『Get Wild』
今日のマスターは何故か『バレンタインデー』と言うのが凄まじいなぁと思ったのだった。
節分が終わり、少し趣向を変えた曲をと思い、選んだのはTMN(TM NETWORK)のアルバムである。
色々なアニメや映画などに曲を提供されており、今でもファンが多い。
すると、二人の女性がやって来た。
「いらっしゃいませ」
「こんばんは」
「どうぞ」
バーには一つだけテーブルがある。
そちらに着いたお客は余りなく最近は、相棒を手当てした遼位である。
二人は席につく。
「だからね?まゆちゃん、頑張って告白しようかと思って‼今までは黙っていたけど、頑張る‼化粧も頑張って、服も選んで‼」
「やめときなよ。みさちゃんは今のままが本心で可愛いし、そのままがいいんだって‼あいつの言葉に惑わされない‼ほっときなさい‼」
「えっ?だって……和也くんは沢山チョコレート貰う筈だし……。もし駄目なら諦める。迷惑だと思うし……」
まゆと言うのは、バッチリメイクの女性。
みさと言うのがシンプルメイクと言うか、時間も時間で落ちていると言った印象の女性である。
しかし顔立ちが童顔な所は、二人とも大学生らしい。
「迷惑どころか‼どうせ、あいつは絶対昔からもてると思い上がってるんだから、来るもの拒まず取っちゃ食いしてるわよ。あのくず、女の敵‼」
「そんなこと言うから、喧嘩するんでしょ?幼馴染みなんだし悪口言わないの。それに好きだったんでしょ?」
「ヤーメーテ‼もうすでに抹消した過去よ‼それに比べて弟の方は、出来が良い上に医学生よ‼あぁ、ヤダヤダ‼弟くんの方がイケメンな上に、優しいわよ」
両手で耳を押さえ嫌そうな顔になると、はっと思い出したように、
「じゃぁ、私はそっちゲット‼チャレンジするわ‼」
「駄目でしょ。医大だよ?大変でしょ?」
「それより、みさちゃんはどうするのよ?」
「だ、だから……和也くんに玉砕覚悟で……」
「そんな悲惨な顔でやるなら、酒でも飲ませてでも、うんって言わせれば良いのよ‼私が……」
こそこそと話すみさに、テーブル席からカウンター席にいたマスターにはしっかり聞こえていた。
口を挟むのを諦めたマスターは二つのカクテルを作り、席に近づいた。
「お待たせいたしました。どうぞ」
「あ、すみません‼話に夢中で……」
「あ、すみません‼」
「いいえ。今日のカクテルはお客様に……」
テーブルに乗せる。
みさはカクテルグラスとマスターを見る。
「このお酒は?」
マスターは天井を指す。
「ご存じではないかもしれませんが、この曲はある漫画が原作のアニメの主題歌なんですよ」
「そう言えば、お父さんが言ってたなぁ……聞いたことがあります」
まゆはアニメの名前を告げる。
「よくご存じですね。で、このカクテルは『ハンター』と言います」
「……エェェ‼」
二人は顔を見合わせる。
と、まゆが、
「ほら‼マスターが応援しているわよ‼みさちゃん。頑張れ‼」
「う、うん!バレンタインデーに告白する‼ありがとうございます‼」
二人は、手に取ったのだった。
《ハンター(Hunter)》
ウィスキーをベースとする、ショートドリンクカクテル。
正式名称は、ハンター・カクテル。
しかし、通常、ハンターと省略する。
標準的なレシピ
ウィスキー : チェリー・ブランデー = 3:1
作り方
ウィスキー、チェリー・ブランデーを、ミキシング・グラスでステアして、カクテル・グラス(容量75〜90ml程度)に注げば完成である。
備考
2種の酒の比率
カクテルでは、飲む人の好みに合わせて味やアルコール度数の調整するため、材料の比率を変えることがある。
このハンターも例外ではなく、ウィスキーとチェリー・ブランデーの比率が変更される。
ハンターの場合、甘味成分が含まれているのがチェリー・ブランデーであり、ウィスキーの比率を多くすると辛口、チェリー・ブランデーの比率を多くすると甘口。
ハンターの場合、比較的有名なレシピが大きく分けて2つあり、比較的辛口のレシピをと、比較的甘口のレシピがある。
比較的辛口のレシピは、ウィスキー : チェリー・ブランデー = 3:1
比較的甘口のレシピは、ウィスキー : チェリー・ブランデー = 2:1
の2通り、場合によっては、
ウィスキー : チェリー・ブランデー = 1:1
程度まで比率を変えることもある。
その他
ミキシング・グラスでステアして作る方法以外に、シェーカーでシェークして作る場合もある。
ハンターのベースとなる酒はウィスキーだが、ウィスキーの種類が、ライ・ウィスキーと指定される時もある。
『Get Wild』
TMNETWORK時代の曲で、アニメ『シティーハンター』の主題歌のひとつ。




