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聖しこの夜に

作者: 清水悠(Yew)

 買い物客で賑わうクリスマスの前日。

 町を見下ろす公園のベンチに老人が一人。

 そこにランドセルの女の子が通り掛かる。


「おじさん、何してるの?」

「夕陽を見てたんだよ。お嬢ちゃんはこんな時間に学校帰りかい?」

「うううん、がくどうからしせつにかえるの。ゆうひ、きれいだね」

「ホワイトクリスマスとはならなかったけどね」

「クリスマスでもおてんきなのがいいよ」

「そうだね、雪だと大変だ」

「ねぇ、サンタさんってほんとはいないの?」

「どうかな? おじさんはいると思っているよ」

「でもね、たけしくんがサンタさんはいないって」

「お嬢ちゃんはどう思う? サンタさんにいて欲しい?」

「うーん、わかんない。まみのプレゼントはね、おにいちゃんがくれるんだよ。『サンタより』って書いてあるけど」

「へぇ、お兄ちゃんからって書いてないのにわかったの?」

「うん。でもね、サンタさんのふりをしているからだまってるの」

「そうだね、それがいいね」

「でもね、おにいちゃんにはプレゼントがないの。サンタさんがいるならなんでおにいちゃんにはないのかなぁ」

「サンタさんもがんばっているんだけどみんなにまでは行き届かないんだね」

「ふーん。まみにはおにいちゃんがくれるけど、おにいちゃんかわいそう」

「それじゃこうしよう、おじさんからお兄ちゃんにプレゼントをあげよう」

「ほんと?」

「まみちゃんが親切にしてくれたお礼だよ。でも、お兄ちゃんには内緒だよ」

「うん、わかった」

「それじゃ、お兄ちゃんの名前を教えてくれるかな」

「まこと、ひいらぎまことって言うの」

「そうか、後でこっそり届けておくよ。さぁ、そろそろ暗くなるからお帰り」

「うん、ありがとうおじさん。バイバイ」


 老人が女の子が駆け去るのを見届けていると、背後から声が掛かる。


「マスター、そろそろ次の国に向かいませんと間に合わなくなります」

「ルドルフ、一箇所寄り道してからだ」


 振り返ったその手には、いつの間にか「柊 真くんへ サンタより」と書かれた包みがあった。


 聖しこの夜、クリスマスの夜に見た夢を、思い立って書き起こしてみました。


 今年後半は全く投稿できませんでしたが、年の瀬になってやっとできました。


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― 新着の感想 ―
[一言] みんなに、楽しい素敵な思い出が残るクリスマスだったらいいですよね。 お兄ちゃんは、施設の、年長さんなのかな? 頑張っている真君、きっとサンタ基準では「子ども」の年齢ではないのでしょうけれど…
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