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episode13

「家のこと、ですか?」

「うん」

京本さんが真剣な目をしてる。

いつもはひっついてきたり、いきなりちゅーしてきたり、頭撫でてきたり.....って、今思えば、京本さんって案外かわいい?

いやいや、今はそんな事考えてる場合じゃない。目の前の話に集中しないと。

もう一度、背筋を伸ばして京本さんの目を見た。

可愛い猫を見るような目で見つめてくる。とろんとしてて、こっちまで幸せな気持ちになってしまう。

「どうか、驚かないで聞いてほしい」

「大丈夫です」

もう、何言われても頷く。京本さんの言う事全てを受け入れるつもりだ。

「う〜んと…ここの家は———」


「ここの家業は、政府公認の暴力団なんだ」


「.....え?」

ぼう、りょくだん?え、なに?どゆこと?政府公認?

「凛ちゃん?」

「あ、ごめんなさい。あの、もう一度、説明お願いします」

ぼーっとしてた。

「そうだよね。えっと...まず、俺の出身地は京都。しばらくはそっちで普通に生活をしていた。だけど、俺が高校生の時、両親が事故で死んだんだ」

「...っ」

声にならない声で、何も言えない。

なんで、京本さんはそんなこと、平気な顔して言えるの?本当は…..

「そして、父親方の叔父夫婦の元に引き取られた。それが凛ちゃんも会ったあの2人。つまり、血は繋がってるけど、彼らは本当の両親じゃないんだ。って、そんな悲しい顔で見つめるなよ」

「だって、だって、京本さん、いつもより声が震えてる。手も、こんなに」

そう言いながら京本さんの手を握った。

こんなに震えてるなんて。いざ触れてみないと分からない。京本さんは見かけによらず、弱気になりがちだから。

「凛ちゃん」

「この家の家業のこと、理解しました。そんなことよりも、京本さんのこと、教えてくれてありがとうございます。私も両親がいない身として、何かできればと思います」

私は京本さんに共感することができる。

彼みたいに亡き人になった訳ではないが、今どこにいるか分からない。とある理由があり、かなり昔に疎遠になった。あの時からずっと、会っていない。

「.....ごめん」

「なんで謝るんですか」

京本さんに抱きつきながら、背中を大きくさすった。肩に顔を埋めて鼻を啜っていた。もう濡れたって構わない。今はただ、京本さんがこうしていたいならこうしているだけ。

「大丈夫です。私がいますから。京本さんは1人じゃないって、確信して言えます」

「ははっ。凛ちゃんは優しいね。こんなに弱気になって、かっこ悪いよな」

「全く。ていうか、京本さんはたまに弱気になってますよ」

「え、うそ」

あとは笑って、辛い過去があっても笑ってればどうにかなる。

それはみんな同じ。

人はみんな暗い過去を持ってる。私も、あなたも。でも、それが全てマイナスになるわけない。どんな経験も今を生きる経験値になる。過去の自分は今の自分をもっと強くする。

「へへ」

「どうしたの」

「いや、いま頭の中で哲学みたいなこと考えてて、バカバカしくなっちゃって」

「なにそれ気になる」

「絶対教えません。恥ずかしすぎるので」

「ケ〜チ」

「あ!もう全然泣いてないじゃないですか!」

「いやいや泣いてる泣いてる。もっとさすって」

「やーだ!ってちょっと!」

「今日は逃がさん!」

また京本さんに捕まり、抱き寄せられて脇をくすぐってきた。くすぐり返すと思い切り口を開けて笑っていた。

この笑顔を絶対に守っていきたい。

家業だとか、過去だとか、そんなの関係ない。だって愛する人に求めるのは、愛だけだけだからね———

電気を消し忘れて、いつの間にか2人で眠っていた。




「んん...あれ、凛ちゃん?」

「京本さん!おはようございます。すみません、起こしちゃいましたよね」

「いや、全然大丈夫だけど…早いね。どうしたの」

「今から奥様のお手伝いをしてきます。朝食の支度ができたら起こしに来るので、それまでは寝ててください。」

壁にかかってる鏡の前で髪の毛を整えてる時、京本さんが起きてきた。そっと出て起こさないようにしたのに、ごめんね。

よし!髪型もバッチリ。浮腫もまぁ…..取れた取れた!

「じゃ、行ってきます!」

軽く手を挙げて部屋を出ようとした。

「凛ちゃん凛ちゃん」

「ん?どうかしました?」

呼び止められ、Uターンしてから京本半の前に屈んだ。

「ぎゅー」

「はぁ。はいはいぎゅー.....」


『凛ちゃーん!』


「え、あ、はーい!いま行きます!」

こんなことしてる場合じゃない!ここは京本さんの実家なのに、なんて失礼なことを...

「もうっ!京本さんここは実家です!余計なことはくれぐれもしないでくださいね!」

「ほーい」

もう...絶対反省してないし。まぁいいや。奥様のお手伝いして、とびっきり美味しい朝ごはんを作ってやる!

「はぁ。かわいすぎるって...」


「響さん!響さん!よし、完璧」

(本当は結構前から起きてましたよー)

鏡の前で名前を呼ぶ練習をしてる凛。その姿を微笑ましく見ているのは.....?

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