仲間ができたエピソード2
「さっきのはほんと疲れたなあ。」
何だってこんな朝っぱらからあんなちゃらぶカップルになど遭遇せねばいかんのだ。
と、僕は校長先生の長い話を聞きながら思っていた。
「次は、生徒会長からの挨拶です。」
ああそういえばあの人、生徒会長だとかなんだとか言ってたな。
「皆さんようこそ正教学園へ、生徒一同皆さんを心から歓迎いたします。」
「やはり僕が見込んだだけの人だ、いかにもリーダーといったオーラが漂ってきている。」
と、先ほどの醜態を忘れるために自分をどうにか肯定しようとしながら話を聞いていた。
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「やっと終わった~。」
ようやく話が終わり、みんながそれぞれ自分のクラスへ行こうとしていると、
「ドン!」
何かが落ちる音がして、振り返るとそこには眼鏡をかけた黒髪のやせ細った男子と、少し茶色がかった髪をしている少し小柄で可愛い女子が転んでいた。
「さっきのはぶつかった音だったんだな。」
周りからの視線が集まる中、
「だ、大丈夫ですか?」
黒髪男子が先に声をかけた。
「はい。あなたこそ大丈夫?」
とてもかわいらしい声だった。
「ぼ、ぼ僕はだいじょうぶです。それより本当にお怪我はありませんか?」
黒髪男子は少し緊張している様子だった。どうやら彼は僕と同じで異性との関係性など皆無のような男だったのだろう。
「おい、大林大丈夫か。」
と、手を差し伸べながら不意に後ろから声をかけてきた男子生徒がいた。
「大丈夫。」
女子生徒は男子生徒の手をとり、むくっと起き上がった。
「おい、おまえも大丈夫か。」
男子生徒は黒髪男子にも手を差し伸べた。
「あ、ありがとうございます。」
黒髪男子はてをとり、起き上がった。
「本当に済まない。」
男子生徒が顔を下げた。
「え、なんであなたが誤るんですか?」
黒髪男子は困惑した様子だった。
「いや、まあこいつは俺の幼馴染でよ、ドジだからすぐこけたり人にぶつかっちまったり、本当に忙しないやつなんだ。だから俺が毎回こいつの保護者としてこいつを見張っているんだが、すぐどっか行っちまうからよ、スマン。」
男子生徒はまた頭を下げた。
「別に私はあなたを保護者なんて思っていませんけど。」
女子生徒は少し怒った顔でプイとそっぽを向いた。
「あれ、このような光景どこかで見たことあるような。」
僕は思った。もしかしてこの黒髪男子も僕と同じでこんな美人とワンチャンなんて思っているのでは、
そう思い、男子生徒の方を見ると、口元で何かささやいているように見えた。
よく観察してみると、
「呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる・・・」
ぼくはおもわず「ヒイッ」と言ってしまった。
「ん、どうしたの、えーとあ、まだ名前を聞いていませんでしたね。私は大林六海。そしてこいつは、
黒鉄鋼機。あなたは?」
黒鉄鋼機、親はたぶん両方もの造りがすきなんだろうな。それにしてもがっしりとした体つきだ。
しかもかなり日に焼けている。幼馴染とは正反対だ。
「ぼ、ぼ僕は石村聡。よろしくお願いします六海さん」
「むつみでいいよ。よろしくね、さとっち。」
「さ、さ、さとっち!」
彼は顔を赤くさせながら終始顔はにやけていた。
「あ、もうこんな時間。早くクラス行かなきゃ。じゃ、さとっちも遅れないようにね。」
二人が去ると、
「あの鉄鋼野郎が。」と、弱弱しい声でさとっちが言った。
僕はその時さとっちと運命を感じた。「ねえ、石村君。」
「あん!」
僕は腰を抜かしてしまった。
「あ、ごめんごめん大丈夫?」
「あ、うん大丈夫です。」
僕は思わず敬語になってしまった。こんなおとなしい顔立ちからとは思えぬ怒り狂ったような声だった。
「ねえ、」
僕は率直に聞いた
「ぶっちゃけさっきもしかしてワンチャン付き合えたりする展開来たかとか思っただろ。」
「そ、そいなこと思ってませんけど。」
彼は顔を赤らめながら急に関西弁で返答した。
「やっぱね、いやあまさかこんなところに僕と同じような境遇を思った人が現れるとは。」
僕はなぜか今までにないほどの笑顔で言った。
「なんだよ、なんでそんな、笑顔なんだよ、お、面白いかよ、それなら存分に笑ってくれよ。その方が僕もうれしいからさ。アハ、アハ、アハハハハハハ。」
「いやいや違うんだって、言ったでしょ僕と同じ境遇を持った人がって。僕も先ほど同じような目にあったんだよ。」
「え、あなたもですか。そんなことあるんですねえ。」
「あ、やばい僕らも早くいかないと続きはHR終わってからにしよう。君何組?」
「四組です。」
「あ、僕も同じだよじゃあこれからよろしくね。僕古川旺太。」
「僕は石村聡です。」
続く。
何か良かったところや直すべきところがあればお願いします!