に降った雨が曲者で。


「うぅ~…」


 パタパタと汗で張り付く服の襟で扇ぐ。皮の胸の部分だけを覆うハーフメイルが邪魔して涼しくならないが、それでもまだましだ。


「あ~、何?ゴブリン?勘弁してよ、こんな時にぃ……」


 暑さに呻いていると傍の茂みがガサガサと揺れた。


 初心者の森と言われていようと、そこは立派な魔物の住みかであり、だからこそ魔物に遭遇してしまうのは仕方ないにしろ、それでも不快感を露わにして、だらけたまま腰のショートソードを抜き放つ。


 『油断していればスライムのエサ。』


 油断しているとどんなに弱い魔物相手でも負けてしまうと言う格言であり、冒険者になる人間には、それこそ洗脳ではないかという程すり込まれる言葉であり、だからこそレイナもまたショートソードを揺れた茂みの方へと向けて鋭い視線を送る。


「ガァグワァァァァァ……っ!!」

「―――……はぁっ!?」


 だけどその茂みから……というか木々の間から顔を出したのは浅黒い肌の、頭に鈍く光る角を持つオーガ……の子供。


「―――まさか、幼生体だった、とわねっ!!」


 出て来た魔物の正体に驚愕するレイナであったが、直ぐに意識をオーガの子供へと向ける。確かに幼生体ならば、幾らオーガだと言えどまだまだ森の木々の方が高さで優る。城壁の上から遠目で見ただけでは判らなくても仕方がない。


 振り下ろされた丸太。だけど子供だとは言え、その今抜いてきましたと言わんばかりの巨大な丸太を振り回すその筋力は脅威であり、レイナの細腕では到底受け止める事は出来ない。


 目の前をブンッという風切音が鳴る。すぐさましゃがみ込むことで、そのまま薙ぎ払われた丸太をやり過ごし、一歩を踏み出そうとして、後ろに飛び退いた。


 さっきまでレイナが居た場所に、オーガの巨大な足が振り下ろされていた。


「きゃっ、うそっ!?」


 思わずジリッと足を下げてしまう。オーガの雰囲気に気圧されたのだ。


 だがそれは、土に隠れて見えていなかった木々の根に足をとられてしまう。オーガの持つ丸太は振り上げられており、後は転んだレイナに振り下ろされるだけであった。


「きゃぁぁぁぁぁ………――――――――――――!!」


 悲鳴を上げた所で助かるわけではなく、だけどレイナは悲鳴を上げてしまった。


 その悲鳴に一瞬だけオーガが身構えたが、何もないと分かると振りかぶった丸太を、レイナに向けて振り下ろそうとする。


『――――――…ぃ……フレイ………フレイム・メテオ・バスターアァァァァァッ!!」

※注 ただ落ちて来ただけです。


 だがそんな事はさせないと、銀色の何かがオーガの頭上から落ちて来た。しかも何か技名ポイものを叫びながらである。


 しかもタイミングを間違えまくったらしく、変な所で切れている言葉が辺り一面に木霊していた。


 ゴインと固い物がぶつかった音がして、オーガの子供が動きを止める。そのまま後ろへと地響きを発てて倒れた。


「やぁ、御嬢さん。よろしければ俺とお茶でも如何?」

「はぁ!?」


 助かったという思いと、何が落ちて来たんだろうという思い。それを確かめるべく立ち上がった所で話しかけられた。


 それ以上に、今、私ナンパされている?という混乱の方が大きかった。しかもこの場ににつかわしくないような結構紳士的に。


「…って魔物っ!?」

「おわっ、酷い、酷いよ。でも……目覚めてしまうかも」


 だがレイナがそのナンパをしてきた人物に視線を向ければ、そこに居たのは銀色の体を持つ魔物、グネグネとした所謂スライム。


 咄嗟にショートソードで数回突き刺す様に攻撃する。スライム系の魔物には斬撃が聞き辛い事を知っていたからこその行動であったが、そんなレイナの攻撃に蹲り非難してくる魔物。


 それどころか顔が無いはずなのに恍惚とした表情になって来ており、思わずレイナは後ずさった。


「って喋ったぁっ!?」

「そりゃ人間だもの、喋るさ。」


 魔物が喋った事に驚きを露わにするレイナ。自分を人間だと言う魔物に恐る恐る近づいていく。


「おお、白っ!?」

「…………死ねっ!!」


 そんなレイナが近づいた瞬間、魔物はそんな言葉と共に、目は無いはずなのに目を血走らせているような感じを受ける。


 視線の先、そこはレイナの股間部分であり、動きやすい様にスカートタイプにしていた。そこまで思い至った瞬間、魔物の言った色がなんなのか気付いたレイナによって銀色のスライムは踏みつぶされた。






「にしても、こんな所に知性種が居るとはね。」

「やぁやぁ御嬢さん、もう少し踏んでくれてもいいのだよ?」

「嫌よ。あんた気持ち悪いもの。」

「ガーン……」


 知性種って何ですか?そう出会った美少女に問いかけたいが、口をついて出て来たのは自身の欲望。さっき思いっきり踏まれた時、痛みよりも気持ちよく感じてしまったからだ。


 でも罵られるのは駄目みたいで、クタッと力が抜けてしまう。


「こらこら、運び辛いでしょう。」

「それはスミマセン……」


 そんな様子に注意された。今の格好?出会った美少女に首根っこの辺りを摘ままれて運ばれていますが何か?


「まったく、こんな事ならモンスターテイマーの職業、取っとくんだったわ。」

「おお、御嬢さんは中二病なのかね?……って失言だったね、許しておくれ。」

「人を病気持ちみたいに言うなっ!!」

「えっ?」

「えっ?」


 いやさ、そのコスプレといい、RPGの職業名みたいなのといい。発言が中二病ポかったからそう聞いた。直ぐに中二病って言われるのは良い気分じゃないだろうと考慮して謝ったのだが、中二病って病気だと勘違いされた。


 一応病気に分類されるのだろうが、それでも今時、だから?程度で流せると思うんだけど。


「えーと?御嬢さんのその恰好は、何のコスプレだい?」

「コスプレ?コスプレって何?」

「あれ?」


 誰でも知っている言葉だろうに。だけど言葉が通じているのに通じていないという珍しい?珍しくも無いか。そんな現象に見舞われた俺は頭を傾げる。


「だいたいねぇ、知性種だからって人に運んで貰っといて病気扱いは無いでしょう…」

「ちょっ、ちょっと待って。そもそもその知性種って何だいっ!?」

「はぁ?あんたみたいな、人の言語を操る魔物の事でしょ?……魔物の中じゃ別の言い方するの?」


 魔物っ!?俺、魔物だったのっ!?色々聞きたい事や気になる事を言っていたが、それよりも今は自分の姿の確認が先だろう。


「鏡っ!!鏡は持ってないのかいっ!?」

「はあ?手鏡で良いのなら、一応あるけど……」

「貸してくださいっ!!」


 差し出された鏡に映るのは銀色のお好み焼きの様な物。全部銀色だから、水に溶かしすぎた銀色の絵の具でもぶちまけたみたいだけど。


「おう、メタスラ……」


 その姿を見た時思い浮かんだのは某有名RPGの、よりによってメタルスライムかよっ!!いや、防御能力の高さと素早さが高いのは良いんだけど、経験値目的で乱獲されかねない。


「へぇ、あんたの名前メタスラって言うんだ。」

「えっ?」

「メタリックスライムだからかな?似合ってるじゃん。」


 俺の呟いたその言葉を、俺の名前と勘違いした美少女に訂正しようとしたが、別にいっかぁ。似合ってるって言って貰ったし。


「そうそう、俺の名前はメタスラ。コンゴトモヨロシク。」

「あはは、何かメタスラって面白いね。私はレイナよ。」


 とあるゲームのスライム系の魔物が仲間になった時の口調で話せば、ウケたウケた。御嬢さんはレイナさんって言うんだね。うん、魔物ライフも捨てたもんじゃない。


「おお、お似合いの名前だ。レイナちゃんと呼んでいいかい?」

「…ちゃん付けはやめて。」


 見た感じ年下の様に見えたから『ちゃん』呼びしたが、考えてみればこの年になってちゃん呼びは嫌なんだろう、訂正するよう頼まれた。


「ふーむ、なら呼び捨てでいいかい?」

「むしろ、レイナ様?」

「様付けっ!?いや、案外良いかもしれんっ!!」


 だけど、俺が知っているのはレイナという名前だけで、だからこそ少し気恥ずかしいが呼び捨てで呼ぶかと聞くと、まさかまさかの様付けですよ。


 金髪に、気の強そうなつり目がちな大きい瞳に、どこのアイドルかと言いたくなるような小顔。年も顔で判断したが、少女と女の間ぐらいだろう。だがスタイルは抜群で、ハーフプレートメイルと言うんだったか?胸も大きいと考察できる。ハーフプレートメイルの胸の部分の横から少しはみ出ているし。彼方此方留め金があって、見ようによっては戦場に出て来た若いお姫様とも言えそうで、様付け……お似合いかもしれんっ!!


「やっぱり、呼び捨てでお願いします。」

「ええー……」


 そんな事を考えて、改めてレイナ様に傅こうとしたら機先を制された。何故考えている事が分かったしっ!?仕方なしに、呼び捨てで良いと言われた事もあってレイナ嬢の事はレイナと呼ぶことにする。


「よし、レイナよ。町に向かって全速前進だぁっ!!」

「運ばれているだけの奴が何を言ってるかっ!!」


 再び摘ままれての移動。暇だったので熱く意気込んでみたが、レイナにツッコまれつつ振り回される破目となった。


 ああ、目が回るぅ……






「おう、レイナの嬢ちゃん……って何だそりゃ?」

「珍しい事にメタリックスライムの知性種よ。」

「はあっ!?」


 街?なんか物凄く高い壁に囲まれた場所に来た。レイナさんがその入口に立っていたおっちゃんと親しげに話している。僕ちん嫉妬しちゃうぅ。


「ぐぅおぉぉ……私が何をしたと言うのかね!?」

「変な事考えたでしょう。」

「何で分かったっ!?」


 なんか体の部分?が流動している様なので暇つぶしに形を変えられるか試していただけじゃないかっ!!それで心情を現す為に即興の人形劇を体の上で繰り広げていただけなのに、地面に投げ捨てられるとは。オノレ許すまじ、その豊満な胸を揉みしだく権利を要求するぅっ!!


「死ねっ!!」

「ごふぅっ、そんな馬鹿なっ!?声には出していなかったのにっ!?」

「表面に思いっきり文字が浮かんでいたのよっ!!ええ、このエロモンスターっ!!」

「ゆ、油断大敵とは、この事か……」

「……いや、違うと思うぞ。」


 再びレイナの御御足(おみあし)が降ってきた。声には出していなかったし、はっ!!まさかエスパーかっ!!と思ったけど、レイナによって答えが齎される。


 体の形を変えて遊んでいたのが、こんな所で悪手となるなんて。俺が恐れ戦いていると門番のおっちゃんが呆れた声で小さくツッコみを入れてくれた。


「愉快な奴だってことは分かったが、何だレイナ、テイマー資格取るのか?」

「う~ん、考え中なのよ。わざわざ取ってもティムモンスターがこれじゃぁねぇ。」

「ふっふっふっ、こう見えて色々お役に立てまっせ、御嬢さん。」

「あんたは何処の悪徳亭主だぁっ!」


 おっちゃんの疑問に、こっちを指さしながらどうしようかと悩んでいるレイナ嬢。ここで放逐された場合、経験値目的で襲われかねない。しかも美少女であるレイナ嬢と離れ離れになってしまう。それだけは阻止しなくてはと自身を売り込んでみた。


 ネタが通じたのはいいんだけど、呉服屋じゃないんだ。まぁ、地球だとは思っても見なかったけど。自分はメタスラだし、さっきだって鬼みたいな奴をぶっ倒したばかりだし。


「ははは、なら俺がティムしてもいいか?俺テイマー資格持ってるし……」

「そう言えば、そうね。「おっちゃんは嫌やっ!!」ってこらっ!?」


 だけどおっちゃんがとんでもない事を言いだして、そこは速攻で断る場面ですよレイナさん。って思っていたんだけど、なんかレイナが考え込みだして、おっちゃんに飼われるぐらいなら、美少女の胸で溺死するーって感じにレイナに跳び付いた。当然、胸の部分にっ!!


 柔らかい感触なんか無くて、胸を覆うプレート部分、金属の部分にビッチャアって感じになっちゃったけど、意地でも離れないぞとしがみついたらレイナに怒られ、無理やり引き剥がされて地面に叩きつけられた。


「おう、腰が、腰がぁ……」

「あんた腰なんか無いでしょっ!!」

「おおうっ、そう言えばそうだった。」


 自分が今メタルスライムである事を忘れ、人間だった時と同じく、ちょうど強打したのが腰の部分だった事もあって転げまわるも、レイナのツッコみでそれを思い出し、序に痛みもなんもない事に気付く。本当にメタルスライムになってしまったんだなぁ。


「おっちゃんかぁ…、まぁフラれちまったもんはしょうがねぇわなぁ。」


 そんな俺達二人?二人で良いよな?の横でおっちゃんが黄昏ている。えっ?まだ若いの?白髪交じりの頭にそんな無精髭だらけで?


「ぐおぉぉぉぉぉ……」

「あんた、また失礼な事考えたでしょう。」

「な、何で分かったっ!?」

「乙女の勘よ。」

「ならば、仕方がないっ!!」


 勘かぁ…、美少女の勘なら仕方無いよね。踏み潰された事には目を瞑ろう。


「ほらほら、そんな所で何時までも遊んでないでギルドに報告行ってこい。この後テイマーギルドにも顔を出すんだろ?」

「あっ、そうだった。ほら、メタスラも行くわよ。」

「よっしゃー、なら俺は町の人達を怖がらせない様に隠れて行くぞっ!!」

「何処に、潜り込もうと、してるかぁっ!!」

「ぐっはぁっ―――――」

「いや、お前ら、だからな……」


 レイナと二人でイチャイチャしてたらおっちゃんから注意された。一人身は辛いですなぁ。そんなおっちゃんの注意にレイナは俺を踏み潰すのを止めて声を掛けてくる。レイナも仕事の途中だったらしく、仕事が終わった事を報告しないといけないのだと。


 顔見知りだからだろう、門番としての仕事は良いのか?と言いたくなるほど、あっさりと門を潜ろうとするレイナ。俺は今まで通り摘ままれている。だがそこで俺は気付く。俺、メタスラじゃねーかと。魔物だろうと。


 ティムモンスターとやらが居る様だが、だからこそまだ野生の魔物である俺は町の人を怖がらせてしまうのではと考え、大義名分を得た俺はレイナの上着の中へと隠れようとした。


 まぁ、レイナに怒られたんだけどね。地面に、というか門の中の道路は石で補強されており、ビッタンと凄い音を出しながら叩きつけられ、更にはグリグリと踏み潰される。門こそ潜ったものの、門のすぐ側で騒いでいる俺達をおっちゃんが呆れた目で見ていたのが印象的だった。






 其処は周りの景色に同化しているような、要するに特徴が無い建物だった。一つ言える事はホンの僅かに大きいと言えるかもしれない事ぐらい。後は盾の様な形の中に二本の剣が交差している看板があるぐらい。


「ここが冒険者ギルドかぁ。」

「そっ。お願いだから大人しくしててね。」


 ここまで来る間に、町の中でも魔物の姿は見たが、それでも角の生えたウサギだの、目の赤いオオカミだの、それから青いお好み焼きっぽいスライムだろう魔物ぐらいで、俺の様なメタルスライムは見かけなかった。


 ああ、そうそう。俺メタルスライムじゃなくて、メタリックスライムって言うんだって。微妙に違うんだなと思った。


 溜息を吐きそうな感じに疲れているレイナに大人しくしている様懇願される俺。誰だ、レイナをこんなに疲れさせた奴。出て来い美少女の味方、俺が相手になってやるっ!!


「はっはぁ、俺様は美少女のお願いは何が何でも守る主義なんだ。」

「……お願いだから、本当に大人しくしててね。」

「……分かりました。だから、その握り拳を解いてお願い。」


 摘ままれている状態から、まるでゴムボールを全力で握りしめたような感じに持ち直されて、それこそ隙間からブチュウとはみ出るぐらい握りしめられた。痛みこそないものの、それでもとんでもない違和感に放してもらえるよう懇願する。


 いやさ、ここに来るまでにした事と言えば、美女、美少女に道を聞いただけじゃないかっ!!

 ※注 レイナは道を知ってるし、その内容は唯のナンパです。


『あら、オーガを倒せるのならキスぐらいしてあげても良いわよ?』

「是非お願いしますぅぅー……っ!!」

「あっ!?こらぁっ!!」


 放してもらい、地面にベチャっと着地した瞬間、ギルドの建物内から聞こえてきた話し声に、俺は駆けだした。今の声、絶対美女だぁっ!!後ろでレイナが何か叫んでいるが、それよりも美女のキスの方が大事なんだっ!!


 許せ。男にはやらなきゃいけない時があるんだっ!!






「オーガねぇ……」


 冒険者ギルドのカウンター内。視線を下に、国の中枢から降りてきた依頼という名の命令書。初心者の森に放たれたと思わしきオーガの確認というそれを眺めて、受付嬢であるリサは溜息を洩らした。


「おい、なんかリサさん、元気ないぞ。」

「あ、ああ。なんか国からの依頼が来てるんだと。」

「俺達がここの所足止めされている事にも関係あるのか?」


 自身の容姿には自信がある。この辺りでは珍しいカメラスという鳥の魔物の濡れ羽色の様な黒髪。腰の辺りまであるそれを片側前方で流しており、実年齢よりも幼く見せる大きめの垂れ目に、左側にのみある泣き黒子。胸だって同世代の中では大きい方だし、もちろん重力に負けてはいない。括れも肌の張りも、それこそそこら辺の年下よりも上と言われていたりする。


 言われていたりするが、普段はそれを利用して男性冒険者から最大限の譲歩を引き出していたりするのだが、今だけはそんな男性の視線は鬱陶しい。


 何せ今冒険者ギルドで屯しているのは初心者は脱したが、中級者には届かないと言う連中ばかりだからだ。何時もならば初心者の森で魔物相手にしている連中だけあって、有事の際には戦力換算される為に無下にも出来ないのだ。


 依頼も、初心者用の街中での雑用の様なものは受けることが出来るが、大変な上、依頼料が安く、また一応とはいえ魔物相手にする自分達がそんな依頼を受けられるかっ!!という無駄にプライドがあったりするから厄介だ。


 だがオーガが出たとなると話は変わる。中堅以上の者ならばソロ、独りでも狩れる程度の実力を持つ魔物だとしても、今屯している連中では死にに行くようなものなのだから。確認だけとしても中堅には届かなくても、中級者連中を指名しなければならず、それ以下の冒険者は初心者の森への立ち入りを禁じているから。


「はぁ、早く見つかってくれないかなぁ。オーガ……」


 オーガが居ると分かれば中堅以上の冒険者に指名依頼として出す事が出来る。報酬も国から依頼されている以上、国から支払われる為、早期解決の為にそこそこ以上の冒険者を指名する事も出来るのだから。


 ただそれでもオーガが居ると判断されなければ国は動かない。その辺りが依頼という形であっても命令である以上厄介な所か。数人の中級冒険者がオーガ捜索に出ているといっても、初心者の森の広さや、オーガも生き物である以上移動する。そうそう発見出来るとは思っても見なかった。


「えっ、オーガすか?楽勝ジャン。なんなら俺が退治してきてやろうか?」

「えっ?…ぷっ、くすくす、……寝言は寝てから言ってくださいよ。」

「なっ、俺の実力疑ってんすかっ!?なら俺がオーガ仕留めたんなら、キスの一つでもして貰いたいねっ!!」


 リサの吐いた溜息を目聡く見つけた冒険者が居た。リサは心配されるのはまだ良いとしても、流石にオーガは無謀だと思う。そんなビックマウスを言い放った冒険者を思わず笑ってしまった。考え事をしていた為についつい口を吐いて出た言葉でその冒険者のプライドを傷付けてしまい、その冒険者は顔を真っ赤にして騒いでいる。


 本当についついね。思わず口をついて出たのよ。リサはこちらを見ている同僚に目で言い訳をする。オーガのソロ討伐クエストが中堅、要するにC級に上がる時に行われるとはいえ、まだ初心者の域を出ない目の前の冒険者では無理だと分かっていた。だからこそその冒険者の言った言葉に返してしまったのだ。


「あら、オーガを倒せるのならキスぐらいしてあげても良いわよ?」

『是非お願いしますぅぅー……っ!!』

『あっ!?こらぁっ!!』


 リサの笑いながら言った言葉に、ギルドのドアがバンと言う音と共に開かれて銀色の魔物が飛び込んでくるなんて思いもよらなかったが。






「アンタハァ…、大人しくしてるって、約束だったでしょぉっ!!」

「わぁー、わぁー、ごめんなさい、ごめんなさい。だから捩るのはやめてぇっ!!」


 メタスラになってから痛みは無い。と言うよりダメージとして入ってないと言うべきだろうか?今も雑巾を全力で絞った感じになっていると言うのに、痛みは全く無い。だけど感覚はあるから、ものすっごい違和感が襲ってくる。


 もう、レイナのヤキモチ焼き。そんなに別の美女に迫ったのが許せないなんて……


「ふんっ!!」

「ドビチャァっ!!」


 そんな事を考えていたら、壁に向かってブン投げられた。おう。


「…あはは、ギルドの壁に変な汚れ付けて欲しくないんだけどね、レイナ。」

「大丈夫よ、あれがこの程度でくたばる訳がないから。」

「いや、そういう問題でも無くて……」


 顔を引き攣らせてレイナに注意する受付の美女の言葉を、俺の方を睨みながら背中越しに答える。レイナのあんまりな答えに受付の美女は苦笑しつつ、頭を抱えた。


「いやいや、俺が美女の迷惑になるような事をするわけないじゃないですか。」

「なっ!?」

「……何時の間に。」


 取り敢えず、メタスラ自慢の足の速さを生かして、カウンターの上から美女を慰めてみた。二人は信じられないものを見たかのような、絶句した声を漏らし、次の瞬間俺はレイナに押しつぶされていた。


「放して、放してぇっ!!」

「余計な事、しないで、くれるかしら?」

「イエス、マㇺっ!!」


 高重力下にあるような、頭の上から無理やり押さえつけられたかのような感覚にギブアップした。レイナの迫力に思わず敬礼する。


「……それでオーガは居たのかしら。」

「……ええ、居たわ「そうだキッスだぁっ!!」よ、ってあのねぇっ!!」


 顔を引き攣らせ苦笑していた美女が本来の要件を思い出したのか、レイナにオーガの存在の有無を聞く。レイナの仕事がこのオーガの存在の有無の確認という事で初心者の森に来ていた事を教えられていた俺は、そのオーガという言葉に目の前の受付の美女が発したと思われる接吻の話を思い出す。


 皆さん、接吻ですよ、キスですよ。ブッチュウってするあれですよっ!!


「ほら、あれはオーガを倒せたのなら、って話だし……」

「イエスっ!!俺がオーガを倒したんだゼットっ!!―――――――――……ほら、証拠。」

「えっ!?マジ?」

「……はぁ、マジよ。」


 美人なら顔を引き攣らせながらでも絵になるから不思議だよねぇ。俺がオーガの討伐証明部位として体内から取り出したオーガの角を見せると、固まった。後ろで溜息を吐きながらレイナが肯定している。


 あっ、そうそう。無限にとかは試した事ないけど、何か俺、アイテム袋の機能あるみたい。あのアイテムが大量に入るってあれ。分かり辛かったら四次元ポケット思い浮かべればいいよ。


 レイナの肯定と、オーガの角という物的証拠でなんか変な体制で固まってる受付の美人さん。


「あっ、でもほら、君何処が口か分からないし。」

「ここ、此処にブッチュウゥッと……」

「器用な事すんなっ!!」

「うげらっ!?」


 なんとか起死回生の一手を打とうとしたのだろう受付嬢の言葉に、だが確かにと思った俺は、体の形をグネグネと変えて、集めていたヘッドコレクションの様な、頭だけを再現して、唇をウー……ンと伸ばした。直後再びレイナのツッコみと落ちて来た拳骨にカウンターのしつこい汚れとなったのだった。






「はっ、魔物如きがリサさんにキスして貰える訳がないだろう!」

「なんだと、真っ直ぐ好意を伝えていれば、いつか叶うかもしれないだろうっ!!」


 カウンターのしつこい汚れとなっていたメタスラを、メタスラが、魔物が突如飛び込んで来た事で固まっていた冒険者の一人が馬鹿にする。


「叶うの?」

「…………」


 メタスラの後ろでレイナがリサに質問をし、リサは無言でナイナイと片手を立てて振った。


「だいだい、本当にお前がオーガなんか倒せるのかよっ!スライムの亜種のくせに。」

「何を、オムツが取れたばっかのペーペーのくせして、お前こそ美人さんに降られたばっかだろうっ!!」

「がっ!?テメェ、魔物のくせして人様に逆らうとはいい度胸だっ!!」

「実力は無くとも口だけは達者だなぁっ!!」

「「…………お前だけは、許さねぇっ!!表でろっ!!」」


 売り言葉に買い言葉。相手側の事等何も知らない筈なのにメタスラは的確に相手の嫌な部分を突きまくる。更には美女美少女ならばともかく、むさくるしい男に声を掛けられてもうれしくないメタスラも無駄にテンションを上げて行った。


「…止めなくて良いの?」

「…手が出たら止めるわよ。」


 流石にギルド内で武器を抜くのは不味いと判断する頭は残っていたのか、まだ腰に下げたショートソードの類だろうか、それは抜かれていない。ギャースカギャースカ言い合っているだけの二人?一人と一匹を眺めるレイナとリサ。


 だがテンションは上がって来ており、そろそろ理性の限界の様でショートソードに手が掛けられている。もし抜かれてもレイナには鎮圧する自身も実力もあって、だからこそ油断していたと言わざるを得なかった。


「テメェはもう許さねぇっ!!」


 ヒートアップしすぎた冒険者の男が、ついにショートソードを抜いてメタスラに切りかかった。初心者の域を出ない者特有のミス、スライム系の魔物に斬撃は効き辛い事を忘れて、全力で振りかぶる。


「当たるか、そんなもんっ!!」

「のわっ!?」


 だが今回は関係なかった。メタスラが振り上げた剣を振り下ろそうと、それが当たる位置に、攻撃と同時に移動しようと一歩踏み出した冒険者の軸足を払った。だがそこは初心者でも男は冒険者。咄嗟に踏み出した足をズダンと音を立てて無理やり体制を維持したのだ。


「あっ!?」

「なっ!?」

「げっ!?」


 三者三様の声が上がる。原因は、床を踏み抜くほど強く踏みつけて生まれた衝撃で手からすっぽ抜けたショートソードである。普通ならそんなミスはしないのだが、そこはまだ男が初心者だった為だろう。


 武器を抜いた男を止める為に踏み出していたレイナに向かって緩やかに回転しながら高速で飛んでいく。レイナにしても予想外の事で、男を止めようと動き始めていた為に飛んでくるショートソードを防ぐ事は出来ない。


 これが高位の冒険者ならば、咄嗟に動ける様余裕を残しているだろうが、まだ中堅には届いていないレイナには無理だったのだ。


「おりゃぁっ!!」


 だがレイナに向かって飛んで行ったショートソードはメタスラによって弾かれた。それどころか刃の部分が無くなり、カランと虚しく床に転がったのだった。






「あっ、あっぶなっ!?」

「た、助かったわ、ありがとう。」

「いやいや、如何いたしまして。」


 うん、俺は美女美少女の味方だからな。感謝されたって、ちっとも嬉しくないんだからな。だからその胸に顔を埋めさせてくれっ!!


「うごふっ!?」

「……そこで終わればかっこよかったのにねっ!!」


 肘が落ちてきました。ペタンと女の子座りしてたから肘の方が当てやすかったと言うのもあるんだろうけど。


「お、俺の剣、刃の部分が、無い!?」

「あっ、ごめん。食っちゃった。」

「ハアァァァァァああああああ――――――…………っ!?」


 俺がレイナとじゃれ合っているうちに、ショートソードの所まで辿り着いた冒険者の男が茫然と呟いた。いや、咄嗟にショートソードに跳び付いたのはいいんだけど、あのままじゃそのままレイナに当たるだけだと思ってね?何とかしようと噛みついたら、これが意外や意外。美味かったんだ。


 俺の告白に大声で叫び動かなくなった。頭を垂れて地を見つめ、終いにはさめざめと泣きだす。


「それで、キスはどうなったの?」

「この雰囲気の中、何を言いだすのよっ!!」

「ぐおらばっ!?」


 男の涙なんかに興味は無いっ!!それよりも美人さんのキスの方が大切っ!!そんな思いでカウンターに飛び乗り、美人さんにキスはどうなったのか尋ねたんだが、代わりにレイナの拳がやってきました。暴力反対っ!!






 あれから数分が経ちました。いやね、あのむさっ苦しい男はレイナに、男なんだから何時までもメソメソするなっ!!って一括されてスゴスゴと帰って行った。帰って行ったで良いんだよね?テーブルが置かれている飲食スペースの方へと歩いて行った。ドナドナドーナ……そんな雰囲気で。


 なんでこんな喋り方してるかって?そりゃ決まってる。緊張してるのと、なんだか無駄に罪悪感ががが……


「ねぇ、レイナ?」

「何?」

「……以外よね。」

「そうね。」

「「……抱っこされるだけで大人しくなるなんて。」」


 しょうがないだろっ!!この年で抱っこされるなんて恥ずかしいし、今ここでゲスな事やったらレイナ傷付けるかもしれないし。俺は美女美少女には笑っていて欲しいの。だから馬鹿やるが、事故とかならともかく絶対に傷付けたことは無いっ!!


 胸に向かって飛び付いたじゃないかって?撃退されるのが分かっているからやった事だぞっ!!


 これ以上騒ぎ起こされたくないからって抱っこする事ないじゃないかぁっ!!膝の感触を楽しんでやるっ!!


「それで?居たの?オーガ……」

「証拠の角、見たでしょ?」

「あら?拾った物かもしれないでしょう。」

「はぁ…、なんでオーガの角が初心者の森に落ちてるのよ。」

「それもそうね。」

「更に言うのなら、幼生体だったわ。」

「それは………」

「ええ、厄介ね。」


 ええいっ!?なんてプ二プ二な太股なんだっ!?虜になってしまうではないかっ!!やるな!レイナ!!


 うん?上でなんか小難しい事を話あっている間、俺はレイナの太股の感触を楽しむのに忙しかっただけだぞ?


「……少しは危機感持ちなさいっ!!」

「ゲブラッ!?」


 俺がレイナの太股の上でウネウネ動いていたら、レイナと美人さん、リサさん?が俺を見ていた。そんなに俺がカッコイイかい?なんて事を視線ビームで送ると、レイナにカウンターにぶつけられました。


「…き、危機感って、何で?」

「ちっ、だんだん再生速度が上がってるわね。」

「あ、あはは、要はね?幼生体が居るって事は、何処かにその子供を産んだ親が居るはずだし、魔物の出産の場合、何処かに群れ(コロニー)を作るのよ。」


 流石に一日に何度もダメージを受けており、もう俺限界。限界ながらも肉体を再生?集合?再生で。再生させながら聞くと、レイナに舌打ちされたんだが、リサさんが優しく教えてくれた。


 確かにあんな化け物が沢山いたら怖いだろうな。


「証拠もあるし、国に上申してみるわ。それまでレイナも手伝って貰えないかしら?」

「仕方ないわね、でも期待はしないでね。」

「そうね。初心者の森って言っても、結構広いし……」


 俺がオーガの群れを想像しているうちに、何か話が進んでいるんだけど。というかレイナさん大丈夫なの?倒したのって子供で、しかもピンチになってませんでした?俺がそう聞くと……


 何言ってんだコイツって顔で二人がこっち見てるしっ!!何というか、こう……イヤ~ン。


「何を、悶えてんのよっ!!」

「ぎゃふっ!?」


 もう何回目だろう、このカウンターにビタンっ!ってやつ。流石に精神的にきつくなってきたんだけど……


「まさかのまさかね。この光景にも見慣れてしまった……」

「………何か、ごめん。」


 リサさんが頭を抱えて、レイナが申し訳なさそうに謝っていた。


「でも、これだけ頑丈ならレイナを任せられるわね。もうテイマー資格は取って来たの?」


 何々?レイナを守ればいいのか?なら大丈夫!!指一本触れさせませんからっ!!代わりに俺が隅々まで触っておくからっ!!


「ううん、この馬鹿が道草ばっかするから、まだよ。今日の所は特例使って、明日の朝一で取ってくるつもり。」


 無視!?無視されると僕ちゃんダレてしまうのぉ…


「まぁ、この時間だと間に合わないか。そうね。なら先にこっちに寄ってくれない?レイナの宿っていつもの所でしょ?」

「ええ、そうよ。そうね、その方が一度戻らなくていいし、分かったわ。」


 本気で無視ですね。そうですか、そうですか。それなら俺にも考えがあります。


「その胸揉ませろっ!!」

「ちょっとは大人しく出来んのかっ!!」


 グベラッハァ!!あっ、ヤベッ、意識が落ちる……


 レイナのカウンターへのビッタンッ!!メタスラは目の前が真っ暗になった。

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