旅に目的は必要だけども気持ちは入ってない
ほしくずが そらを彩る
まんなかだけ しずかなそらを
みつめる先を 中心にして
彩る。
みまもるように
そばにいるように
よりそうようでいて
さしだした手を返してはくれない。
思い出が 深く 深く。
水面に 映さず。
星々だけが揺らめいて。
髪をすくう夜風に目を細める。
共有 していた筈の。
同じ 光を 宙を。
そのまた明日も。
手の温もりはとうに冷えて。
バカ
前回までのあらすじ
・ゲームから出られない
・ひと騒動に巻き込まれた
・精霊の攻撃めっさ痛い
・痛みが五感刺激、ゲーム判定の2パターン
という訳なのだが、べっつにーこの世界で生きてても良いのでは?と思ってしまうわけでございます。
幼少よりゲームに手をつけ、まるでゲームの登場人物かのように世界を旅することを夢見て、その夢が叶ったとも言える世界。
もう永住でええやない、というわけでね、
「一緒に苗木を取りに来て欲しいの!」
なんだって俺が……以下要約。
・気がついたらワニの中
・持ち寄った苗木は手元にない
・何とか脱出したけど後ろから化け物が追いかけてきた
・ワニは化け物に拾い食いされた
・俺と合流
・苗木が体を引きずるような痕跡が確認された。
・まるで足跡のようにそれはもうくっきりと。
嫌なんですがそれは……ホントそれ苗木?
それにしらんジジイに引き摺られ土地勘なんて
「私が案内すればいいでしょ」
それにあのクソ精霊だって
「私がいれば問題ないでしょ」
それにまだこの街の復興も
「チーフがやってくれるわ!」
それに苗木もどうせチーフとか言う爺さんのせ
「同意するわ!」
それにあの化け物は
「調査しに行くわ!」
流石に俺にも拒否権ってのが
「あると思ってるの?」
こいつは癒し手と言うより暴君の方が似合ってんだろ。家の引き籠もりの………お前、ホントに土地勘アンの?
「おいでませ!精霊様 精霊様!」
お嬢様汚ぇぞ!人の弱みにつけ込む脅迫行動を子どもらの前で実演すんじゃねぇよ!
「英才教育よ!それより、お願いは聞いてもらえるの、か・し・ら?」
〜唐突第1回俺会議〜
【俺】自分旅に関してシラフなんですが生きて帰れるかについて骨は拾って頂けるのかそのサービスについての是非をですね、
【旅装束】あると思ってんの(ドヤァァァ)
【棒】いいじゃねぇか、目的完遂までの女と2人旅。まぁ、何も起こらねぇだろうがな。
【俺】……つまり着いて逝けと?他人だからって適当言ってませんかね?
【旅装束】足跡?かは分からんが苗木じゃろ。足はそう速くないて。トレントのような魔植系統は動きが遅いからのぅ。
【俺】知るかそんな設定!
【女】悩みなどどうでもよかろうて!!
第1回俺会議終了!なんてこった。すみませんが、勝手に入ってこないでください。俺のプライバシーはどこへ行って?
「あると思ってんの?」
はい…。
ズルズルと引きずられて行ってしまう。
~クエスト~
『苗木をみつけて』
・概要 私の大事な苗木がどこかへ行ってしまったの。とってもとっても大事だから絶対見つけないといけないの。おねがい力を貸して!
・報酬 エイリスの離脱
俺の自由生活
後頭部に当たるリズミカルな引きずられ、
誰もが見る空だぁ。たぶん。
「エイリス、そんでどこへ向かってんだ?」
「苗木の跡を辿るとなると、この先砂漠越えしないと、で、砂漠を快適に移動できる砂遊魚を買うのよ。乗るよし。売るよし。食うよし。まぁ、食べる人は本当に遭難した時ぐらいだけどね。」
「……まずいのか。」
【旅装束】肉の食感、砂を噛んでしまったようなザリッと感がクセになるんだがの。
【棒】記念に食べていくって物好きも多いけどな。となると行く先は環状湖淵街ソルベーレイって訳か?世界の名七湖だかで有名なんだとよ。ちな第三の湖な。
「買うにしてもその前に通過点があって、街としての役割が与えられてる『蓋窓トンネル街』に着かないと。」
「そこでじゃ。」
「うおっ!?」
「お主、ちとこの手紙を街長に届けてくれんかな?旅のついでに宅配するぐらいのものでの」
「ジジイ内容は「なに、昔の旧知に連絡をとるだけでそこまで重要ではない。手紙もつけば良いと思うぐらいのものでぞんざいに扱って構わん。」
「……手紙を持たされる意味とは。」
「通行手形みたいなもの。行くわよ。」
「おっと待った!孤児院みてぇな小屋住みの坊主共に別れの挨拶を!!」
彼らは視線を合わせて頷いた、ように見えた。
「……ついてく。いきましょう?」
「お、おう。」
何か歯切れ悪いモノを感じながら、以前暴走気味に通った道を進んで行く。印象的な暖簾が目印で、この道を通っていけば、あったのだが、
扉は開いていた。
部屋の中は静かで、
生活感だけが残っていた。
「みんな遊びに出てるみたいね。友達の家に行ってるのよ。夜には帰ってくるから書置きでもしてく?代筆なら任せなさい。」
うなずき、それとなく冒険してくるというようなことを伝えようと思ったけれど、よく分からなくなった。
「またなっ!でよろしく。」
「はぁ〜。……そうね。それがいいと思う。」
ため息つかんでもと思う今日この頃、アホの子見る目を向けないでくださいな!?コンチクショウ!!
「ちゃんとハルトよりって名前もお願い致します。」
そのジト目はなんなのか、より一層アホの目から呆れの目に変わった遷移をお教え下さいな!?
「……でしょうに。」
「なんて?」
「なんでもない。はいっ書いたわ。行きますよ〜おバカさん。この道真っ直ぐでちゅよ〜」
「煽んなやゴラァ!」
「ハイハイゴメンナサイネー、荷物持ち。はいっコレとコレ、当分はそれとそれからそれももって〜。」
「つ、つぶれる……」
「あとこれ。」
湯豆腐ほどのプルプル加減な腰に力を入れ受け取る。本の表紙は……
【 奪 への祈り】
【朔┅の御 】
【 の作り方】
【飛 ┅ 図】
etc…
文字が虫食い状態なんだが保存状態でも悪かったんですかねって顔してるわよ?ただの昔話だから旅の合間にどれか持ってくと、暇が潰せるから私なりのオススメ。孤児院に寄付したのに選ばれない余りだから好きなの取って。」
「昔話に作り方が紛れ込んでいる件についてはどう思いですかな?……ちょいと無視されると流石に傷つきますぜ。」
「こっちは無知な貴方を連れ出すんだから準備が必要なの、よ!はいっこの服も持ってく!今必要ないみたいな顔すんな、このバカ!」
「そんなバカですからね、自分わからんのです。この荷造りしてる台はただの板にしか見えんのですがどう運ぶので?」
「どうせまだ地面との摩擦度係数が低いんだからいつも通り滑るんでしょう?さて人力ホバークラフト君は荷運び板の下に入ってください。」
「……ハハーンさてはおまえあたまわる子だな?」
「特等席に置いて差し上げる。これにて貴方は慣性がはたらくRTA御用達の乗り物に早変わりって訳。板に摩擦がかかるからサンドイッチするしかない。最初はこれが楽で早いのよ。諦めて。」
言われるまま板と地面の間に挟まるのだが、絵面的にどうなのだろうか。狭いところが落ち着く人もいるだろうが、壁に挟まれているのに落ち着く人はいるだろうか。まさか自分が動力源として生きていく日が来ると想像できるだろうか。話は変わるが最初はリスポーンしていたけれど、そういや飯食ったか?痛みを与える与えない対象者によってそのリスポーンの基準は変わるのだろうか。黒い異形、幽玄の者と呼ばれた怪物の正体とは、意外にあっさり勝てた理由とは、精霊怖い、どうしてこんなことになったのか、板と地面の合間からこの見える世界は本物なのか、影の中で縮こまっていた方が安全だろうに、エイリスが無理にこじつけな理由を作ったのは何故だろうか、これもゲームコンテンツの1つなのか、なんで旅することになってんのか、そういえばここからどうやって出発するのか。いや待て!どうしてRTAなんて言葉が出てきやがる!?意外とこのゲーム内で他の人と連絡ついたりするのか?そうなるとこれから行く先々でログアウトに関して何かし分かりそうで幸先よろしいのでは!?しっかしチーフもといジジイは年季の入った大きい団扇を取り出して一体何をするというのか。
「角度よし!食料よし!風向き不明!チーフ!1発デカいの頼むわ!」
「ホイきた。風よ 風の精霊よ この者の運命に基づき 思い起こす悪戯心をお与えください【島颪】 」
飛ぶ
滑空する
トビウオのように
坂を撫でる
横に 落ちる
追い風に流される
はじまる
はじまらない
グダグダ考えていた
俺の冒険、たのしんでいいんじゃない?
と、頭に思い浮かんでいたのだが、
現実は苦く、砂味が効き、
頭は擦れるのだァ。
……。
口を開ければ砂が混じる。
……。
手の覆いを止めれば砂が叩く。
……。
顔を上げれば砂塵の奥に太陽。
周りは砂漠丘、足下の白骨が冥府へ手招き。
陽炎に揺れる水辺はなく、乾燥した空気。
喉の乾きは天に渇望するも、
天然のサウナはそれを良しとせず、
自然へ挑む己の姿を戒める。
晒す肌を容赦なく突き刺し、
水分は無限大な空間へ吸い込まれ、
歩を進めることは軋む石像のよう。
向かう道には無数の像。
同じ背丈の砂の像。
止まってしまった 像。
生き写しのように、
砂に塗れた顔は何処か夢見て、
隣人はその砂を払い続ける。
貴方はどうして。
昔ながらの友だからな。
それは理由に。
この、こんな世界だからな。
その人、目覚めるんですか。
目覚めるさ。繋がりがあるからな。
繋がり、ですか。
ボウズも同じだろう。だから進めよ。
「同じ?」
知りたきゃ進めよ。
苦しいです。
試練だからな。
何、ですか。
知りたきゃ進めよ。
……これリスポーンしないんか。
前回投稿日ェ……




