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限りなく水色に近い緋色【原作版・連載中止】  作者: 尾岡れき
第3章「鎖に繋がれた獣は、朝陽を前に夢を見る」
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 プレパラートのあわただしい足音が響くのは予想の範疇だった。ただ――思ったより、早い。彼女は彼女なりで、情報を精査していたということか。スピッツの研究室に、問答無用で乱入してくる。

 実験室の研究者だ、そうでなくては困ると、スピッツはニンマリ笑う。


「ど、どういうつもりですか!」

「何がかな?」


「何が、じゃないです! 弁護なき裁判団をウイルス感染させるまではいい。彼らはレガシーデバイスです、今後のアップデートなんかあり得ない。ウイルス感染のテストをサンプルではなかなか行えないからこそ、彼らを使う。そう仰ったのはスピッツ、あなたです!」


「そうだね」


 プレパラートに胸ぐらをつかまれながらも、スピッツは涼しい顔で答える。


「そのレガシーデバイス達が、今度はカタログライブラリーに強制アクセスするという。これはいったい、どういうことですか!」


 プレパラートが激昂するのはもっともで。


 情報管理システムとしては、現在、弁護なき裁判団を活用しているが、トレーの実験室脱退から開発は終了している。使い古された遺産(レガシーデバイス)では、サンプル研究の監視はできないと言うのが、実験室の結論だった。


 だが数多くの研究者の研究経過を掌握するシステムは、誰も作れていない。


 それだけトレーが作り出した、監視型サンプル【弁護なき裁判団】は優秀だった。研究者の研究成果はもとより、廃材(スクラップ・チップス)の管理、処分も兼ね備えている。研究者の手間を減らすと言う意味でも、最良のサンプル集団だった。


 ようやくと言うべきか、プレパラート女史が開発した【聖母(マザー)】がその後を引き継ぐ予定になっているが、自律型サンプルではなく、人工知能による、遠隔監視システムだ。研究を掌握したいフラスコらしいやり方であるし、廃材の処分は陸上自衛隊量産型サンプルがそれをこなすとなれば、後釜としては申し分ない。経費の維持を考えても理想的だった。


 ――だがトレーが作り出した美しさは、そこにはない。


 スピッツはそう思う。


 プレパラートは有能な研究者だが、発想が貧弱でつまらないのだ。

 ただ、データを集めればいいと思っている。


 そんな発想では、狂い方が足りない。


 たかだか人工知能の監視で、研究者を欺けるものか。弁護なき裁判団が優秀なのは、ネットワークにはあらず。研究データのデータベース化にもあらず。単純にサンプルの動向を記録し、蓄積する。ナンバーズとビルドされたサンプル達以外の――意思から外れた端末たちの存在が大きいのだ。


(たかだか人工知能で、我々を監視できると思っているのだから、おめでたい)


 接続を遮断(ブロック)することも、偽情報を垂れ流すことも容易い。それを彼女は理解していない。


 弁護なき裁判団は、表向き、データの回収は一切しない。動き出したサンプルを、アナログな目で監視し、その動向を探る。【番号なし】(ノンビルド)がそれを情報収集し、【番号あり】(ナンバーズ)に渡す。最終的には【No.X】がそれを統合し、整理をする。


 そのために、どれだけの廃材が、【番号なし】(ノンビルド)として流用されたか。


 もちろん、番号なし《ノンビルド》にも適応しない廃材は多かった。


 トレーが【被験者殺し】と名づけられた理由の一端である。弁護なき裁判団だけではなく、特化型サンプルの排出のために消費した被験者の数は、トレーがダントツだった。


 だから、研究員に扮した【番号なし】(ノンビルド)がどれだけいたのか、正直、スピッツでも掌握できていない。それほどまでに完成されたシステムだったのだ。


 それに比べたら、プレパラートはあきらかに狂い方が足りないのだ。


 ――好都合では、あるけどね。

 スピッツは小さく笑んで、プレパラートの手を振りほどいた。


「単純な話しだ。カタログライブラリーの蓄積したデーターはたかが知れている。所詮は被験体適合データベースだろ? 有用だとは思うが、情報ハザード級かと問われたら疑問だね。それよりもプレパラート、トレーのライブラリーに接続できるチャンスだとしたら、君はどうする?」


「ど、どうって……」


 思わぬ言葉に狼狽して、唾を飲み込む。それを尻目にスピッツは小さく笑んだ。


 被験者殺し――。その名は若い研究者の中にも鮮烈に今でも語り継がれているのが手に取るようにわかる。トレーが研究してきた集大成が、【デバッガー】であるのことからも、興味が無いと言えばウソだろう。【限りなく水色に近い緋色】は脅威だが、【デバッガー】があってこそ、機能低下状態でもあれだけの数値をはじき出し、実験室を翻弄している事実がある。


 当初の研究とはロードマップにズレが生じているが、それはそれで興味深い。

 終着点は結局のところ、一緒だ――。

 そうスピッツはほくそ笑む。


「そういうことだ。弁護なき裁判団のデータは、ウイルス感染しているとは言え、ずべてが私に集約するようになっている。だから、そもそも情報漏洩はありえない。もちろんハッキングしたデータは、君に全て渡す。それならどうだ?」


 プレパラートは信じられないという目で、スピッツを見る。


 だから、だよ。

 だから、なのだ。


 君は足りない。圧倒的に足りないのだ。疑うべきなのだ。研究者が打算なく、資料の譲渡などするものか。


 思考を放棄した研究ほど、形骸化したもはもない。

 だから――狂い方が足りないのだ。


「お、お手並みを拝見させていただきます。その上で、弁護なき裁判団の処断を検討します。本来であれば、私は【聖母】の調整に注力したい。弁護なき裁判団の維持は、無駄な労力以外のなにものでもありませんから」


 スピッツはにっこり笑って、プレパラートの言葉に頷く。

 狂い方の足りないプレパラートの言葉は、何をとっても詭弁だ。

 そもそも君に、弁護なき裁判団を管理ができるはずが無いのだ。


(お手並み拝見は、こちらの台詞だ)


 ――最初から感染なんてしていないのだから。











 唖然と、割れたガラス窓の向こう側――川藤が消えたていった方向を、涼太は見やることしかできなかった。


 なにがおきた?


 水原茜の指示通り、開発構文からアクセスし、弁護なき裁判団が「感染兆候にある」ことを検知した。


 涼太の【ドクトル】も同様に病変を感知する。ウイルス感染であることを示す、体内の炎症反応値が全てを物語った。過去のデータベースから、類似ウイルスを特定し、遺伝子干渉阻害薬を作り上げた。


 過去に症例もあり、臨床試験もクリアしているケースに適合、間違いないと涼太自身も踏んだのだが――。


「まいった、うん、これはまいった、やられたなぁ」


 茜はなんとも楽し気で。


「え?」

「トレー?」


 涼太とともに、残された遠藤も目をパチクリさせる。


「とりあえず、遠藤さん」

「な、なんだよ?」

「みねうちじゃ」


 言うや否や、茜は竹刀を振る。風が砂埃を巻き上げるのを涼太は感じた。茜のスカートが優しく揺れる。


「水原さん?」


 涼太の問いに答えるより早く、茜の竹刀が遠藤を突き――したたかに壁に打ち付けられた。


 茜の圧縮気流ソニックウェーブと相まってか、遠藤はあっさり意識を手放した。


「み、水原さん、なにやってんの?!」

「みねうち?」

「突きだった! 今のは突き! みねうちとは言わない!」


 ちなみに峰打ちは、日本刀で言うところの背面の峰で打ち付けることを言うので、竹刀で峰打ちと言えるかどうかは、涼太にも分からない。


「仕方ないよ、普通にやって機能停止できるほど、やわに作ってないんだもん。特に遠藤さんは」


 呑気な声にのまれそうだが、言っていることはえげつなさ極まり無い。その傍では、羽島が遠藤の手足をロープで縛り始めていた。


「ちょ、ちょっと、羽島さん――」

「涼太君の気持ちも分かるけどさ、彼らはサンプルなわけだろ? 油断は命取りになるよ?」


「そういうこと。弁護なき裁判団のエラーを考えたら、何が起きてもおかしくないね。しかし見誤った」

「え?」


 茜がそんなことを言うなんて珍しい。


「まあ、ボクもたまにやる手なんだけど。ダミー情報に誘導して検知させるわけ。つまり、フェイク、嘘の情報をね」

「う、嘘って……」


 涼太は唖然とする。シャーレとの調整、茜たちとのトレーニングの中で、自分の精度には自信があった。それなのに――。


「落ち込まないの。医療型サンプルは、神経信号から、遺伝子情報を感知する。その過程で、ダミーデーターを流し込めば、誘導は難しくない。撹乱は情報戦の十八番だしね。おおもとのデーターが、涼太君の検知をベースにしてるから、開発構文から検知した情報そのものが間違っていた。でも、無駄じゃなかったと思うけとね」


「そんな慰めの言葉なんかいらないし――」


「慰めてるつもりはないんだけどね。だって、川藤さんの遺伝子データは手に入れたわけだし。過去のデータと照合していけば、データをどう改変されたか分かるしね。それに遠藤さんと川藤さんを切り離した。これだけでも、大きな成果だよ。それに川藤さんにお土産も渡せられたでしょ」


 にっこり笑った茜だが、さらりととんでもないこと言ってのける。


「か、改変?」


 涼太は思わず、茜を見る。


「そういうこと。明らかなウイルス感染だと思っていたんだけどね、ボクも。実験室の研究者が、無能にも管理できず感染させたんだね、って」


 自分のパソコンデスクに座り、キーボードを無造作に叩いていく。


「多分、実験室の研究者たちも同様に思っていたんじゃないかな。今まで統制を取れていたシステムが、暴走を始めた。これはウイルス感染だと。使い古されたレガシーデバイスのセキュリティーホール、修復不能な欠陥だと――」


「普通はそう思うよ」

「だね」


 と茜は頷く。涼太も羽島もみのりも、パソコン画面を覗き込む。無数の文字の羅列ばかりが、瞬く間に流れていく。羽島は専門外とばかりに首を横に振るが、涼太とみのりはその意味を理解していた。川藤の遺伝子データがまさしく、そこに精彩に表示され、涼太は唖然とするしかない。これは、ヒトじゃない――。


「弁護なき裁判団はね、自律思考型サンプルであるけど、ベースとしてあるのはアーティフィッシャル・インテリジェンスなの」

「AIってこと?」


 涼太は聞く。それで、納得する。川藤の生体検査をした時に違和感があったのだ。限りなくヒトの体に近いが、ヒトとはかけ離れた構造を示す。心臓が4つあり、肺が人の倍ある。その反面、胃や腸は小さい。骨密度、筋肉量は高く、脳の容量は同等だが、稼働率が高い。オーバーヒート寸前の熱量を感知していた。

 それはつまり――人造サンプルということだ。彼らはAIによって知的判断をしていた。つまりは、そういうことだ。


「頭脳のNo.Xを主軸に、感覚通知限定ネットワークで接続される訳よね。そこをナンバーズが、擬似思考判断プログラムを基にして実行行動を移していく。番号なし(ノンビルド)がその目となり、耳となり、手となり動くわけよ」


「ノンビルド?」


「いわゆる廃材を再利用して、ナンバーズの指示のみで動くサンプル未満。意思はない。全て、ナンバーズの指示のみで動く。それまではプログラムされた生活を送るよう作られている。そう作ったのはボクだけどね」


 キーボードを打ち続ける茜の表情は淡々としていた。


「擬似生体サンプルと言ってもいいかな。遠藤さんや川藤さんはナンバーズだけど、そういう存在。だけど、大分改変されているね、これは」


「え?」


「オペレーティングシステムが書き替えられた、というべきかな。むしろバージョンアップされたと言ってもいい。これは、開発構文でどうこうできるレベルじゃないね」


「茜さん」


 とみのりが指をさした。茜もコクリと頷く。


「No.Eからエラー反応を検知か。みのりちゃん、今から計算して、遡れる?」

「もう、計算済んでます」


 と紙に鉛筆でサラサラと書き記す。涼太はもう驚かない。みのりは【テレポーター】で、物質転送で膨大な計算式を処理した上で、能力を実行する。涼太には難しい計算式の連続が、保育園児のみのりには朝飯前だった。


「エラー兆候は一ヶ月前から――宗方さんと接触した後から、間も無くか。これは確定かな」

「え?」


 茜は涼太の顔を見上げ――にんまり笑んだ。


「推測でしかないけどね。No.Eが感染したのは間違いないと思うよ。でも、それ以外の弁護なき裁判団は、そもそも正常稼働だった。No.Eがエラーを起こしたから、そのエラーの修復に躍起だったってことだろうね。一番リンクのつながりが強かった川藤さんが、エラーの影響を受けたんだと思うよ」


「え、だから、どういう――」

「難儀だね、ってことだよ。君も爽君もね」


 と茜は小さく息をつく。――笑いをこらえることに必死になりながら。


「多分だよ? 多分だけどね、遠藤さんは宗方さんに恋をしちゃったじゃないかな?」










「さて、どうする?」


 と生徒会長は呑気に言う。学内に遺伝子研究サンプルが乱入。最低でも器物破損を確認。それだけで生徒会執行部の処理案件に該当するけどね、と付け加えてくるのを爽は白けた顔で見やる。


「どうするも何も、【アイギス】なら絶対領域でこの学校の中くらい、探知できるだろう? あなた達はあなた達でNo.Kを探したらいい」

「つれないなぁ」


 と会長のペースは変わらない。


「いい加減にしなさいよ!」


 激昂したのは、当の【アイギス】だった。


「デバッガーだなんてたいそうなコードネームつけられてるけど、公式記録は何も残ってないじゃない! その程度で特化型サンプルだなんて笑わせないでよ。別にあなた達の協力なんか、私たちが必要なわけないでしょ! ただビーカーが――」

「アイギス」


 すっとレーヴァティン――田中真が前に出る。


「煽られるなと言いたいところだが、俺も正直このブレインゲームに辟易してる。グングニル、正直、ストレスだぞ?」


 と、その手のひらから産まれたのは、真っ黒な炎で。その炎が、真っ正面からひなたへ向けて放り投げられる。


 真っ先に、爽の不可視防御壁(ファイアーウォール)が――ゆかりの雷撃が、ひなたの炎が迎撃するが、風がそよぐように全てを黒い炎がかき消す。

 黒い炎が渦を巻き、若葉や花弁を吸い込んで――そして消えた。


「え……?」

「うそ――」


 ひなたは唖然とし、ゆかりは絶句する。


「なるほどね、マイクロブラックホールか。曲焦点の圧縮重力でブラックホール現象を人工的に生成とは、これまたとんでもないものをビーカーは作ったね」


 爽はなんでもないかのように――むしろ収穫を得たとばかりに微笑を浮かべている。


「レーヴァテイン。北欧神話における悪戯好きの神、ロキによって鍛えられた剣。世界樹に巣食う怪鳥ヴィゾヴーニルを唯一屠れる剣とは、よく言ったものだね。文献では、炎の剣と解釈されることもあるけど、そもそも剣という記述が神話の中ではない。でも、消耗が激しいんじゃないか?」


「限界は超えるためにあるんだよ。限界を超えてから、特化型サンプルを名乗れよ」


 と真は唾を吐き捨て、さらに黒い炎を生み出す。


能力限界稼働オーバードライブ――」


 さらに二つ、三つと黒い炎が増える。


「爽く――」


 慌てるひなたを、爽は優しく抱き寄せた。ゆかりにも近くように手招きをする。ゆかりは訳が分からず、目をパチクリさせるが、小さく頷いて従った。


「余裕だな、色男。そのまま消えろ!」


 と真はマイクロブラックホールを投げつけようとして――


「レーヴァティン、逃げろ!」


 狼狽した生徒会長の声。アイギスもレーヴァティンも目をパチクリさせるしかない。


 光の粒子が溢れる。

 空気が、揺れる。まるでカーテンがそよぐように。その隙間から、光が漏れるように。

 それに思わず見とれたレーヴァティンは、激しく校舎の壁に叩きつけられる。


「え?」


 アイギス――ほたるは訳が分からない。


「やられたね。【テレポーター】を利用した完璧な逃走計画ってわけか」


 光の粒子は、とっくに霧散して――。

 小さくため息をつきながら、生徒会長はレーヴァティン――真へ駆ける。すでに爽達は、まるで風に攫われたたかのように、忽然と消えていた。


「真はいつものように、浪費だね。本来、空間転移の【テレポーター】に巻き込まれたら、無事じゃ済まないと思うけど、そこも計算済みかな、彼らは」


「ど、どういう――」


「空間を歪ませて物質を転移させるわけだからね。やり方を間違えたら、巻き込まれたらぺっしゃんこで済むかどうかも怪しいよ。そこに発生する膨大なエネルギーと、それを行使するための計算式は、アイギスにわざわざ説明するまでもないでしょ?」


「……」

「ま、仕方ない」


 と生徒会長は、一向に起きない真の頭を自分の膝に乗せて、小さく背伸びをする。


「真が起きるまで待とうか」

「え、いいの?」


 ほたるは意外そうに蓮を見た。


「仕方ないさ。真がこらえ性無いのは知ってるし、ほたるは短気だしね」

「そ、それは……支援型サンプルとしては、悪かったと、その、本当にごめん――」


「怒ってないよ。むしろ、我慢ばかりさせて悪かったね」

「蓮?」

「でもこれでね、宗方さんと水原君の実力を心置き無く測定できる」


 にっこりと、生徒会長は笑んだ。


「それぐらいは、手伝ってくれるだろう?」


 アイギスの能力で、監視をしろと言う。ほたるは小さく肩をすくめた。


「……蓮ってさ、水原爽と同じくらい性格悪いよね」

「最大級の褒め言葉だね」


 ニンマリと笑む。


「彼は結局、ファイアーウォール以外の能力(スキル)は見せてくれなかったしね。もう少し打算で協力的かと思ったけど、そこはやっぱり彼も流石特化型サンプルってことかな」


「私には口だけにしか思えないけど?」


「水原君から見れば、僕らも【実験室】なわけだから、余計な情報は開示したく無い。彼の行動は全て、こちらの情報を搾取する為に一手一手を選んだんだと思う。さすが、ビーカーが気にかけているおもちゃじゃないか。多分、監視システムに極力データを取られたくないと思うはずだから、彼らの行動は早いかもね」


「とっととアイギスを展開しろって言うんでしょ。人使いが荒いにもほどがあるわよ」


 ほたるは小さく息をつき――意識をこの学校の全てへ向ける。

 隅から隅まで、空から、断面から。糸を張り巡らせるように。範囲が広すぎるが、能力の浪費が激しい。

 でも蓮――【グングニル】がいるから問題ない。


「見つけた!」


 座標軸を固定する。

 弁護なき裁判団No.Kと、水原爽、宗方ひなた、桑島ゆかりが今まさに――。


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