第86話
「カッコつけんじゃないわよ…どきなさいよ!」
マイコちゃんが野太刀の切っ先ををレンジに向ける…!
「僕は…!確かに君を振った…傷付けたと思う…!!本当に申し訳ないと思ってる」
「申し訳ないって…何を今更…!振ったのは事実でしょうが!どきなさいよ!!…どけぇっ!!」
「確かに…今更でもあるけど…でも僕はどかない!!」
「どけぇっ!!」
「どかないっ!!」
「レンジ!!アンタ下がってなさいよ!!」
私もレンジに下がれと言う
しかし
「イヤだ!!」
背を向けながら私にも怒鳴る
「れ…レンジ…?」
「僕は…僕は男なんだ…好きな女の子を守りたいんだよ!!同じ死ぬんでも…何もしないで死ぬよりは…好きな女の子を守り抜いて死んだ方がマシだ…!!」
「ちょ…!!レンジ…!」
私の前に背を向けて微動だにしないレンジ
「なら…お望み通り…!」
ーガチャッー
マイコちゃんが野太刀を更に低く構える…!
だけどレンジが口を開く
「それに…」
「ナナちゃんとマイコちゃんが殺しあうのなんて…イヤだ…!」
「!!」
マイコちゃんがピクリとする
「僕はナナちゃんが好きだ…でも、マイコちゃんは部活で一緒に苦労してきた…楽しんできた…!ナナちゃんよりも長く…!」
レンジ…!
「ノフだってそう…3人で部長達に時には怒られたり、褒められたり…
」
レンジは部活での思い出を話す
「僕にとって…部活で関わった友達は…大切なんだ…!!」
大切…
「大人になっても絶対に忘れられない…大切な友達なんだよ!!その仲間が殺し合うのなんかイヤだ!!」
ーカチャカチャ…カチャカチャー
マイコちゃんの手が震える
野太刀がカチャカチャと音を鳴らす
ーカチャカチャ…カチャカチャー
ーガシャンッ!ー
野太刀が……
マイコちゃんの足元に落ちる
「……友達…か……アッハハ…」
マイコちゃんが……
ガックリとうなだれる…
「やっぱり………友達なんだね……ハハ…♪」
力なく喋るマイコちゃん
「……こんな事したのに……殺そうとしたのに……大切って……グス…どれだけ…どれだけ…グス…人が良いのよ…!ウグ…!」
ポロポロと…
ハラハラと…
大粒の涙を流すマイコちゃん
どんどんと頬が濡れる…
「………ご…ごめん…なさい……!私…わだぢ…!!う…グス…!ふぐぅ……!何て事を゛!!」
マイコちゃんは膝を地面につき、顔を覆い泣く
「あ……!」
レンジが駆け寄りマイコちゃんの涙を拭ってあげてる…
う…うーん…
レンジにとっては自然な事だろうけど…
ちょっと妬くわ…
でも…
なんとか…ひと段落ついた…
レンジのおかげもあって…
いや、レンジが決着を付けてくれたんだと思う
「はふ…」
私は大きなため息をつく…
ほんの少し…
私の吐いた息は…
ほんのりと白かった…




