脳内ワイヤレスイヤホン
この前見た夢が、まるでコントのようだったので文字に起こしました。
それだけです。期待はしないで下さい。
A「うーん、今日も良い天気だなぁ~。
よし、音楽でも聴こうか。
(ポケットからイヤホンを取り出す)
A「うぁあ~、滅茶苦茶絡まってるじゃん。
そろそろワイヤレスに変えたいなぁ……
B「聞きましたよ!!
A「うわぁ!? あんた誰!?
B「ふっふっふ。細かいことは気にしないで下さい。
A「いや、気にするよ。
B「いま、ワイヤレスイヤホンが欲しいと、言いましたね?
A「まぁ、ワイヤレスに変えたいなとは言ったよ。
あんたには関係ない話だろ?
B「いいえ、あります。
貴方にとっておきのワイヤレスイヤホンを授けましょう。
A「とっておきのワイヤレスイヤホン?
B「良いですか? 後ろを向いていて下さい。
A「後ろ?
B「ハァッ!!!!
(後頭部を手のひらで張り手のように叩く)
A「痛ぇっ!! 急に何するんですか!
B「ふっふっふ。まぁ、そう怒らないで下さい。
A「急に後頭部を叩かれたら誰だって怒りますよ。
B「左のコメカミを五秒間、強く押してみて下さい。
A「コメカミ?
B「私がやりましょうか?
A「ああ、はいはい、押せば良いんですよね。
(コメカミを長押しする)
B「もっと強く!!!!
A「イテテテテ!! 何をさせるんですか!!
脳内『ペアリングしています!
A「うおあ!? なんか喋った!?
B「ふっふっふ。驚きましたか?
これが脳内ワイヤレスイヤホンです。
A「脳内…… ワイヤレスイヤホン……
B「あっ、そこに電波が飛んでますよ!
逃げる前に掴んで下さい! その手で!!
A「えっ、電波!?
B「ほらそこ!!
A「えっ、何処何処!?
B「もっとダイナミックに!!!
A「ダイナミックに!?
B「まるでソーラン節を踊るように!!
A「ソーラン節!?!?
B「はーどっこいしょーどっこいしょー!!!!
A「ソーラン!? ソーラン!?
B「掴んだ!!
A「えっ!?!?
脳内『接続しましたぁ☆
A「おお、また喋ったw
B「貴方好みの声で喋るんです。
A「随分と可愛い声してるじゃないか。
うーん、いつかこんな彼女が欲しいわ。
脳内『お断りしています。
A「断られた!?
脳内『(ゲームオーバーの音)
A「負けた!? 挑む前から負けた……!?
B「ふっふっふ。その日の気分に合わせて、
好みの音楽を再生するシステムになっています。
どうです? 凄いでしょう?
A「はぁ…… まぁ、悪くは無いけど……
B「このワイヤレスイヤホン、今ならなんと!
税抜き53万円でお買い求め頂けます!!
A「……お返しします。
B「何故!?
A「いや、何故って、
こんなの悪質な訪問販売と一緒じゃないですか。
そんな高額な商品買いませんよ! お返しします!
B「いや…… そう言われましても、
既に貴方の脳内に埋め込んでしまったので……
A「いや怖っ!!
何勝手に埋め込んでくれてるんです!?
B「まぁまぁ、そう、怒らずに。
貴方が全額お支払い頂ければ
丸く収まる話じゃないですか。
A「収まりませんよ!!
B「ですが……
A「ああ、もう知りません。貴方は赤の他人です。
話を聞く道理など一切ありません。帰って下さい。
B「こちらとしては何としてでも
お支払い頂かなければならn
A「はっはっは。もう何も聞こえませんよ。
その日の気分に合わせて、好みの音楽を
再生するシステムになっていますからね!!
脳内『(完全勝利の音)
B「はぁ、仕方が無いですね。
この手は使いたくなかったのですが……
(一冊の本を取り出し、開く)
B「(私は今、貴方の脳内に直接話しかけています)
A「怖っ!!! いや、怖い怖い怖い、
怖すぎますよ、何してくれてるんですか!
怖すぎてBGM止まりましたよ……
B「では、お支払い頂けますか?
A「しつこいですね、払いませんよ。
あまりしつこいと警察に突き出しますよ?
B「構いませんよ。第一、突き出したとして、
この話をどうやって信じてもらうおつもりです?
A「あっ……
B「私の信憑性は53万です!!!!
A「いや、それはないな。
《 完 》