やるしかないか
「なあ石村、どうするよ俺ら全然人集められてないぞ。」
僕と石村はあの後頑張って人を集めようとしたが大半の人たちは僕らの話すら聞いてくれなかった。
「いやどうするって言っても僕にはなんもできないよ。」
確かに石村は声が小さすぎてちゃんと喋ってるのにいつの間にか存在を忘れ去られているレベルだ。
「うーん、あっそうだ石村生徒会長に言って来いよ、あの人なら何とかしてくれるだろ。」
「何言ってんだよ君、君がそれは行くべきだろう、君のほうが僕より距離近いんだし。」
石村はそこは冷静に否定してきた。
「いやどんだけ行きたくねえんだよ、まあ仕方がない、僕が生徒会長に言いに行くか。確かに君の言う通り僕のほうが距離は近いしね。」
「なにゆえ今君はドヤ顔なのですか、あなたは彼女の目の前で醜態をさらした張本人でしょう。妄想で、彼女との青春ラブストーリーを想像してね。」
石村は珍しく、僕に一番刺さる嫌味を言ってきた。
こういうときだけあいつは頭が切れるのだ。
「なんだよもう。」
僕は生徒会室へ足を運んだ。
「あのーすいません。」
僕がドアを開けるとそこには生徒課長と副会長が二人手をつないでキスをしていた。
「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
僕は今までにないくらいの大声で叫んだ、
「クッソ、クッソ、神様は僕になんでこんなにもひどい仕打ちをするんだおかしいだろどう考えても」
僕は生徒会室の前でひざまずきながら叫んだ。
「許せんなあ、許せんなあ。あいつらくそリア充目俺がこの手で成敗してやる」
怒りに包まれた声で言うと、
ガチャ
「ど、どうしたの。古川君なんでこんなところで跪いているの。」
「どうしたもこうしたもないですよ、なんで学校で二人してキスすなんかしてるんですか、しかも青海町と副会長が。」
僕が二人(副会長)をにらみながら言うと
「アハハハハ。」
二人は僕のことを笑い出した、
(なんだこいつら、まさか俺がキスごときで驚いていることを馬鹿にしてるのか。)
「あー腹痛え腹痛え、あのな俺らは決してお前が思っているのような下劣な理由でキスしてたんじゃねえよ。学際の練習だよ、俺ら両方演劇部だからよ。」
「え、学際の練習?」
僕は顔を真っ赤にしてその場を離れようとしたが、
「あ、ちょっと待って私たちに何か用があったんでしょ、どうしたの。」
(あ、そうだ部員を集めなきゃいけないんだ。)
「あ、あのですね僕同窓会を作ろうとしてまして、それには五人部員が必要なんですけど、一人しか今のとこ集まってなくて、生徒会長は顔が広そうだし、だれか今フリーな人って知っていますか。」
「うーん、まずどんな部活を作ろうとしてるの。」
(あ、一番聞かれたくないことを。)
僕は一番聞かれたくない人に一番の黒歴史を言うことはできないため、少しオブラートに包んだ言い方をした。
「今まで学校生活で味気ない毎日を送っていた人たちを集めて仲間として、楽しい学校生活を送るための研究をする同窓会です。」
「へえなんか新しいわね、でもなんか面白そうだし私も入ろうかしら。いやでも私は学校生活を満喫できているし、ちょっと入れないかも。」
(なんだこの人、嫌味なのか素なのかわかんないなあ。)
「まあ要するに陰キャを集めるということです。誰かいませんか。」
自分で自分のことを陰キャと認めているみたいで嫌だったが背に腹はかえれない。
「うーん」
会長が困っていると副会長が急に横から入ってきた。
「あ、指原って陰キャじゃん。しかもあいつ帰宅部だし、ちょっと呼んでくるわ。」
(別にてめえには聞いてねえし、ていうか勝手に僕らの楽しい会話の時間を邪魔するな。)
僕は睨みながらもその指原とやらが来るのを待っていた。
「あ、どうも指原です急に呼び出したりしてどうしたんですか。」
「いや、そこの一年が陰キャ集めてるって言っててよお前陰キャだしいいかなと思って。」
その指原という生徒はまさに陰キャというにふさわしく、身長はおそらく170前後眼鏡をかけていて、体格は普通だ。でも目の周りのそばかすが陰キャ間をより醸し出している。
(本当にこんな奴いるんだ、アニメでしか見たことないぞ)
「え、僕が陰キャ?まあ否定はできないですけどそんな陰キャですかねえ。」
(いやどっからどう見ても陰キャだろ。)
「すみませんが僕らの同窓会に入っていただくことってできますかね。」
「え、まあ別にいいけど君たち勘違いしないでね僕は異性との交流もあるし彼女もいますからね、一緒の段階だと思わないこと。」
「え、彼女いるんですか、この学校に?」
僕は驚いたそれと同時に副会長をにらみつけた
(あの人彼女いるくらいじゃ陰キャだと思ってるんだなくそ陽キャめ、てめえらがいいきにしてれるのは今だけ、社会に出たらてめえらなんて誰も相手しなくなるぞ。)
「いやこの学校ていうかまずこの世界にいないし、」
「えっどういうことですか。」
「だってアニメの中だもん。」
(ド腐れ陰キャだ)おそらくその場にいる全員が同じことを思っただろう。
僕含めみんな引いていた。
「まっまあ入ってくれるだけでもうれしいです。あと二人頑張って集めます。」
「すいません、ありがとうございました生徒会長。」
「あっ、うん。頑張ってね。」
「応援してるぞー。」
(てめえに入ってねえ。)
そんなことを思いながらも僕らは石村のとこへと向かった。
残すはあと5日、期限以内に掃除を完了し、部員を見つけなきゃならない。
「はあ、ほんと前途多難だ。」