第73話
73
「ん…!!」
「ん…チュ…!!」
唇が…!!
唇が!!
紅茶に入れていたであろう薬のせいで、体がフラフラだった
だけど、僕はなんとかマイコちゃんの唇を避ける
避けたマイコちゃんの唇が頬に当たる
「どうして…避けるの?」
避けるに決まってる…!
「あぁ…最初はホッペが良いのかな?フフ♪」
ま…まるで堪えてない…
な…何なんだ!?
「私はね…もう覚悟は出来てるの…だから…レンジ君も我慢しなくても良いんだよ?」
「く…う…!!」
「私は…レンジ君の彼女……だから好きにして良いんだよ?」
「う…うぁあああ!!」
ードシンー
僕はマイコちゃんをベッドに突き飛ばす
「……♪」
マイコちゃんは艶かしい視線を僕に送る
「…やっと…♪」
何だか笑顔になるマイコちゃん
だけど僕は…
「ふ…ふざ…ふざけんな!!」
「……!!」
僕の声にマイコちゃんが固まる
「こんなの…こんなのあるか!!僕は…僕は…!!」
「れ…レンジ君…?」
「僕は…人が良い性格をどっかで満足してた…」
「わ…私も人の良いレンジ君が…」
「今は僕が喋ってるんだよ!!お前は黙ってろよ!!!」
フラフラだけど、僕は渾身の力で怒鳴る
「ひ…!!」
マイコちゃんは怯える
「こんな事されてまで…僕が人に流されるなんて…そんな風に思うんじゃ…思うなよ!!」
「れ…レンジ…君…?」
「僕が好きなのは……」
「レンジ君!!」
マイコちゃんが抱きつこうとする
ーバンッ!!ー
だけど、僕はマイコちゃんを突き飛ばす
「ナナちゃんなんだ!!…君じゃない!」
「う…れ…レンジ…君…」
「好きじゃない人とキスしたり、体の関係なんて持てない!!持つつもりなんか無いんだよ!!」
「だって…レンジ君…頷いた…」
「頷いた!!でも、キスしたり体の関係を持つなんてのは…聞いてないし、するつもりもないんだよ!!」
「…そ…そんな…」
女の子が上半身下着姿で迫ってくる
余程の覚悟が無いと出来ない行為
それを突き返す僕は…最低かもしれない
でも、でも!!
ナナちゃんをこのままにしてたらもっと最低だ…!!
「僕は、ナナちゃんが…ナナちゃんが好きなんだ…!!ちっちゃい時からずっと…ずっと!!その想いを今更変えるなんて無理なんだ!!」
「う…く…!!」
ージワ…ー
マイコちゃんの瞳に涙が溢れる
「……僕を好きになってくれたのは正直うれしい…でも、僕はナナちゃんが好きなんだ!大好きなんだ!!……だから………」
僕は意を決してマイコちゃんに告げる
「君からの思いは…お断りします」
「……も、もう…良い…!!」
俯き震えるマイコちゃん
ブルブルと肩を震わせている
それを背に、僕は部屋のドアに手を掛ける
「……………さよなら」
僕はマイコちゃんの部屋から出る
……これで良かったのか…
分からない
でも…今はナナちゃんの元に行かないと…!




