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episode9

「んん.....、、」

「あ、ごめん。起こした」

「おはようございます」

「おはよう」

京本さんの腕枕の中で目を覚ました。京本さんは私の前髪をいじっていた。

「眠れた?」

「はい」

すると京本さんはよかった、と一言言って体を近づけてきた。そして腕を大きく回し抱きついてきた。今度は彼の前髪がふわっと目にかかった。

「なんか力強くないですか?」

「ん〜.....はいはい」

「別に力強くしてって言ってないんですけど」

「そうですか〜」

「ちょ、もう!」

京本さんは笑いながら私のことを抱き上げてベッドの上でコロコロと転がした。自分の体が仰向けになったり、時には押し倒されたりした。

「目回るって!ストップ!」

「凛ちゃん困った顔してる〜」

「ちょっと待って!顔が近いです」

「ん〜?」

「.....はいはい」

京本さんに顔を迫られて躊躇いもあったが、朝方なのにキスをしてしまった。

軽くキスをした後、唇が離れたと思った瞬間、もう一度顔を近づけてきて長いキスをしてきた。逃げ場はなかった。

「んん...、、」

深いキスに思わず声が溢れた。京本さんの手が頭の後ろに回りおでこの距離が近づいた。

「———はぁ。京本さん、長いですって」

「え〜。嫌だった?」

「い〜や?全く」

私は笑いながら京本さんに抱きついた。ただ目の前で微笑んでる顔を見たら抱きつきたくなっただけ。

「いま何時ですか?」

「いまは.....7時くらい。そろそろ起きよっか」

京本さんは私の体を起こした。

「朝ごはんどうしよっか.....どうした?」

「あ、すみません」

ベッドから立ち上がり去っていこうとする京本さんを見て、心にぽっかりと穴が空いた気がした。私は彼の袖をつまんだ。

「凛ちゃん?」

「私も起きよっかな」

自然と京本さんの袖を離してスリッパを履き、リビングへ向かった。

「凛?」

「はい!」

「なにか食べたいものある?」

「う〜ん、今日はお米の気分です」

京本さんは了解と言い洗面台に向かった。顔を洗うらしい。静かな足音が部屋に響いた。

私は窓に目をやった。そこへ少しずつ近づいて、立ち止まった。

窓に手をやり、走る山手線を見つめた。勝手に浸り、なぜ私はここにいるのだろうと感じた。

消えようと思っていた私に、その手を差し伸べて救ってくれた。これを命の恩人というのだろうか。それとも簡単にそんな言葉を言ってはいけないのか。

どちらにせよ、私は京本さんが好き。これがひと時の恋でも、夢の中でも、私はそれでもいいと思ってる。京本さんと出会えたこと、全てが宝物だから。

———なに考えてるんだろ、私。

こんなことはいいから大人しく京本さんを待とう。そして今日は彼のお仕事現場に行く日。楽しみだな〜。

「ごめんごめんすぐに作るね」

「なにか手伝います」

「それじゃあお皿出してくれる?」

「分かりました!」

私は窓から離れてキッチンに向かった。ちょうど電車も通り過ぎ、駅のホームばかりが映された。

「京本さんのお仕事はどちらなんですか?」

「のどかなところだよ」

「へぇ〜。さらに気になってくる」

「びっくりしないでよ?」

「さぁー?どうでしょうね!」

私は京本さんの横に並び肩をぶつけた。京本さんの顔を見て笑うと、またデコピンをしてきた。

「あ!またやった!」

「凛が笑うたびにやりたくやっちゃうからね」

「もう、なんですかそれ」

たまに痛いけど、それすらも愛おしかった。




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