表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いじめられっ子涼月さん  作者: 大居暗仔
3/6

桜川の最期

 あの夜、僕は放課後に遊び疲れた桜川を尾行していた。

 帰り道に一人になり、無防備に狭い路地に入った彼女に声をかけた。

「こんなところでアンタが一体なに?!」

 強気な態度を崩さない彼女に、僕はナイフを取り出しながら言った。

「君はヘンなヤツ同士が群れている、と僕と涼月さんの関係を指して言ったよね」

「だからなに!?」

「僕は不思議に思ったよ。桜川さんの方がよっぽど群れているじゃないか」

「は? 意味わかんないし!」

「普段から群れている人間が、群れのトップになった人間が、たった一人になって一体何ができるのかな? それを見せてもらう」

「ちょ、ちょっと待てよ――待ってって。私が何したの? 来るなよ!!」

 桜川を殺すのは随分と簡単だった。事前に業務用のブロック肉を買い、ナイフを突き立てて感触に慣れていてよかった。桜川の感触はそのブロック肉と大差なかった。骨を避けるのが面倒だったくらいで、あっという間に桜川は物言わぬ物体になった。

 僕は血に塗れた上着でナイフの血を拭うと、そのまま上着を捨ててその場を去った。

 別に捕まりたいと思ってはいなかったけれど、捕まってもやむを得ないと思ってはいた。人を殺すという目標を達成するというのはそういうことだ。

 少し困ったことがあった。

 案外、桜川の死体の発見が遅れたこと。

 警察が僕の元に辿り着くまでまだ時間がかかりそうなこと。

 そして、人を一人殺して満足するどころか、捕まるまではもっともっと殺したいという欲求に駆られてしまっている自分自身だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ