4話
「さぁ乗れ。己の力を知りたければ!」
「力?あの光の事か」
微笑むオッサン。
俺とオッサンはエレベーターに乗り、下へ向かってく。
初対面の人とエレベーターで2人きり、結構気不味い雰囲気が漂う。
「あの、助けてくれてありがとうございます」
助けてくれたのか分からないが、とりあえずお礼は言っておこう。
「ワシの名前はダビデ!」
お礼を言ったのに聞いてない、まぁいいだろう。
「俺の名前はアラ。よろしく!」
「アラか良い名前だ!」
その台詞聞き飽きてるぜ。
「よく言われるんですよ。変わった名前だって!」
微笑むオッサン。
めっちゃ笑うし、本当に大丈夫なのかこのオッサン。
するとエレベーターが止まった。
「さぁ降りてみんさい!」
言われるがままに、俺は降りた。
そこには床一面に、魔法陣が書かれた部屋が広がっていた。
「すげぇ!!」
壁は赤く発光している石だ、洞窟の一部を連想させる。
「なぁラアよ。まずお前が先程白い光を放った現象、それは恐らくミカの加護だ!」
ミカの加護?それと名前間違えてますけど、まぁいいか。
「それはなんでしょうか?」
「ワシにもわからん」
ダメだこのオッサン、なんか胡散臭いと思ってたんだよな。
「ただ、何かしらの影響で、御主はミカの加護を継承している。御主この世界の者じゃないな?」
ブルだぜ!オッサン!
「あの、そうなんだよ。俺この世界に今日来たばっかりで色んな事があり、ここにぶち込まれてしまったんだ」
「これも運命なのか……ヌトよ」とボソッと言った。
「あの、ミカの加護って実際俺以外で見たことあるんですか?」
胡散臭い話はやめて帰ろう。
あぁ、トロルみたいな奴ら倒したから、戻ったらめんどくさいことになるだろうな。
「んーあるよぉー!」
「え?あるんですか!」
「確か20年前だな、御主と似たような青年だったな。御主、兄弟はおるんけ?」
兄弟なんかいない、むしろ居て欲しかったくらいだ。
「俺は幼い時に両親を亡くし、ばあちゃんに育てられたんだ」
「そうだったのかい、これは失礼したな」
ゆっくりと魔法陣に向かってダビデが歩き出した。
「いいか、ラアよ。御主の力をワシが引き出してやろう」
立ち止まったと思ったら、こちらを向いている。
「ゼカ!」
どうやら、風の魔法らしいな……。
物凄い勢いの風が押し寄せて来る。
「バンッ!!」
吹っ飛ばされ壁に打ち付けられた。
「がはっ!いきなり何するんですか!」
「おかしいのう、今はその加護が発動せんかったのう」
俺もそう思った。
「御主、まずその加護を使いこなせるようにならんとな」
と言われても人生でさっきが2回目、そんな頻繁に出せるのか?
すると、ダビデは技を連発して来る。
「御主を殺してしまうかもな、ホッホッホ!!」
「ゲゼカ!ゲゼカ!!」
これは冗談じゃない。
さっきよりヤバそう……。
「くそ!加護さえ発動してくれれば!」
「ゲゼカは最強魔法の1つ!ほう、これを耐えているとは魔力耐性がかなり高い」
だがダメだろうな……。
「加護を使わなきゃ、今のお前さんなら耐えてもバラバラにされちまうよ!」
「うおぉぉぉ!」
必死に耐えるが、これが結構きつい。
どーするこの状況、こーなったら。
「ゲゼカ!!」
なんとか打ち消す事ができた。
「ゲゼカを使っただと!やはり……御主、余程の才能があるようじゃ!」
試しにやってみたが意外と簡単だな、社畜労働と比べればなんて事もない。
その後も、ダビデから色んな魔法を教えてもらった。
「1日でこれだけの魔法が使えるようになるのは素晴らしいのう」
「そういやぁ為してみたいことがあるんだ。グウドと言う魔法なんだが……」
「グウドか、すまん1番最初に教えるべきだったな、グウドはアイテムや持ち物を出す事を言うんじゃ!これは魔法ではなく、どちらかと言うとスキルじゃな。ほれやってみろ」
手を前に出し、頭の中で想像する。
「グウド……エクスカリバー!」
「ふっ!まさかな、やるだけはタダや!」
おっ出てきた!
「おぉい!?御主それはエクスカリバーか?ちょっと見せてみろ!この見た目だから気づいてるかも知れないが、ワシはドワーフなんじゃ!ワシの祖先は鍛冶屋でな。本物かどうか確かめてやるわい!」
確かに言われてみればドワーフっぽいな。
「これは!!本物じゃ!」
エクスカリバーが本物で、力もつけたのならば俺は最強。
「待て、ラアよ。御主にワシの知る全てを託す。だから少し付き合っとくれ」
そんな事を言われたら断れない。
「ああ、わかった!」
その後1日いや2日くらい地下に立て篭もり、地に果てるくらいまで修行と、この世界に昔起こったことや、現場を教えてもらった。
最終的にダビデのオッサンは、投げやりになり。
「お前もう行ってこいよ、はやく!強すぎんだよお前」
どうやら疲れてたらしいな……。
そして俺は、留置所まで戻った。
それにしてもこの貰った首飾り、赤染石で出来てるといってたけど詳しい事全然聞けなかったな。
まぁいいか。
明日の午前中に俺はここを脱獄する。
真の力と共にまずは、城にいこう……。