プロローグ
夏休み明け
隣のクラスの家永翔が車に撥ねられた
担任からそうHRに言われ家永と関係があった女子や男子は驚きな悲しみに包まれた
僕は名前と顔くらいは知っている。
昼休みに友達と笑っている姿や、体育祭で活躍していた姿を見かけたことがある程度だ。
話したことは一度もない。
向こうも、きっと僕のことなんて知らない。
だから、特別何かを感じることもなく、僕は教室の様子をぼんやり眺めていた
その時だった。
「あれ?」
聞き覚えのない声がし、視線を上げる。
そこには、制服姿の男子生徒が宙に浮かんでいた。
少しだけ体が透けていて、窓から差し込む光が向こう側まで見えている。
見間違えるはずがない。
さっき担任が名前を口にしたばかりだ
そう家永翔だった。
「は?」
家永は僕と目が合うと、ぱっと表情を明るくした。
「うわっ! 見えてる?」
そう言うと、半透明の手を僕の目の前で何度も振る。
「あれ?俺のこと見えてる?おーい、もしもーし」
目の前に振られている半透明の手を見ながら深い息を吐き出し目尻を抑え息を吐く
半透明の家永は授業中も休み時間も声をかけてきていた
疲れているから見えるのだと思いながら放課後、廊下へ出て、靴を履き替えて校門を出てる
だが、その声はついてきた。
「えー!無視しないでよ!」
廊下へ出ても、靴を履き替えて校門を出ても、その声はついてきた
僕は歩き続ける
「ねぇ! そこの君!」
無視だ無視
「無視しないでよ!」
半泣きになる家永の声
振り返ると、家永は目を潤ませ、不満そうに頬を膨らませながら、まだ、ふわふわと浮いてついてきていた
周囲に誰もいないことを確認し、僕は小さくため息をつく。
「こういう時ってさ、幽霊と話したら呪い殺されるパターンじゃないの?」
「ご、ごめん・・・。君だけ、俺のことが見えてるみたいで・・・。なんか、嬉しくて。」
さっきまでの勢いはどこへやら。
家永は気まずそうに視線を落とした。
「それで? 何か用?」
家永は俯き、唇を噛み締める。
やがて覚悟を決めたように顔を上げると、僕を真っすぐ見つめた。
「俺を殺した人を探して欲しい!!」
その瞬間、ざあっと風が吹き抜ける。
木々が大きく揺れ、舞い上がった木の葉が二人の間を横切った。




