2・初めて触れた異性は小学5年生
(2021/6/1)真緒ちゃんの学年を、小学5年生に変更しました。
※先を読んでる方にはネタバレになりかねない変更ですが、やむを得ない措置です。
(実は自分の感覚で小学4年生では微妙と感じてしまいました…)
二次元に於けるリソースは充分にある。勿論これまでオンエアされた全てのアニメやマンガを視聴してきた訳ではないが。ただジャンルを問わず大方満遍なく脳内記録は施してあるつもりだ。後はそれらを参考に最適なルートを構築し、今の俺の立場と状況をシッカリ把握した上でのオプションプラグインを搭載すれば、付け焼き刃とはいえ何とかこの状況を切り抜けられるだろう。その時の俺はそう思っていた。
予想していた・いなかったはともかく、彼女はワリとすんなり俺の部屋に招かれて来た。知らないオッサンの家に入っちゃダメと躾けられなかったのか? 何と言うか、俺がそうさせておきながら状況としては納得いかない矛盾が生じている。
だがココで俺はシッカリと予防線を張った、つもりだ。まず彼女の今置かれている自らの状況を彼女自身からシッカリと口頭で説明を受けた後、その対策について彼女自身の意向を訊ねる。しかし特に意向はないのか黙ってしまったため、俺はすかさずスマホを貸すのでお母さんに電話するよう勧める。だがコレも母親の電話番号を記憶しておらず×。他の身内や知り合いなどの伝手を伺うが、コレも×。他にどうする手段もない事を充分確認した後、俺はこのままだと風邪をひくと云う根拠で取敢えず部屋に来て着替えるよう促したのだ。勿論拒否権も盛大に与えたつもりである。その上で彼女は俺の部屋に入室することを自らの意志で承諾した。決して無理矢理ではない、その様な意図を誰がどの角度から見ても存在しないことを明らかにしておくのが狙いだ。対策としてどれ程機能するかは怪しいんだが。
それにしても改めて見ると洒落にならん含水量で、コリャほんとに川に落ちたな、的な‥‥ ランドセルの中に川魚でも紛れ込んでいそうだ。
さて、ここからは俺におけるジオン軍対連邦軍の最終決戦〝ア・バオア・クー〟戦、はたまた〝第◯次蒼穹作戦〟だ。俺の人生でここまで生きてきた中では一応そう云った最終決戦レベルの大一番であることは多分間違いないと思われる。
まずは室内に物騒なものがないか急いで確認する。対象は小学生の女子に対してのソレ、当然ながら先日もらったコミケで販売する薄いロリ本なんて禁忌中の禁忌だ。目に触れた瞬間、彼女は砂に変わり、俺は名実ともに社会的に殺処分されることとなる。幸い俺は比較的綺麗好きで日常的に片付ける習性があるため、こう言う緊急事態では功を奏した。とっくに他界している母親の影響がこんな所で役に立った。
次だ。濡れたままで部屋に上がられるのもアレだから、彼女を直接風呂場に通す。そして忘れてはいけない、綺麗で清潔なバスタオルと普通のタオルを3枚手渡す。コレも脱衣所上の高い棚に上げているので、俺が取って差し上げる。もう一つ、まだ一度も着ていないシャツを渡す。濡れた服の代わりにとりあえず羽織っておくものだ。と言っても新しい未使用のシャツなんて常備してないので、アニメのキャラがあしらわれた痛いTシャツを代用する。ソレしかないからだが痛Tの種類の中ではだいぶ地味な方のソレだ。更にもう1つ、濡れた服を一旦入れておく大きめのビニール袋も。
恐らくかなり辿々しかっただろう俺の喋りに、彼女は律儀に無言で頷いてくれていたが、実際俺のことをキモいとか思っているのかどうかは定かではなかった。風呂場の扉が閉まると、先ずは第一段階の任務が完了する。この空きに一旦気持ちを落ち着ける必要がある。エアコンのスイッチを入れ、再度室内を確認する。その次の任務の前にこの確認作業は必須だ。
そうしていると、スマホのメール着信音に一瞬ビビる。俺も自覚症状はないがかなり緊張している様だ。待ち受け画面に現れた通知には新着ニュース有りとの記載。今この状況でそんなのどうでもいい後回しだ。ただそのニュースのトピックスの短い文章に、今度は警察官による未成年女子淫行ナンタラカンタラと‥‥ このクソ野郎共が、俺をからかっているのか?
そんなドコの馬の骨とも知らないクソ野郎に嫌悪感を抱いていると、俺の耳が妙な音をキャッチした。バランス釜の種火を付けるカチカチ音の後に、そこから湯が吐出される音。シャワーではないのか? いや、シャワーをかぶる音もする。そうか、寒さを凌ぐためにシャワーを浴び、落ち着いたら浴槽に湯をためているのだ。それを交互にやっている状況を想像した。そのイメージ内で入浴中の彼女を鮮明にレンダリングするのを俺は必至の形相でこらえた。
とにかく、次の作戦。着替えの服を買ってくるのだ。まァアニメ等でよくあるシーンは濡れた服を脱いだ後はバスタオルでスマキになるとか、野郎のYシャツを全裸の上から着るとか、その手の萌え要素で演出されるのが常套手段だが、こと現実に於いてはそんな訳にはいかない。ましてや相手は小学生女子だ。だいたいそのバスタオルでスマキになってる所に何らかの出来事でそのスマキがはだけたりするラッキースケベがオプションでセットされる。だがソレとコレとはキチンと分けて判断する脳細胞くらいはサスガに搭載している。
んなこたともかく、彼女が風呂場で全裸で用を足してる間、俺はその場にいなければ色んな意味で安全と判断した。俺は風呂場内の全裸の彼女に声をかけると怖がらせると思い、チラシの裏に太いペンで外出してくる件と、予備の部屋の鍵を置いていく旨の言付けを、キッチンテーブルの目立つところに示し、いそいそ且つそーっと部屋を出た。
その時俺は、自身もさっきの残り雨でワリと濡れ加減の格好していることに気づいたのだが、この際自分のことはどーでも良い、そのうち乾くと二の次に置き、目的地へと歩速を上げた。
◇
スッカリ雨も上がり、だがまだ水たまりが残る道を急ぎ足で進む。徒歩10分足らずの所に『しまむら』がある。滅多に利用しないが、そう言えばさっきの痛Tもここで買ったものだ。アニメとコラボした製品を度々販売しているのだ。何より安いせいもあってかワリと盛況の様子。ところが俺は、ここで重大なミスを犯したことに気づく。自他共に認めるキモヲタな俺が、女児の服を買おうものなら2000%通報されてしまうではないか!
抜かった、これはしたり。だがいま自宅で起きてる状況を鑑みると、手ぶらで帰る訳にはいかない。何とか策を練らねば。俺自身の服を買うか、それも小さめのやつ。却下。どんなに小さくても彼女にとっては風呂敷マントか貫頭衣になってしまう。どうにかして、自然に子供服を手に入れる方法がないものか。
雨上がりで周囲でセミがギャースカ鳴き喚く中、俺の脳内もセミが鳴いてるかの様なカオスになっていた。まァとにかく店内に入ることにする。このまま外に居ては暑くてかなわん。俺は子供服のコーナーを遠巻きにうろつき、何か商品を選んでるフリをして対策を考える。
たとえニュータイプでも困惑して為す術なかろう。どうする、どうする、そう脳内のCPUを煙を吐きそうな程にフル稼働させていると、近くの親子連れの客からとあるキーワードが聞こえてきた。
お盆。帰省。その2つの言葉を俺は手繰り寄せると、ひとつのストーリーが浮かんだ。そうだ!と思ったその次の瞬間、背後から女店員に唐突に声をかけられ脅かされる。万引きか何かと疑われたのか、何をお探しかと訊ねられた。まァ疑いやすい風体だったのだろうが、それはさておき俺はさっき思いついたばかりの作り話を、今度はイヤに早口で流暢に語った。
その内容は、姪っ子が親の実家に帰省してきたが着替え一式の荷物を自宅に置き忘れてきてしまい、1セットだけ揃えたいと言うものだ。すると女店員は、あ、そうっスか的な拍子抜けする程軽い反応を示し、背格好やどんな風が好みか訊いてきた。俺は思わず頭に浮かんだ、某・田舎暮らしにおける日常アニメの人気キャラ『コマちゃん』のイメージをそのまま伝えた。
女店員の見立てに丸投げした俺は、揃えてもらった衣装一式入ったカゴを確認もせず承認してレジに並ぶ。前後の客に悟られるのが非常にまずくて自分でも気持ち悪い汗をかいていた。やがて俺の順番が来ると、幸いさっきの女店員に端っこのレジに案内され、そのまま彼女が会計してくれた。Tシャツにキュロット、スパッツ、ソックスに‥‥ショーツにハーフトップも‥‥ 俺は脱水症状を起こして倒れそうになるのを必死でこらえていた。
財布の中身はたったの700円に満たない小銭しかないので、当然カード払いとなる。キチンと領収書ももらい、女店員には重々礼を述べてしまむらを後にする。ちらっと腕時計に目をやると、入店してから30分以上経過していた。俺は雨も上がったと言うのにさっきの土砂降りに見舞われたのと同じ様に汗でズブ濡れになっていた。俺の本体は干からびて死にそうだったが。
アパートに戻った俺は、あらゆる事態に対処するためユックリと、そうっと、それでいてナチュラルに玄関ドアを開ける。中で彼女が予想外の行動をしていないか、またとっさにディフェンシブな対応が取れる様にだ。アニメに有りがちな少女が風呂あがりの全裸で立ってるシーンに出くわし、慌てふためいて思わず押し倒してラッキースケベ的な展開‥‥な訳はある筈もなく、しかし家を出る時残した合鍵も張り紙もそのまま。何とまだ風呂場に篭って入浴中の様子だった。女の風呂は長いと噂を耳にしたこともあったがソレに該当するかどうかは知らん。
俺はそれら張り紙と合鍵は引き続き一旦そのままにしておく。まだ用が済んでないからだ。次の作戦でもこれらは重要なアイテムだ。
その次の作戦は、まず買ってきた衣装をその張り紙の横に配置すると、張り紙の記載内容にこの袋の中身は着替えである旨の記述を追加する。そしてさらに、夕食の買い物に出る旨も併せて記入した。コレで俺はまだ当分の間、彼女を残してこの場を不在にする。とにかく俺の自宅と言う俺にとっての専有空間である密室に無防備な少女と一緒に居る時間を、色んな正当な理由を伴って名実ともに可能な限り少なくするのだ。そうでもしないと、何かあった時に俺の人生が危険に晒されるからだ。つまりアリバイ工作だ、工作ではなく事実の作成なのだが。
事情が事情なだけに成り行き上こうなってしまった以上、自衛手段は常に最善を持って取り組まなければならない。言葉が悪いが状況的にも理論的にも確固たる武装を整えないと、俺たちロリ趣味者にとっては彼女ら少女を自らが営む閉鎖空間に招き入れたことは、ソレ即ち触れると爆発する機雷みたいなもの、犯罪行為と紙一重なのだ‥‥(仮に咎められても今回は正当な理由があるので、逃れられると自分では思っていたのだが果たしてそうなのだろうか‥‥)
◇
まだ夕食の買い物には早い時間だ。割引セールのタイミングもまだ開催前。今夜の飯は何にするか、全くもって集中して考えられない状況だった。とは言うもののそれ程料理が得意ではないので、食べたい出来合いのお惣菜を買って家でレンジで温めて食う程度だ。だがココでも、要らん妄想と考察に悩まされることになる。彼女の母親はいつ帰ってくるのか?
夜遅いとなると、自宅に入れない彼女の分も必要になるのではないか? そもそも今時の少年少女はどんな夕食を食っているのか? そんなの自分が小学生だった時の食卓を思い出せば事足りることなのに、こうも予期せぬ事態に襲われると、影響で自分の記憶ですら疑わしくなってしまう。
だがしかし、やはり自らの手で調理するよりは出来合いのものが味的にも安全だろうと考えた俺は、小学生が嫌いな献立に上げる可能性が最も低いと思われる『カレーライス』に決めた。勿論カレールーは完成品を購入する。飯は炊く。ソレくらいはサスガに大丈夫だろう。
付け合せのサラダとか必要だろうか? 野菜嫌いは最近多いと噂を耳にするし。フルーツ系なら大丈夫そうか。或いはスイーツか‥‥ コレ程までに夕食に悩んだのは初めてだろう。毎日の献立を考えるお母さんの苦労と言うモノの片鱗位は感じられた気になった。そんな妙なことを考えながらレジに並び、パートのオバチャンに買い上げた品物の代金734円を請求されると、俺の財布の中には682円の小銭が申し訳なさそうに入っているのを見てまたゲンナリと落ち込む。そしてまたしてもクレカをオバチャンに提出するのだった。
スーパーの買物を終え、三度目の帰路で、俺はこの後のことをアレコレシミュレーションした。昨夜の事例を思い返してみると、母親の帰宅はかなり遅かった。俺が勤め人をしてた頃、ソレと同じ様な時間帯に帰る日々が続いたものだ。今でも殆どのサラリーマンが寄り道しなくても帰着時間が10時11時なんて当たり前だろう。もはや社会そのものがブラックである。そう云う意味では、食材に彼女の分も含めて正解だったと思う。
そうこうしてる内にやがて帰着、再度最善の注意を以って玄関のドアを開けて、普段は絶対に発声することのない言葉『ただいま』を言って中に入る。すると、台所の隅に1脚だけ置いていた小テーブル代わりの丸椅子の上に、彼女はまるでお人形さんの様に、ソレこそまさにキャラクタードールさながらの麗しい姿で腰掛けていて、床につかない足をぶらぶらさせていた。その姿に俺は心臓が破裂しそうになる衝撃を食らった。
あたかも彼女のために採寸して設えたかの様に足りず余らずのジャストフィットな衣装を身にまとい、完全に乾ききっていない黒の前髪の間から物憂げに視線を床に落とした姿勢に、俺は神か天使の姿を見た。
彼女は帰った俺の姿を見ると、すぐに座っていた椅子からヒョイと降りて立ち上がる。警戒してるのか照れてるのか、どう言う心境なのか全く解らない様子でモジモジしていた。白いソックスのつま先どうしをツンツンしている仕草に俺は気を失いそうになりながらも正気を維持し、俺はここで沈黙してはますますバツが悪くなりそうだと察し、警戒心を解こうとおちゃらける様に愛想笑いを浮かべ、とにかく無言状態にならない様に、妙な空気を醸し出さないように意味不明な言葉を矢継ぎ早に繰り出した。
だが次の瞬間、また俺はチラチラと彼女に視線を移していた。第三者から見たその時の俺はまさに視姦してる様に見えたことだろう。俺は確実に美少女に分類されるリアルな存在を初めて目の当たりにしたのだ。イヤその様子ときたら言葉では表すことが不可能だ。
ハッと我に返って俺は再びヘラヘラと取り繕うと、こんどこそは冷静に会話を始めようと試みる。そう、まずは自己紹介からだ。コレじゃまるで見合いか合コンだと自分自身ツッコミたくもなったが(ドッチの経験もないクセに)ココは真面目に行動する。女性と正対したことが脳内の過去ログにはない俺にとっては非常にキビシイ空間となった。
俺は自分の名前を使用漢字まで正確に伝えると、彼女にも開示できる範囲で良いからと念を押した上で名を問う。彼女の名前は『結城真緒』と言う。つまり真緒ちゃんだ。何だかアニメの幼女によく有りがちな名前だな、と感想を持ったが勿論それは腹の中で押し潰す。
次の質問、と言うかそれでは尋問にも値すると俺は思い、買ってきた食材を冷蔵庫に片付けながら質問を交えた雑談に取り繕って話を続ける。すると真緒ちゃんは質問に対しては、か細い声で必要最低限の字数で答えてくる。その度に何故かはワカランが俺の方がいたたまれない気分になってしまう。
かくして『真緒ちゃん』の証言を元に現状を整理する。
結城真緒ちゃん、年齢10歳、小学5年生。真緒ちゃんと彼女の母親は、一昨日このアパートに越してきた。母親は昼間は何かは不明だが資格取得か何かの専門学校に通っており、仕事は夕方からのパートをこなしているとのこと。帰りはいつも夜の11時過ぎ。引っ越しと同時に携帯電話を母親に買い与えられたものの、まだ持ち歩く習慣がなかったせいで部屋に置き忘れている。とりあえずそこまでの情報は得た。ただ父親のこととか以前住んでた街のこととかはサスガに質問を躊躇した。真緒ちゃんの口から出そうな気配もなかったし。その他には、今日は登校日ではなく転校手続きの雑務で学校へ行ったとのこと。道理で街中に通学の子供の姿が見られなかった訳だ。ただし提出する書類を届けるだけなので、上記の事情もあり母親の同席は不要だったらしい。
さて、コチラももう少しは身分を明かさなければならない。そうしないと警戒され、母親が帰った際に俺に不利な報告をされても面倒だからだ。訊かれていなくてもコチラから一方的に開示する。先程の俺の名前の次に職業のこと、この部屋にもう20年近く住んでいること、年齢、出身地など。そんなこと一方的に聞かされてもさぞかし返答に困ったであろう。だがコレでも精一杯の〝怪しい者ではないアピール〟なのだから、彼女には何卒ご理解いただきたい。
◇
腹が鳴った。勿論俺の腹だ。今日は朝出かける前に食い残しの菓子パンをかじっただけで、昼飯も財布の中身が寂しくて一旦保留にしていたのだった。その時は帰宅したら冷蔵庫に保存していた飯と卵でも焼いて食うつもりでイメージしてのだが、ご覧通りの事件に巻き込まれてそれどころではなく、バタバタしていたせいで忘れていたのだ。
俺は真緒ちゃんに聞かれてしまったであろう、ちょっと恥ずかしくて照れ笑いを浮かべて彼女をチラ見したが、彼女は何事もなかった様に俺が暇つぶし用に渡したマンガ雑誌のガンダムエースをペラペラ捲っていた。彼女に対してガンダムがどの様な案配で取り扱われるかは不明で、単に手持ち無沙汰ではお互いイロイロ気まずいであろうと気を使ったつもりだ。真緒ちゃんは相変わらず台所横の椅子に座って足をブラつかせ、その太くも細くもない、ニーハイソックスで僅かにくびれが出来た美脚の上に乗せられたガンダムエースに、俺は危うく嫉妬するところだった。
時計はまだ午後4時前を示していた。母親が帰るまでまだ6時間、俺は彼女をココに居させることに色々と不安を覚えた。そもそもこの部屋に俺以外の人間がコレ程長い時間存在したことがない。ましてや風呂に入り、着替え、ガンダムエースを読むJS。警察に踏み込まれたら問答無用で署に連行され留置場に叩き込まれること必至な風景だ。そんな奇妙な妄想が脳を支配し、俺は敷居だけで仕切られた居室側の一角に設けた仕事用のデスクに付いて、気を紛らわすために急ぎではない仕事に取り掛かっていたが、案の定全く手が付かないでいた。
ふいに、真緒ちゃんはトイレを貸して欲しいと訴えた。俺はよっぽど気が張っていたのか、彼女から急に声をかけられてビックリして椅子から数センチ程宙に浮いた。またしても舌がもつれ、良く解らない発音でトイレの使用許可を出すと、彼女は自分の部屋と間取りが似ているせいもあり教わる事無くトイレに入る。
ただトイレと言えば閉じ籠もるための密室の代名詞だ。狭くて窓も小さくて、いろんな創作物でも悪漢に追われてトイレなる空間に駆け込み、中から鍵をかけるも外からけたたましく扉を叩きまくる音に恐怖し腰を抜かして座り込んでしまうシーンがテンプレだ。俺が常軌を逸し真緒ちゃんに襲いかかってしまった場合、まさにそのテンプレ通りのシーンを再現することになるだろうと、ロクでもない妄想が抑えを振り切って湧き出しては自らの手でソレを八つ裂きにする。そう言えばトイレの便器が和式なのだが、真緒ちゃんは使い方解るんだろうか‥‥と脳内に浮かびかけた瞬間、俺は両手で3回顔を叩き少し唇を切ってしまう。
そんな時俺は、またしても重大なことを忘れていたことに気づきハッとした。鍵だ。真緒ちゃんは鍵をなくして家に入れないのだ。それは通学路の何処かに落ちてるかも知れない訳で、ならば雨も止んだ今なら母親の帰りを待つこの時間を利用して探しに行けばいいではないか。俺はまたしても自分の発想の鈍さを悔やみ頭をかき乱す。
この時期、夕方も6時過ぎまではまだ外が明るいので、2時間程度の猶予がある。俺は無くした鍵の捜索を提案すべく真緒ちゃんがトイレから出てくるのを待つが、何だかチョッと時間を要している様だ。数分経過したがまだ出てこない。ヒョッとして大の方なのか?とついウッカリ考えてしまい、またしても画像が脳内にレンダリングされようとしているのを、俺は今度は拳で自らの横っ面を殴る実力行使においてソレを阻止した。ただやりすぎて更に唇を切ってしまい若干流血した‥‥
やがて真緒ちゃんがトイレから出てきたので、俺は早速先程の件を提案すると、真緒ちゃんも、あ、そうかと言う腑に落ちた表情を見せる。これがまた俺の心臓をえぐる。一体どうしたと言うのか、俺はこれまで三次元にここまで惑わされたことなどなかったのだが‥‥
それはともかくそうと決まれば、それはなるべく急いだほうが良い。時間はあると言ってもそんなに豊富ではない。俺と真緒ちゃんは連れ立って部屋を後にすると、真緒ちゃんは何も言わずにある方向へと歩を進める。俺はその後を数メートル程度の感覚をキープして追った。俺は少し歩いた所で、彼女が学校へ向かった・或いは行き帰る際に通った道をなぞっていると気づく。桜並木の小さな川、溝なのかも知れないが、その辺りに整備された遊歩道だ。
真緒ちゃんは地面にまんべんなく視線を這わせ、一心不乱に紛失した家の鍵を探している。俺もその様子を確認しつつ、彼女が見漏らした可能性を考慮して、汗を拭きつつ同じ様に地面に視線を這わせた。そうこうしている内に、やがて学校に着いてしまった。
今は夏休み期間。当然学校にはあまり人気がない。職員のものと思われる車が数台停まっているものの、校舎の明かりは消えておりひっそりとしている。勿論校門も閉まっていて、生徒および関係者以外の立ち入り厳禁と鬼の筆跡で書かれた看板が仰々しく掲げられていた。そして不審者に注意を促す看板もシッカリ添えられている。
真緒ちゃんはチョッと残念そうな、困った様な表情を浮かべ、それでも気を取り直し来た道を再び自宅アパート方面に向かって、今度はより慎重に捜索作業を続けた。歩く速度もより遅くなり、俺はトボトボ歩く迷子の子猫のような彼女の後ろを豚歩で付いて行く。だがしかし、俺の方は捜索の集中力がだいぶ切れていた。空腹がそろそろ限界なのだ。
◇
2度目の捜索もとうとう自宅アパート前までに達すると、俺は情けなくも真緒ちゃんに休憩を提案した。アパートからもう少し先に行くとモスバーガーがある。そこでお茶でも飲もうと言う訳だが、こう云う世間一般のナンパ常套句をまさかこんな形で初めて口にするとは思っても居なかった。真緒ちゃんも探しものが見つからない残念感を伴いつつ小さく首を上下に動かした。
モスバーガーのカウンターで、俺は真緒ちゃんに好きなものを頼む許可を示したが、その時は財布の残高のことを性懲りもなくまた忘れていて内心焦った。だが彼女はメロンソーダのみで良いと遠慮したのが幸いし、俺は残高を警戒してジンジャーエールとフレンチフライSのみで会計を頼んだら辛うじて残金で工面することに成功、財布の残高は34円となった。
真緒ちゃんはまたしてもフィギュアかドールの様なちんまりとした可愛らしさで椅子に座ると、床に付かない足をぶらつかせる。これはどうやら彼女の癖の様だ。俺は努力の甲斐なく未成果に終わった彼女の捜索作業を労う言葉をモソモソと繰り出して、場の空気をなんとか維持しようとした。彼女は無反応だったが、それでもメロンソーダを吸い上げる力は子供なりの勢いがあったので、俺はあまり心配はしなかった。それより、この後の残り時間をどうやり過ごすかの方が遙かに重要な懸案事項だ。やがて俺も発する言葉が底をついた。
モスバーガーにてそれほど長い時間暇が潰せるわけもなかったが、俺も真緒ちゃんも空になって氷が溶けて水だけになった容器のストローを吸いながら、それこそその水一滴たりとも吸い尽くす様な勢いで時間潰しに精を出していた。だがそれも名実ともにスッカラカンになった容器を前にすると、サスガに空気を持て余すこととなり、どちらからともなく席を立つ。それでも時計を見ると5時40分を示して、沈黙がちの時間を50分も過ごしていたことになる。
しかしまァ、夕方6時ともなればサスガにお子様は帰宅せざるを得ない時間だ。モスバーガーを後にし、黄昏時のオレンジ色の西の空を背に相変わらず無言でトボトボ歩く真緒ちゃんの後を追い、俺達はアパートへと向かう帰路に乗る。
ふと、俺と真緒ちゃんはほぼ同時に予想外の状況を目に捉えた。真緒ちゃんはソレを目にした瞬間、ソチラへ向かって走りだす。俺も思わず後を追ってヨタヨタと走った。俺達が目にしたもの、それは、真緒ちゃんの自宅に明かりがついていたのだ。その状況で考えられること、それは一つしか無い。真緒ちゃんの母親が帰ってきたのだ。俺たちは思わず駆け足でアパートへと向かっていた。
しまった、そうと分かればモスバーガーでチンタラ暇なんか潰してる場合じゃなかった。何故なら母親の知らない間、俺は少女を連れ回していたことになってしまう。そう思った瞬間、俺の足が急ブレーキをかける。俺はボー然とした面持ちでアパートの階段前で棒立ちになってしまった。
ヤバイ、と思った途端、俺は頭部から血の気が引いて気持ち悪い冷や汗をかきはじめた。やっちまった、マズイ、マズすぎだろう。見た目も中身も背脂豚骨レベルの特濃オタクであり、こともあろうにそのオタクジャンルはロリコンな俺だ、傍目には文字通りキモヲタだ。通報され家宅捜索を受けたら関係押収物がてんこ盛りだ。完全に黒、真っ黒々助でチョッと署まで来いの後の処刑の二文字だ。その時俺は、本当の意味で社会的に死亡する瞬間の気持ちを体感した。
つい先日には、学校の教師や警察官によるロリ犯罪が横行していることに怒りと嘆きを噴出させていたその本人が、同じ穴のロリ犯罪者となり同じようにショッ引かれる目に遭おうとしている様が、自分でも実に滑稽で無様で仕方なかった。
予想だにしない身に降り掛かった絶望感に、階段の手すりに左手をかけ、両足では踏ん張れずよろける体を辛うじて支えていると、階段の上に人の気配がした。警察にしてはワリと小柄でふんわりとした気配であったため、俺はゆっくりとそちらに視線を上げた。するとそこには、俺が買い与えたしまむらの服を身にまとった真緒ちゃんの姿。短いスカートの下に黒のスパッツを履いた姿で俺の位置から角度的にローアングル加減が些かならずヤバイ感じであった。
だが事態はそれどころではないため、俺は顔面蒼白の面持ちで呆けていると、上から見下ろす真緒ちゃんの姿が、バージョンアップして無敵の技を身に着けた勇者のロリバージョンか何かの様な輝きの、差し詰めセーラームーンかプリキュアのソレ的な、その神々しい光一つ一つが俺の全身を刺し貫いていた。
俺は勇者に息の根を絶たれる魔獣を体験していると、勇者真緒ちゃんは階段をやや駆け足で降りてきて俺に勇者の剣を突き立てトドメを刺すかと思いきや、俺の右手を掴んで引っ張りあげた。俺は魔獣の最後のシナリオとは微妙に異なる状況に若干戸惑いながらも、勇者真緒ちゃんが引っ張るがままに何とか足を動かして階段をヨタヨタと登った。そして2階の共用廊下に上がったところの先に、勇者の生みの親・聖母の如き真緒ちゃんの母親の姿があってコチラを凝視していた。ロリオタの息の根はそのロリの母親によって絶たれるって言うのがリアル社会での理想であり、俺はその正義の刃に散る覚悟を決めざるを得ない。
正義の刃・エクスカリバーが邪悪なロリオタの身に振り下ろされる。ソレは上半身全体を前に倒す勢いで、まるでお辞儀をするかのような身の動きだ。聖母は言った。うちの子が世話になったと。一緒に無くした鍵を探してくれてありがとうと。また、ずぶ濡れになって震えていた所を助けてくれるばかりか、服まで新しい物を与えてくれて、後で代金を返済させてくれと。その幾重にも折り重ねられた波状攻撃により、俺は見るも無残に八つ裂きにされ、かくして悪しき魔獣ロリオタは葬り去られた。ただ、俺が思っていた悪の末期の散り様とはかなり違っていたようにも、思えた。イヤ、寧ろ感触が全く異なっているような‥‥
俺はとにかく命だけはお助けをとばかりに平謝りを決め込み、何とか一旦自室に帰る許可を得た。台所の流しで手を洗い顔もついでに洗い、水を止めて一呼吸、もう一度先ほどからの状況をおさらいした。
真緒ちゃんの母親は、学校の職員からの電話で知らせを受けて急遽仕事を中断して帰ってきたのだと言った。それは、学校の職員室内で落とした真緒ちゃんの家の鍵を保管しているとの内容で、気がつけば外はゲリラ豪雨真っ只中の土砂降りだったこともあり、また真緒ちゃんの携帯電話に電話したものの電話には出ず、そうなると自分が帰るまで真緒ちゃんが家に入れず、だが仕事中で自宅まで片道2時間もかかる遠方に居たためつい今しがた家に着いた、と言うのだ。ソレまでの俺と真緒ちゃんの行動は、真緒ちゃん本人から全て事情は聞いたと。服の代金を知りたいので教えてほしいと。
その内容は、魔獣ロリヲタが勇者ロリ母に滅ぼされる状況とは全く異なる内容だと今更気づいた。
そう言えば俺はしまむらで買った服の領収書を貰っている。要はコレを見せればいいわけなのだが。先方様の要求についてはコレでいい。だがホントに俺は警察に突き出されることはないんだろうか? 俺はまだ自分の置かれた状況を正確にキチンと把握できないでいた。
◇
俺個人の経理書類を整理している事務用引出しの中に、さっき入れたばかりのしまむらの領収書がある。貢物としてはコレだけでイイらしいが、ホントにいいのか。この時俺はサスガにポリスメンの厄介沙汰の心配は今のところなさげだと確信してたものの、短い時間とはいえ真緒ちゃんを連れ回した件については追ってお咎めがあるに違いないと心の何処かで恐れ・諦めていた。だがどう云う訳か時間が経ってくると次第にその辺の覚悟ってのは付いてくるもんだ。俺はさっき依頼されたしまむらの領収書を持ってお隣の結城さん宅を訪れた。
まずは重ねて先程までの件を詫びるが真緒ちゃんママは丁重に感謝の意を返すのみ。そして俺が手渡した領収書の内容をサッと見て確認すると、ちょっと待ってと室内に戻り、やがて領収書の額面とは明らかに多い金額の紙幣を持って戻ってきた。俺はサスガに受け取れない旨遠慮申し上げたが、娘がお世話になったお礼と言って渡そうとする。そんな低姿勢で謙虚ながら筋を通そうという意気に俺は根負けし、有りがたくその全額を受け取って丁寧に重々お礼も述べた上で自室に戻った。
俺は頂いたその〝福沢諭吉の肖像画〟をシゲシゲと見つめていたが、ハァと弱いため息を付いて財布の中にソレを仕舞った。当初の予想では高圧的で強面な警察官の国家権力による制裁だったのが、何がどう云う訳か福沢諭吉の未来の幸せを見守る有り難きご尊顔に変わっていたのが、なんとも不思議で狐につままれた気分だ。
それでも俺はまずは気を取り直して落ち着くことを優先し、なんだかイロイロあったがそれら風の様に過ぎ去ったことと腹の中で整理した。そして、いつの間にか忘れていたその空腹感が少しずつ戻ってくるのを感じていた。時計は夜の7時を示していた。
腹は減ったが、それより今日一日変な汗を大量にかいてしまい、自分でも自分のそのザマが鬱陶しく気持ち悪かったので、まずは風呂を沸かそうと思い風呂場に入る。すると浴槽に湯が既に張ってある。俺はその時、この湯船は午後に真緒ちゃんが入浴する際に張ったものだと思い出した。女児が浸かった湯。俺は性懲りもなくまた犯罪めいた内容が脳内にビルドアップされそうになるのを両手で強く顔を叩いて阻止すると、そのクセ捨てるのは水道代が勿体無いとばかりに追い焚きの手順を行った。
そして風呂場を出てきたと同時に、インターホンのチャイムが鳴り来客を知らせた。ふと見ると、台所の磨りガラス窓越しに玄関ドア前に小柄な人影が見え、てっきりケーブルテレビの勧誘やNHKの集金人かと思った予想を覆す。俺はインターホン越しに応対せずに、直接玄関のロックを解除し扉を開けると、そこには予想していた真緒ちゃんの姿があった。その手には、カレーの入った中位のボール容器が抱えられており、お母さんが良かったら食べてくださいとお礼に渡されたと託けを宣った。そしてオプションで添えられた言葉に、昨日調理し一日置いたものだから味も良好になっているであろうとの真緒ちゃんの予想値が語られた。
俺は、コレはどうもご丁寧にと真緒ちゃんに深々とお礼を述べ、さらにお母様にも何卒宜しくお伝え頂くことを申し伝えると、恭しくそのカレーの入った容器を頂戴した。そしてその時の真緒ちゃんの表情には、微かに柔らかい笑顔が見えた気がした。
俺は台所の台の上にそのカレー容器を置き、一旦呆然と立ったまま考えて、ハァッと再び深めのため息を付いた。危なかった。夕方買ってきた食材はレトルトカレー。真緒ちゃんの昨夜の夕食は恐らくこのカレーだったに違いない。2日連続のカレーを食わせてしまうところだった、しかもレトルト。決して不味くはないと思うが‥‥
しかし先ほどは別れ際に真緒ちゃんの微かな天使の微笑みが見られて、何だか精神ごと丸洗いされる気分になった。JSの笑顔はコレ程までに浄化能力が高いのかと感心しきりだ。ソレに加え、アパートの外の階段下から共用廊下へ、真緒ちゃんに手を引かれて上がった事をふと思い出すと、そう言えば異性と直接手を握った、と言うか肌が触れ合った事自体、俺にとっては初めてのことだとこの期に及んで気がついた。
少し前にも話した通り、俺の小学校高学年から高校時代にかけては、女子共にとっては汚物的存在で蔑視されていたため、そう言ったリア充経験は皆無だ。いやリア充でない普通の日常も含めての話だ。それがどうだ、さっきは真緒ちゃんの方から俺の手を引いてくれた、相手側から接触してきた、大袈裟な話ではなく1000年に1度の奇跡といえる出来事だ。俺は不意に思わず意味不明の涙がこみ上げてきた。
とにかく、俺の今日の夕食はこの〝真緒ちゃんママ謹製の真緒ちゃんカレー〟に決定した。夕方頃買ってきた、いつでもどこでも好きなだけ食える市販レトルトカレーは後日の食材とする。前者と後者では、その存在意義に圧倒的な格差があるのだ。
そんな聖なる夕食を前に、いつの間にかドサクサに紛れて薄めになった空腹感を起こす前に、まずは身を清めるべく風呂に入ることにする。これからの時間は冷房費を節約する意図でパンツ一丁になるのだが、その替えのパンツを中高型のロフトベッド下にビルドされている衣装棚の引き出しから出し、そこから風呂場に移動し脱衣所の棚上のフェイスタオルを一枚取り、今履いてるパンツを脱いで洗濯機の蓋を開けて中に放り込もうとして‥‥俺は何だか見慣れないモノが一瞬視界に入り、俺はその物体に視点を移した。
それは、パステルカラーの優しく可愛らしい幾何学模様が散りばめられた女児用の下着、正確には女児用ショーツってヤツだ。その瞬間俺はほんの0・何秒かの間、気を失ってしまっていた。そして魂がリスタートし精神システムが再起動を完了した後、俺は洗濯機の蓋をそっと閉じた。そして俺はありったけのリソースを全て何が起きているかの分析に回し状況の把握に尽力した。
おかしいな、俺はあの時濡れた服を入れて持ち帰るためにコンビニ袋を渡した。真緒ちゃんは脱いだ服をソレに入れて持ち帰ったのでは? と、泳ぐと言うより波に揉まれて定まらない焦点が偶然とらえた足元の端の方に、恐らくソレであろう布の塊が入ったコンビニ袋が置かれていた。お役御免となったアニキャライラスト入りのTシャツも棚の上にあり、そして脱いだパンツだけがナゼか洗濯機の中に放り込まれていたのだ。俺は混乱した。
昨日からの俺の生活の中に、小学4年生の女の子の存在が、全く以って予期せず加わわった。大事なことだからもう一度言うが、俺はガチヲタである。そのオタク趣味ジャンルは、二次元限定であるとはいえ〝ロリータ・コンプレックス〟なのである。マンガやアニメの少女に好意を抱く、キモチワルイ中年のオッサンである。