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知らなかった初恋。

作者: 先駆者

殴り書きです。失恋をしてる人でも良いです。今恋をしてる人でも良いです。誰か1人でもこれを読んで読んでくれたあなたの心を動かせたら良いなと思います。

最近同じような夢をよく見るようになった。

それは遠い昔の体験談を元にした夢だった。

その夢を見始めた頃は何かもよく分からず起きたら忘れていた。

気がついたらだんだん夢の内容を覚えるようになった。

いつからこの夢を見始めたのかもよくわかっていない。

ただわかるのは夢の中では必ず1人の女の子がいる事だ。


その女の子には見覚えがあった。

僕の中学の同級生で同じ部活に所属していた子だ。

彼女はとても明るく笑顔が素敵だった。

僕とは真反対の人間だった。

中学一年生の時にやらかしてしまい周りからはいじめられていた。いじめに参加していない人は全員僕に対して無関心を装った。

もしかしたら本当に無関心だっただけかもしれない。


2年生になって彼女と同じクラスになった。

多分その時初めてまともな会話をしたと思う。

いじめはだんだんと表向きはだんだんと落ち着き、ただの嫌われ者になっていった。

僕は友達は少なく友達に見捨てられないように嫌いな人でも無理やり仲良くした。

でも彼女は笑顔で話しかけてくれた。

夢の中だけなのかもしれない。本当は笑って話しかけてくれたわけではないのかもしれない。嘲笑っていたのかもしれない。それでも彼女の笑顔は太陽のような輝きを放っていた。


夢をみる。

図工室で自分がカッコつけて椅子を傾けていると後ろにいた君が笑っていたずらをしてきた。僕は意地を張って寝たふりをした。

なんで話しかけなかったんだ。なんで寝たふりなんてしたんだ。

声は届かない。

部活で僕は1番強かった。

彼女が言ってくれた。

〇〇って本当に強いよね。今日教えてくれない?

そう言った。

僕はめんどくさいフリをして、でも少しだけアドバイスをした。

もっと話せよ。意地を張るなよ。

そう言うけれど声は届かない。

いや、声すら出せない。


3年生になった。

いじめはなくなり、少し嫌われてるけれどそこそこ友達も増えた。

彼女とは別のクラスになった。

夏休み前、部活が終わった。

彼女と会う唯一の時間が終わった。

話すことはあまりないけれど彼女の横顔を見れる今の僕からしたら夢のような時間が終わってしまった。

唯一思い出すのは彼女と会えるかもしれない。そう思ってたった10分の帰り道だけどわざとゆっくり歩いた事だけだ。

それ以降の夢は見ていない。

多分話さずにそのまま卒業してその時になんの接点もない赤の他人に僕たちはなったのだろう。


 高校生になった。

少し経った後中学の友達の連絡先を全て消した。

入っていたグループチャットも抜けた。

入ったばかりの頃は誰かから誘われることを夢見ていた。

結局誰からも連絡は来なくて意地を張ったからだ。

高校は中学よりもはるかに楽しく全てを忘れて今を楽しんでいた。

夢は見ていなかった。


 大学生になった。

サークルも入らず友達も少ない。

高校の友達としか遊ばなかった。

大学2年生になった。少し友達は増えた。

成人式の誘いが来た。

僕は地元の幼なじみを誘って2人で行くことにした。

知らない間にグループチャットに入っていた。

中学の同級生のグループチャットのようだ。

こちら側から消していても相手からは誘えるらしい。

すぐに退会した。

中学の友達に会う理由なんてなかったからだ。

僕には友達が沢山いたからだ。






























嘘だ。

本当は自分に自信が無かったからだ。

惨めな自分に戻りたく無かった。

だからすぐに抜けた。

見たくも無かったから。


成人式の当日になった。

僕と幼馴染は30分ほど前に到着して入り口近くの席に座った。


天罰だったのかもしれない。

醜い自分から目を背けてはいけないという神から与えられた罰だったのかもしれない。


いや、本当は最後に僕に垂らされた蜘蛛の糸だったのかもしれない。


僕たちの前に見たことのある顔ぶれが揃い始めた。

それは中学の同級生達だった。

僕の抜けたグループチャットでどこら辺に集まるかを決めていたのだろう。

僕は俯いて顔を隠した。

友達にはやばいやばいと笑いながら下を向いた。

でも本当は声をかけて欲しかったのかもしれない。

またあの女の子と話せるから。

でも多分、この時には蜘蛛の糸は切られていた。



声はかけられなかった。

幼馴染は高校の同窓会へ行った。

僕は寂しく1人で歩いて家へ帰っていった。

あの時のようにわざとゆっくり歩きながら。


そして夢を見るようになった。

日に日に夢は鮮明になってくる。

中心にいたのはいつもあの女の子だった。

起きるたびに胸が苦しかった。

初めは中学の頃の夢を見て苦痛な思い出だったからだと思った。

でも違った。

夢に見る光景はいつもあの女の子の笑顔で僕は夢の中では幸せだった。

そして起きるとまた胸が苦しかった。

そして気づいてしまった。


多分あの女の子は僕の初恋だった。

今更気づいてももう遅かった。

あの女の子の連絡先は知らない。

名前すらわからない。

多分もう同窓会にも誘われないだろう。

でもこれだけは分かる。

意地を張らない今だから分かる。

あの女の子は僕の初恋だった。

気づいた時には終わっていた。好きになったと同時に失恋した。

けれど何年経っても忘れられないぐらい熱く、情熱的で、胸が焼かれるほどその女の子の事を思っていて、そしてさみしい初恋だった。


多分彼女の側にはきっと笑顔が素敵な人が立っているんだろう。

そう考えるだけで胸が苦しかった。

早く忘れたい。そう思っても忘れられない。

そう思ってると1日が終わる。

寝る時間だ。

そしてまた同じ夢を見る。

もう目にすることも出来ない。

声すら聞けないあの女の子との日常を。


目が覚めると胸がとても苦しかった。

初恋は忘れられないとは聞くけれど、忘れたはずの初恋を、気づくこともなかった初恋を、知る権利すら与えられなかった初恋を今になって思い出すとは思わなかった。


失恋は辛いと言うけれどもうそんな昔の失恋が今になって自分を苦しめるとは思わなかった。


そして今日もまた張り切って1日を過ごす。

あの女の子よりも好きな人ができて、幸せになって、そしてもうあの夢を見ないために。



頑張ったから今日はもう寝ようと思う。

あの忘れられない笑顔をもう一度見るために。







後悔はしないようにしてください。そうは言っても結局後悔はします。大人はみんな後悔しないように生きろと言うけれど、その通りだと思います。けれどそんな簡単にできるなら後悔しないように生きろと言う大人はいません。

だからこれを読んだあなたに言いたいです。

後悔はしても良い。

その後悔から学んで次に活かせなくても良い。

ただ頑張ってください。

夢を見ないように。

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