やっとはじまる
慌ただしいままに、みのりのお葬式が行われて…みのりの死の実感が湧かないままにお墓参りをして…。
私たち弦楽四重奏団は一人欠けてしまった。解散になるだろう。
みのりの代わりなんているはずがない。
三人でみのりが住んでいた部屋に集まった。
「…あ、これ、みのりの楽器ケース…」
「楽器も楽譜もそのままだ…」
「折角ローンで買ったって、あんなに嬉しそうに言っていたのに…弾く人がいなくなってしまったなんて…」
ふっと涙ぐみそうになってしまっていた時だった。
私たち三人の足元に突然光の円が現れた。
「えっ?なにこれ??」
突然のことに驚いていると…視界が白くなった。
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「ちょっと!おきなさい!!」
んぁ…優奈の声??
目を開けると…優奈の顔のどアップ。
「うぁぁぁぁびっくりした!!!!」
思わず飛び起きてしまって…はい、そうです、優奈に頭突きしちゃいました、ごめん、優奈。でも私も頭痛い…
痛む頭を押さえながら周りを見ると、やたらとのどかなところだった。
草原。青空。山。嗚呼、自然ここに極まれり。
ここはどこだ、私東京にいたはず。
…あ、志保もいた。
「ここ、どこ?」
…うん、私も聞きたい。
「私もわからないわよ!」
まじですか、優奈様、なんとかして…
そのとき、
「目覚めましたか?」
とやたら神々しい声がした。
いや、神々しい声ってどんなだよ、とか言われても説明できないんだけど、神々しいのよ!なんとなく!
…ところでどなたさん??