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いじめられっ子涼月さん  作者: 大居暗仔
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いつか人を殺したい

 いじめっ子桜川といじめられっ子涼月さんにある程度触れたところで、僕自身のことを話そう。

 僕は昔から一度人を殺してみたかった。

 子供の頃から人はさまざまな夢を見るものだと思う。野球選手になりたいだとか、お菓子屋さんになりたいとか。現代流に言えばYouTuberとかも入るだろうか。

 そういう自分にとっての目標、将来やってみたいことに、僕の場合は当たり前に人を殺すことがランクインしていた。

 将来やりたいことというか、将来を棒に振るというか、やったら多分完全に人生が終了してしまう選択肢なのだけれど、僕はとにかく一回は人を殺してみたいと思っていた。

 それは自分の中ではあくまで軽い感じの欲望で、例えば食欲とか睡眠欲と当たり前に並んでいるようなイメージだったのだけれど、それはもちろん達成困難な目標だった。

 ただ、自分の人生にリスクがあることは把握していたが、それでも人を殺してしまうことへの忌避感自体はまったくと言っていいほどなかった。

 だから、自分はいつか人を殺すことになるんだろうな、と思っていたし、それはいつになるんだろう、とぼんやりと考えていた。

 桜川がその対象になったのは本当に偶然のようなものだ。彼女には事故にあったようなものだと思って、さっさと諦めて成仏してほしい。

 とはいえ、さすがに殺すことになるきっかけのようなものはあった。

 僕と涼月さんが、友人のようなものだったからだ。放課後に少し話すくらいの関係性だったけれど。それでもその涼月さんをいじめている相手というのは、十分に殺す相手として挙がりうる。

 しかし、それは別に涼月さんを守りたいとか、そういう気持ちではなかったと思う。

 僕にとって一番重要なことは、人を殺してみるということだった。それが叶うのならば、それがいつになるか、ただそれだけの問題でしかなかったのだ。

 それに桜川とはほぼ接点がなかったけれど、放課後限定とはいえ、涼月さんと繋がりがあるのが気に食わなかったのか、一度、

「ヘンなヤツ同士って群れるのね」

 と煽るように言われたのを覚えている。


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