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第11話 君と歩きたい
夏の終わり。
空は高く、風は少しだけ涼しくなっていた。
港の坂道は、夕焼けに染まっていて、俺たちは並んで歩いていた。
弥生は、白いシャツにデニム。
髪を結んでいて、表情は穏やかだった。
でも、俺の心臓は、ずっと跳ねていた。
「弥生」
「うん」
「俺、好きだ!」
声が、風に乗って響いた。
弥生が驚いた顔をする。
でも、俺は止まらなかった。
「だから、同じ高校行って、一緒に登校しよう!」
その言葉が、空に溶けていった。
それ以上、何も言わなかった。
ただ、風が吹いていた。




