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『ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜』

 今日は、彰一しょういちの長男の理央りおうと、その妻である祐実ゆみの結婚式である。




 理央は父と同じ人前式もいいなと思っていたのだが、彰一が、


「祐実さんの親族に安心してもらえるように、ちゃんとした式にしてあげなさい。理央は自慢の息子で、向こうのご両親は分かって下さっているけれどね?だけど、祐実さんが辛い事件に巻き込まれて苦しまれたのは事実だからね?ご親族を考えなさい」

「そうね。それに、祐実さんが可愛いのは知っているけれど、理央さんがかっこいいのは本当だから、お母さんも素敵なお式がいいと思うの」


 はるかは、遼一りょういちを抱っこしながら微笑む。


「遼さん……僕とそんなに年違いませんけど……お母さんで良いんですか?お姉さんの方が近いと思います」

「えぇぇぇ?お母さんじゃ駄目かしら……」

「いえ、嫌いじゃなくて、えっと、お母さんが大好きですから!」


 理央は必死に答える。

 すると、


「嬉しい!りょうちゃん、お兄ちゃんが大好きって……あぁ、りょうちゃんも早く言ってくれないかしら……」

「いや、遼。遼一はまだ喋らないよ」


彰一は口を挟む。


「だからね、理央?お金のことは気にしなくて良い。理央は私達の息子だからね?父母として、できる限りしてあげたいんだ。祐実さんに幸せだって思ってもらえるように……」

「……ありがとうございます。お父さん、お母さん……」


 頬を赤くする理央。

 先日から貸し衣裳ではなく、ウェディングドレスやタキシードなど一式を仕立て屋に頼む父に焦っていた理央だが、本当に嬉しく感じる。


「でもね?理央さん」


 遼は真剣に告げる。


「結婚式は、ウェディングドレスとイブニングドレスだけにしましょうね。本当は白無垢や色打掛も素敵だけど、祐実さんの身体に負担になると思うの。それに、私の夢なの!ウェディングベアとウェイトベア!二人の為に作りますからね!」

「……えっとね?遼……お母さんが言いたいのは、祐実さんは小柄だし、白無垢は似合うけれど、着て歩くのは大変だと言いたいんだ。だからね?ウェディングドレスと、カクテルドレスの式はどうかな?という事。ともえ?どう思う?」


 巴は、小さい頃から着物を着て色々なお稽古事をしてきたので、頷く。


「お兄さん。着物なんですけど、男性もお腹にタオルを巻いて袴を履きます。女性は、祐実さんのようにほっそりとした人だと、ハンドタオル5枚、バスタオル2枚を体に巻いて、上を重ねて帯を巻きます。その上に打掛を羽織るのでかなり重いです。頭の日本髪もかつらですが、ずっしりします。折角のお式です。お姉さんが疲れてしまうものではなく、あぁ良かったと笑ってくれるお式がいいと思うのです」

「えっ!そんなに!」

「はい、訪問着とかはある程度減らしますが、それでも、見栄えがするようにタオルを巻いておくのです」

「見栄え……」

「そうねぇ……この前のりょうちゃんのお宮参り。私でも巻いたのよ。しかもね?胸をぐいぐいって圧迫よ〜。胸があるのも駄目なんですって」


 遼は母乳で子育て中であり、厳しかったらしい。


「だから、可愛いドレスがいいと思うの!巴ちゃんも可愛いから、お母さん楽しみなの」

「落ち着きなさい。遼」


 次第にテンションが上がる妻を止める彰一は末っ子を抱くと、溜息をつく。


「遼は、理央と巴が大好きだからね……でも、あれこれ口出しするのは駄目だよ?」

「えっ。お父さん、お母さん。二人だけだと、本当に困ります!僕たち、向こうとこっち行き来しなくちゃいけないし……巴ちゃん!忙しいのは分かるけど、お願い出来ないかな?」

「あ、良いですよ。えっと、お兄さん!」

「えっ!う、嬉しいなぁ」


 二人が照れ笑う。

 兄妹仲は本当に良いらしい。




 そう言ったやりとりと、祐実やその家族との話し合いが続き、結婚式の当日……。

 祐実は父と腕を組みながらゆっくり歩く。

 途中で理央が待つ……。


 その場所に到着すると、沢山傷つき苦しみ抜いた娘の手を優しく撫で、そっと外すと、


「理央くん……よろしく頼むよ」

「はい、お義父さん。祐実さんを大事にします」


祐実の手を取り、歩き出した。

 その後の式で、二人は誓いを口にし、夫婦となった。




 披露宴会場では、何故か最初のお酒が、新郎の父である彰一が……入場の曲は新郎の母、遼が選んでいた。

 曲は、森口博子さんの『ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜』である。

 昔のアニメの曲だが、根強いファンが多い。


 そして、乾杯のお酒が配られる。

 ビールやワインが多いのだが、今回配られたのは、


「初めまして。私は、新郎の粟飯原理央あいばらりおうくんの親友で、谷本大輔たにもとだいすけです。このカクテルは、理央くんのお父さんから、皆さん……特に、新婦の祐実さんに贈るカクテルです」


 式の司会進行を担当する人は別にいるものの、このカクテルだけは大輔は説明したかった。


「カクテルの名前は『ゴッドマザー』。アルコール度数が少し高いので、ご注意ください。乾杯用のものです。そして、このカクテルを理央くんのお父さんが何故用意したかったか……カクテルにはそれぞれ花言葉のように、カクテル言葉があります。この『ゴッドマザー』は、『無償の愛』『他人の考え方を受け入れられる優美な人』と言います。理央くんは私が学生時代から迷惑をかけ通しの、本当に優しく強く、そして祐実さんには、愛情と幸せな日常を共に過ごせる最高のパートナーだと思います」


 目を丸くして大輔を見る理央に、


「そして、祐実さんは、理央くんにはもったいない程とても知的な美人です。それでいて個人で動くのではなく、周囲の仕事を確認しながらサポートし、人の意見を調整するサポート役として祐実さんの会社の方だけでなく、私たちの会社でも有能な人材として知られています。新郎の父、彰一さんが、2人の為に選んだカクテルです。乾杯をお願い致します」


それぞれがグラスを手にし、そして、


「理央くん、祐実さんの今後を祝して!」

「おめでとう!」


祐実が頬を赤くして、理央に、


「……幸せって、理央さんの側にあるんですね」


と囁き、理央も、


「これからも二人で……ううん、お互いの家族と幸せになろうね」


と微笑んだのだった。

ゴッドファーザー


標準的なレシピ


ウイスキー 45ml

アマレット 15ml


他のレシピ


国際バーテンダー協会(IBA)では、ウイスキーとアマレットを等量にしたものがオフィシャルレシピとなっている


ウイスキー 35ml

アマレット 35ml


作り方


ウイスキー、アマレットを、氷を入れたオールド・ファッションド・グラスに入れステアする。


バリエーション


ウイスキーをウォッカに変えると「ゴッドマザー」になる


カクテル言葉


・ゴッドマザー……『無償の愛』『他人の考え方を受け入れられる優美な人』

・ゴッドファーザー……「物事を両面から見てとれるスペシャリスト」

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