絶望から這い上がる炎上系Youtuber
ー炎上系Youtuberー
過激な投稿を中心とし、悪目立ちをして人気を出していく者たちだ。
そしてこの俺、西島翔太もそのひとりだ。
道なき道を車で進んでいく。
車体は常にガタガタと激しく揺れており、車酔い強い俺でさえ気分が悪い。
辺りは既にライトがなければ何も見えないほど日は沈んでいる。
「なあ真司、これって本当に道あってるのか?」
「安心しろ、俺が入手した地図に間違いはない。
黄泉トンネルはこの方向で合ってる。」
谷脇真司。
彼との出会いは高校の新聞部だった。
ただ学校の出来事を記事しても面白くないという考えが一致して二人で良くネタ探しに奔走した。
校長のパパ活や清楚系生徒会長が他校の女子とやりまくってるのを記事にして数々の伝説を残したものだ。
二人で何度も停学をくらったものだ。
そんなこんなで二十歳になった今では一番の親友だ。
「心霊系トンネルのネタって今どき弱くないか?」
「良いんだよ。花火とかも大量持ってきたし、取れ高
が少なくても色々できるだろ。」
すると後部座席から優香が顔をのりだしてきた。
「それに夏の思い出にいいじゃん。」
中町優香。
俺らの最後のメンバーだ。
こいつとは幼馴染で子どもの頃からいつも一緒にいた。
一番の特徴は誰もが認める美人ってことだ。
高校を卒業後、Youtuberになると言ったときに私もやりたいと言われたときには心の底から驚いたものだ。
俺らはこの3人で活動をしている。
今は活動二年目で登録者は、四十万人を超えたところだ。
かなり順調と言っても過言ではないだろう。
真司の地図を頼りに、ナビには載っていない黄泉トンネルへと進んでいく。
ネットの都市伝説では何でも異世界と繋がってるだとか悪魔の住みかなど様々だった。
それにしても、オンボロの中古車でけもの道を進むため揺れるのぶつかるので散々だ。
こんなことならもっと良い車にしとけばよかったと今更ながら後悔した。
あぁ、早く経費でベンツを買えるようになりたい…
ここが黄泉トンネルか…
入り口は半分以上塞がれておりここからは歩いて行くしかなさそうだ。
見るからに不気味でホラー映画にはもってこいだ。
事前に準備しておいた懐中電灯を手に中へすすんでいく。
「ねえ、そろそろもう帰らない?一時間以上歩いてるよ?」
優香がグチをこぼし始めた。
それもそのはず、一時間近く歩いても最奥部にたどり着かないからだ。
「なあ真司、二十分もかからずに奥に着くじゃなかったのか?」
「地図だとそのはずなんだけどなぁ…」
頭をボサボサとかきながらそう答える。
やれるだけの企画もやったしそろそろ帰るかとは思っていたときのことだった。
遂に最奥部にたどり着いた。
しかし、そこには大きな扉がありまだ先がありそうだ。
「どうする?まだ先に進むか?」
「扉は開けるだけ開けて、何もなかったら帰ろうぜ。
流石にもう疲れた。」
優香もその意見に賛同し、俺は力を込めて扉を開ける。
古びた扉はギィーと音をたてながら開いた。
明かりを奥まで照らしたその時だった。
「キャーーーーー」
優香の絶叫が響き渡った。
俺はその光景に恐怖が強すぎて言葉すら出なかった。
そして激しい吐き気まで込み上げてくる。
そこには言葉に出来ないほど無惨な死体があった。
それも十や二十は軽く変えるほどだ。
一番の特質すべき点は背中には羽が生え、手には大鉈を持つ人間とは呼べない不気味な者がいたからだ。
「逃げろ!!!!」
真っ先に状況を判断したのは真司だった。
腰が抜けて動けない優香の手を引きながら全力で元の道へと戻る。
ヤバいヤバいあいつはなんだ。
何でこんなところに殺人鬼がいるんだよ。
とにかく逃げることが最優先だ。
隣で走る、足が速い真司に先に車に行きエンジンをかけろと叫ぶときだった。
真司の首が吹っ飛び、血飛沫があがっていた。
そして先程の化け物が行き先を阻んでいた。