第89話
エリさんは続ける
「ヒトミに詳しく教えなかった理由はまず1つ…私とヒトミとの関係はテラー、委員会にも極秘だった事」
仲が良いのは内緒だったのか
「あくまで、私とヒトミは敵対してるという構図を壊すわけにはいかなかったのよ」
「ふむ…確かに…お互いの組織の内偵力は高いからな」
ヒトミさんはまたタバコを咥える…
マジでヘビーだなこの人
「しかし…テラーや委員会は何故そこのボウヤをインフルエンザに感染させる必要があるんだい?」
また…タバコの煙がふわりとなびく
「そうね…ここからが重要ね…あ、ヒトミ、1本ちょうだい?」
「…ん」
ヒトミさんがエリさんにタバコを差し出す
「エリさん吸うの?」
「ま、たまーにね…コイツみたいに機関車じゃないけどね」
「人聞きわりぃなオイ」
「…ふぅ…」
エリさんの口から煙がフワリと吹き出す
「人類はこれまでに様々な過ちを繰り返してきた…戦争による虐殺、利権を巡る争い…挙げればキリがないわ」
人類…過ち…
「テラーはある結論に達したの…過ちを繰り返す人間をどうすべきか」
結論…
皆、息を呑む
そして…
「テラーは全人類に対して、強制執行を行ううもりよ」
ぜ…全人類!?
「そして、この地上さえも死者の世界にしてしまう…つまり、死者の世界も人類の世界も、一括統治を目論んでるのよ」
い…一括統治!?
そんな事を考えていたなんて…!
「しかし、それには私達の様な反抗する死神を黙らせらる必要があるわけ…少なからず、私とヒトミの様な個人的な組織はいくつか点在してるからね」
「反抗してんの?エリさん…」
「…まぁ、反抗というよりはテラーにとっては目の上のたんこぶね…」
たんこぶ…
「そして、テラーは坂崎レンジ君をインフルエンザに感染させ、人類を億単位で死滅させる…ワザとね」
「ワザと…?じゃあ…私にレンジを殺させるつもりって…」
私の問いにエリさんは答える
「そう、最初からそのつもりはテラーには無かったのよ」
「え…じ、じゃあ…何でエリさんは私にレンジの殺害を命じたの?」
「その辺りは複雑なんだけどね…テラーは表面上はインフルエンザによる人類壊滅を阻止する立場を取らなければ面目が立たないわけ」
う…良くわかんない…
「だからあえてレンジ君の元に死神を送り込む事をしたのよ?あなたならレンジ君をどうせ殺せないと判断してね」
「つまり…私は…利用されていたの…?」
「そう…始めからあなたにレンジ君を渡す気なんてまったく無かったのよ」
そんな…
「だけど、私の立場や考えとしては人類を壊滅させるなんてのは容認できないわけよ…だから私はテラーの命令に服従するフリをしつつ、計画を練ったのよ」
計画?
「まぁ話は戻すけど、インフルエンザにより、人類が半数ほど死滅したところでテラーは一括統治の作戦を発表…人類が半数以上死んでしまえば致し方無いという流れが自然と出来るでしょ?」
「…有無を言わさないってわけか…チマチマしたやり方だねぇ…」
ヒトミさんは校庭の地面を蹴る
「その上でテラーがカルマを保持していれば決定打でしょ?そういう事よ」
「チマチマとしたやり方だが…効果は大きいな…確かにカルマを保持しているのは大きい…!」
ヒトミさんが小さく呟く…
「そ、そもそもさ!その…かるまってレンジの事でしょ!…そんなにすごいの?」
「まぁ、あなたには話してはいなかったしね…良いわ…!教えてあげましょう」
かるま…一体どんな話なんだろう…
「つーか疲れたわ…どっこいしょういち…」
エリさんが平均台に座る
「エリさん…掛け声がオバさんみたいだよ…」
「ま、少なからずあなたよりはオバさんね…で、そのカルマの事なんだけど…」
エリさんから…カルマの話が明かされる…




