厨二小説の憂鬱
時代考証もできていない江戸時代。
なんでやねん。
ーーまぁ江戸時代とかって憧れるじゃん? 平安時代とかよりテレビで見る事多いし、イメージもつきやすい。戦国時代はマニアがいるから緻密な時代考証が必要そうだし。
そう、なんか皆のイメージしやすい異世界感があるんだよな。特に小説ってイメージが沸きにくいと読者もついてこない。
最近の異世界は所謂剣と魔法の世界を軸にしていて、ドラゴンとか王国とか日本人が体験したこともない筈なのに皆一様に服装とかイメージできるじゃん。
あれすごいよなー。鎧の騎士や魔法使い、村人や王様お姫様、何となくでも雰囲気とか社会における立場とか服装とか想像つくもんな。
その分、余計な説明に文章を割かなくても済むしこれから起こることもいくつか想像できる。
ーーで、江戸時代にしたんだ?
いやこのときは多分、読んでいた漫画が和服回だったんだと思う。
普段洋服のキャラが和服だと、こう、ぐっとくるものがあるんだよ。
ーー高校の時、いつも制服を来ていた女子の私服を見たときみたいなやつか。
まあ否定はしないさ。
とにかくまず初っ端から江戸時代なわけだ。
で、読んでいくとわかるけど主人公は女性。
ーーえ、いいじゃん。よくあるじゃん。
これが痛い。俺の当時憧れていた女子がモデルだ。
ーーあぁ、それは痛いね。フォローできないや。
男の書く女ってどうしてもぼやっとするんだよな。
ーーだから、この主人公の言葉遣いが男っぽいの?
いや、それは当時の俺の趣味。あとポニーテール。クラスですごい格好いい女子がいてさ、男言葉使う女子って普通オタクに分類されるのにその子は可愛くて運動もできて学級委員もやっててさ。
ーーあーそうかい。
なんかさ、主人公って男性が多い気がしないか?少女漫画は除いてくれよ。
女性主人公って所謂少年物やバトル物ではあまり見ないじゃん。デストロ24○とかは好きだよ。スレイヤー○も。でも本当にあまり見ない。
ーー「少年」物だからじゃないの?でも、最近は性別関係なく読者がいるよね。
そうそう。女性読者もいる筈なのに、やっぱり圧倒的に多い男性主人公。
俺はこの禁域に足を踏み入れてしまったわけだ。
ーーそんな大袈裟な。
そしてこの話には俺の秘部も含まれている。
ーーほう?
ずばり、ハーレムが好きか逆ハーレムが好きかだ。
ーーわけがわからないよ。
何に嫉妬するかにも置換できる。
大学の時に友人としていた他愛もない話にこんなテーマがあった。
自分の好きな人が
女1人男4人の部活にいる方が嫌か
女4人男1人の部活にいる方が嫌か
ーー妄想が過ぎる。
大学生なんてそんなもんだろ。ちなみに俺は後者の方が嫌だった。
理由は何となくだ。女1がちやほやされるより、俺の好きな女が男1をちやほやしている方が想像していて嫌だった。
ーー本当に妄想が過ぎる……。自分の好きな人が好意を受動しているのか能動しているのか、ってことかねー知らないけど。
つまりこの話は、主人公以外ほとんど男性なんだわ。
ーー全然つまってないし、極端だなぁ。
わかってるよ。だから色々痛い小説なんだって。
まだまだあるぞ。
読み仮名がないと読めない名前。
当時ハマっていた漫画から拝借した名前。
重要人物にはリアルな友達の名前。
ーー名前ねー。
当時はすごく考えたんだよ。
小学生向けまでのアニメだったら、名は体を表しても許されるじゃん?
炎を使うキャラは名前に炎が入っていたり、場合によっては名字に入っていたり。
実は名前の時点でネタバレだったり。
例えば炎の能力を使うのに名字が水鏡、実は出生に秘密が…みたいな。
読者はそういうのを何となく認知しないように読んでいくもんだよな。
他に、読者が気付いても登場人物は気付かないってパターンもあるな。
実は王族には生き別れの兄弟がいた→あれ? あいつ目と髪の色同じじゃない?
って、読者は気付くけどなぜかその世界の人間は気付かない。
ーーまぁテンプレってやつだよね。特に日本人は、実は血縁でしたーみたいなのが好きだと聞いたことあるよ。有名な映画監督が言ってた気がする。
読者が気付いていることを登場人物がどう気付くか、っていう読む楽しみはあるよな。
他にも、何故か木の上で会話。
でも漫画の扉絵とかは結構木の上に乗ってないか? その影響だろうか、いざ文字にすると結構きつい。木の枝? どこに立ってるの? と説明しないとイメージしにくいし説明すると長くなるし。
龍とか鳳凰のネックレスとかも痛い。
四神に憧れる年頃ってあるよな。
火を使うキャラは鳳凰とか、ありきたりすぎで……。
で、ネックレスとかのアクセサリーは大体曰く付きの品だったりするんだよ。大事な人から譲り受けたーとか、すごい力を秘めているーとか。細かい描写がされているアクセサリーは間違いなく何かある。持ち主のお洒落で付けていることはほぼ無いと言っていいだろう。
そして外せない異能力!
誰しも一度は想像したことがあるだろう。
腕から出る炎、氷を纏う剣、空を切り裂く雷を指先で操る力。
まぁ、わかるだろ?
色々やっちまってるわけだよ、この小説は。
裏タイトル
そのままです