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4人の女の不幸自慢

作者: さゆき

ある夜、4人のもう若くない女が集まりました。

そしてそれぞれ、自分の身の上話が始まりました。


女性A

「聞いてください。

 主人とは恋愛結婚で仲は良かったのですが、姑、小姑に

 苦労させられました。

 姑は食事の時、私の前からおかずを遠ざけたり、夜に

 なると私たちの寝室の前で片付けを始めたりする人でした。

 小姑はうちよりも裕福なところに嫁ぎ、うちに遊びに来ては

 私のことを女中のように扱いました。

 やっと姑を看取ったと思ったら、必死に働いて育てた子供達

 はみんな嫁いで家を出てしまいました。

 私は長年のストレスから、体調を崩してしまいました。

 あとは主人と二人、老後を寂しく過ごすしかありません」


女性B

 「聞いてください。

  主人は自営業、私は働きに出ているのですが、店の売上が

  伸びず、主人が店を閉めてしまいました。

  同居している姑は店を手伝っていたのですが、やることが

  なくなり、認知症の傾向が見えてきました。

  主人の姉は独身で隣家に住んでいて、若年認知症です。

  家事はすべて私の担当で、外に働きに行っているというのに、

  主人と姑の昼食まで作ってから出ています。

  ・・昨日主人が医者に行き、やはり若年認知症と診断されて

  しまいました。

  離婚を考えています。」


女性C

 「聞いてください。

  数年前に癌の手術をし、経過観察中です。

  主人は事業を起こし、最初は良かったのですが、やがて

  うまくいかなくなり、借金を抱えてしまいました。

  そして引きこもりのようになったあげく、とうとう自殺して

  しまいました。

  主人の保険金で借金を返済しましたが、まだ残っています。

  わがままな姑と同居していて、私には借金と姑が残されました。

  このまま借金を返すまで、働くしかありません。」


女性D

 「聞いてください。

  見合い結婚をした主人は、毎日暴力をふるう人でした。

  何に腹をたてるのか予想がつかず、毎日おびえて暮らして

  いました。恐怖の日々でした。

  姑、小姑は、暴力からはかばってくれましたが、そこは

  身内のこと、完全に私の味方になってくれるわけでは

  ありません。

  数年前主人は亡くなりましたが、小姑が独身のままで

  同居していて、気の休まる時間がありません。

  息子が結婚したのですが、お嫁さんの方が稼ぎが良く、

  私は頭が上がりません。

  このままの老後に幸せはありません。」


すべての話が終わったあと、4人の女は黙り込みました。

あの人よりマシかも、いいえ自分が一番不幸よと・・


何も答えは出ないまま、4人は自分の家に帰りました。

不幸な自分と一緒に。


  


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― 新着の感想 ―
[良い点] 彼女らにとって、相手の話は薬にならないものだったのでしょう。自身が愚痴を口にしたことすらきっと意味はない。きっと何も変わらないのだから。 [気になる点] 描枯れていることが全てなのか、実際…
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