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あるバーのマスターの話  作者: 刹那玻璃
マスターの章
13/66

『wedding song』

 今日は、マスターには珍しく、ロック系のアルバムをかけている。

 マスターはジャンルを問わず好きな曲は好きと言えるので、好きだと思えばアルバムを買う。


 出口雅之でぐちまさゆきさんと言う、歌手の曲である。

 アルバム名は『SPEED OF LIFE』。


 カランカランと大きくベルがなり、現れたのは大柄だが温厚そうな青年と、小さく可愛らしい少女。


「いらっしゃいませ……寒くありませんでしたか?」

「あぁ、早希子さきこ、雪が……」

「それよりも、潤一じゅんいちさんこそ……」

「こちらにどうぞ。エアコンの風を調節しましたので」

「ありがとうございます」


 二人は、カウンターに腰を下ろす。


「あれ?この声……REVレフの……」

「出口雅之さんの曲ですよ。何か、飲まれますか?」

「あ、お願いします」

「では」


 マスターは準備を始める。

 その間に早希子がハンカチを取りだし、潤一に手を伸ばす。


「早希子こそ、風邪を引くぞ?」

「大丈夫です」

「だから、駄目だ」


 マスターから見たら、どう見ても初々しいカップルのイチャイチャシーンである。

 しかし、プロのマスターは真顔で作り上げていく。


「どうぞ……」


 二人の前に差し出す。


「これは?」

「これから始まる曲を、聞いて下さい」


 始まったのは、今まで流れていたロック調の曲とは一線をはくす、ゆったりとした男女の二重唱である。


「『wedding song』と言います」

「『wedding song』……」

「そして、お出ししたカクテルは『XエックスYワイZゼット・カクテル』と言います。XYZが、アルファベットの最後であるので『これ以上良いものは無い究極のカクテル』『これ以上のものは作れない究極のカクテル』という意味合いが込められているのですよ」


 微笑む。


「如何ですか?気持ちは決まりましたか?」


 潤一は、隣の席の早希子に向き直ると、胸のうちを伝えたのだった。

X・Y・Zエックス・ワイ・ズィーもしくは(エックス・ワイ・ゼット)


このカクテルの名称の正確な由来は不明。一説には、『XYZ』がアルファベットの最後であることから、「これ以上良いものは無い究極のカクテル」「これ以上のものは作れない究極のカクテル」という意味合いが込められているともされる。他にも、「もう後が無い」「最後の」といった意味が込められているとする説や、「今夜はこれで終わり」という意味で寝酒を表すという説もある。


また、海外での一般的な用法に合わせ『レシピは秘密』という意味との説がある。


レシピ


標準的なレシピは


ラム:コアントロー:レモン・ジュース = 2:1:1

である。


作り方

ラム、コアントロー、レモンジュースをシェークし、カクテル・グラス(容量75〜90ml程度)に注げば完成である。なお、レモン・ジュースは、その場でレモンを絞ったものを使用するのがベストであるが、市販のジュースを用いても良い。

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