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あるバーのマスターの話  作者: 刹那玻璃
マスターの章
15/66

『サウスポー』

 年末に酔っぱらっていた高校時代の友人、雄堯たけあきの息子の雄洋たけひろが今日はやって来ていた。

 大人しい印象の雄洋だが、ビックリしたのは一緒に来たのは宣子のりこである。


「こんばんは。マスター。お久しぶりです」

「こちらこそ、お元気そうで何よりです」


 今日は、女性デュオのピンク・レディーを選んでかけている。

 独特の色気とダンス、歌声にいまだファンは多い。


「マスター。しのに会ったんでしょ?元気だった?」

「えぇ。宣子さん。雄洋さんがビックリしてますよ」

「あぁ、雄洋くんは後輩なのよ。去年入ってきたの。経理の知識は豊富なんだけど、余り人と話さないから、お局様がからかっちゃおうと思って……」

「宣子さん。駄目ですよ。後輩と言っても、年が変わらない筈ですよ」


 マスターの声に、


「それはないでしょう。この童顔ですもの」

「あ、えっと、今年30になります……」

「えぇぇぇ‼私より3才上‼」

「アハハ……よく言われるんです。でもそれに、実家の手伝いをしていたので、就職って言うのは初めてで……まだまだ新米ですから……」

「そう言えば、マスター。どうして古西こにしくんの事を知っているの?」


興味津々の宣子に、苦笑する。


「雄洋さんは、私の高校時代の悪友の息子なんです。昨年、会いに来て下さったんですよ」

「へぇ……そうなの。マスターの友人って言うと篠と、酒屋さんの高坂こうさかさんしか思い浮かばないわ」

「そうなんですか?マスターは友人が多いのかと……」

「……」


 珍しく苦笑するマスターに、宣子は、


「マスター?ねぇ?今日は珍しいのね?私の母が好きでかけてた曲よ?」

「あぁ、ピンク・レディーの曲ですね」

「そうそう。私も歌えるわ。ほらこの『ペッパー警部』とか」


流れてくる曲に、マスターは今度は微笑む。


「では、少々お待ち下さいね?」


と、手際よく準備を始める。

 そして、『サウスポー』に曲が変わると、二人にカクテルを差し出す。


「これは?」


 淡いピンク色のカクテルを見つめ、雄洋が問いかけると、


「『ピンク・レディー』と言います。イギリスで1912年上演された『ピンク・レディー』と言う舞台の打ち上げで、作られたカクテルなのだそうです。日本の『ピンク・レディー』は、この舞台名から取られているそうです。どうぞ」

「ありがとうございます」

「じゃぁ『ピンク・レディー』はデュオだから、お局様と新人で同士として、よろしくお願いします」

「お局様どころか、優しいじゃないですか……よろしくお願いします」


 二人は目を合せ、そしてマスターに微笑むと、カクテルに口をつけたのだった。




 後日、二人から、付き合うようになったと揃って挨拶に来たのはご愛敬である。

『ピンク・レディー』


ジンをベースとするカクテルでショートドリンクに分類。

グレナデン・シロップと卵白を使うため、ピンク色に見える。


由来


発祥の地はイギリスで、1912年に上演されていた同名の舞台にちなんでおり、主演女優のヘーゼル・ドーンに対して打ち上げパーティの席上で捧げられたのが最初。


なお、日本のアイドルデュオ・ピンク・レディーの名前は、このカクテルからとられた事で有名。


一般的なレシピ


・ドライ・ジン - 45 ml

・グレナデン・シロップ - 20ml

・卵白(鶏卵) - 1個分


手順

材料をシェイカーに入れ、きれいなピンク色になるよう、グレナデン・シロップの量は微調整する。

氷と共に強くシェイクする。卵白が入っているので、特に強くシェイクする必要がある。

ソーサー型のシャンパン・グラス、またはカクテル・グラスに注ぐ。

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