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愛なんか消えてしまえと願う私は悪くないと思う  作者: ましろ


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3.犯罪者は空も飛べるらしいです

 うう~~っ、痛い……。


 ガタゴトと馬車で揺られ続け、肉付きの悪いお尻が悲鳴を上げている。

 それでもまだ何日もかかる場所じゃなくてよかった。お母さんの根性がなかったことに感謝する日が来るとは思わなかったわ。

 駆け落ちをした二人に行く宛があるはずもなく、王都から二つしか離れていない町で暮らしていたのだから驚きだ。


「でも、探しにはこなかったのよね」


 お祖父様とお祖母様はたぶんとっても怒っていたのだろう。探す気があればすぐに見つかりそうな距離なのに、こうして今日まで放っておかれているのだ。

 でも私は、そんな人達に今から会おうとしている。

 約束なんてしていないし、私という存在を知っているかも分からないのに。


「……だって、もう限界だもん」


 このままでは、家事と育児に追われたままあっという間に老いさらばえてしまいそうで怖い。私の子どもでもないのに!

 まだ十五歳なのに、すでに子育てのエキスパートになっている気がして切なくなる。

 いえ、せめて妻。主婦としてのスキルが高いと自慢しよう。

 お尻の痛みを忘れるために、ぐだぐだとくだらないことを考え続けていたら、ようやく町並みが見えてきた。


「……大きい」


 馬車を降り、お尻の痛みから解放されたことを喜ぶよりも、ただただ呆然としてしまった。

 だって、さすがは王都だ。建物の高さや明かりの数が自分の住む町とはあまりにも違っていて、思わず尻込みしてしまう。

 ……どうしよう。王都ってこんなにも大きいの? 私、お祖父様の家を見つけられるかしら。

 すでに日も落ち、これからどうしたらいいのだろうと途方に暮れる。


「……困ったことがあったら警邏に頼る。鉄則よね?」


 でも、その建物すら分からない。不安で仕方がないのに、くうっとお腹が鳴ってしまった。

 ちょっと、私の一部のくせにもっと宿主の気持ちを察しなさいよ。

 自分のお腹に文句を言いながらも一歩踏み出す。

 一人で悩んでいても仕方がない。とりあえず、人の多い方に向かおうと歩き出した。

 だが、どうやら運命はフェリシアには意地悪をしたいらしい。

 それは本当に一瞬の出来事で。

 前から歩いてきた男に、ドンッとぶつかられた。


「え?」


 体がよろめき、思わず地面に手をつこうとした瞬間、手に持っていたカバンを奪われたのだ!


「ちょっ⁉ 返しなさいよっ! 泥棒~~っ‼」


 大声で叫びながら追いかけるが、大人の男に追いつくことはできず、どんどん距離が開いてしまう。


「誰かっ! その男を捕まえてっ‼」


 カバンの中には決して多くはないが、お金が入っている。

私はひったくり犯を喜ばせるために髪を売ったんじゃないわ!

 怒りのあまり、普段以上の大声で叫んだ。その時。


 ドゴォッ!!!


 なんと、ひったくりの男が宙を舞ったのだ。



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