第三章・『序章』~『不穏』までの、おさらい編
本編を一度お休みし、第三章のおさらいを行います。
進行は、ウォルヴァンシア騎士団長、ルディー・クライン。
ガデルフォーン騎士団長・サージェスティン・フェイシア。
以上の二名で行います。
ルディー
「よし! 久しぶりの出番だな!!
……って、何でよりにもよって、お前となんだよっ」
サージェスティン
「えー、俺は久しぶりにルディー君と会えて嬉しいけどなー。
ちなみに、今回の組み合わせの理由は、
ウォルヴァンシアとガデルフォーンの事情を理解している両サイドから一名って事らしいね。
で、同じ騎士団長職にいる、俺と君が選ばれたわけだよ」
ルディー
「最悪だ……。作者の馬鹿野郎」
サージェスティン
「ははっ、まぁ、そう嫌わないでよ。
別に今日は手合せを望んでるわけじゃないんだし、いいじゃない」
ルディー
「はぁ……、まぁ、そうなんだけどな。
どうにも、お前と顔を合わせると戦闘に持ち込まれるから、抵抗感が……」
サージェスティン
「俺とやり合える人って、意外と少ないからねー。
ついついストレス発散に手合せして貰いたくなるんだよ」
ルディー
「今日は絶対、ぜーったい、……駄目だからな?」
サージェスティン
「りょーかい。さて、今回の話だけど、本編の間に、
『今までの流れをおさらい』する為に、俺達が呼ばれたんだよね」
ルディー
「結構ごちゃごちゃしてきたからな。
一回、いちから整理した方が良いって……自分でも内容を把握したがってる作者がいる」
サージェスティン
「なにせ80部越えだからね。読んでくれている心優しい子達の頭の中も、
話の流れや状況、それから、増えすぎたキャラのせいで、頭の中大混乱だと思うよ」
ルディー
「だな。それも含めて、今から第三章をおさらいするわけだ。
簡易的な感じで行くからな。皆、準備はいいかー?」
サージェスティン
「俺達は、その説明された内容にコメントする係だねー」
~第三章・ウォルヴァンシア編~
☆不思議な夢を見た幸希は、その日の朝、突然の変化に襲われる。
変化の原因は、禁呪の件で幸希にかけられていた王宮医師とフェリデロード家当主の術に綻びが生じ、彼女の中に封じられていた魔力が僅かに表へと出て来た為。
この件により、幸希の髪が長くなり、『蒼』へと変化。
☆ウォルヴァンシア城下町にて、ラスヴェリート国王の妻、王妃リデリアと、国王の側近である足フェチ男、ヴェルガイアと出会う。
ウォルヴァンシア王宮にて、ラスヴェリート国王セレインとも顔を合わせる事になる。
☆ウォルヴァンシア王宮内、レイフィードの部屋にて、
ラスヴェリート国王セレイン、ガデルフォーン皇国女帝ディアーネス、
そして、イリューヴェル皇国グラヴァードとウォルヴァンシア国王レイフィード達四人の国王による簡易会議が開かれる。
先日の『禁呪事件』の事もあり、それぞれの国に何か異変はないかと問うレイフィード。
過去に起きた、『ラスヴェリートの事件』の事も踏まえ、不穏の気配を探っていくのだが……。
☆ウォルヴァンシア城下町に、幸希・リデリア・ロゼリアの三人が遊びに出掛ける。
その帰り道、路地の方で傷付いて座り込んでいる青年を発見。
王宮に連れ帰り介抱したところ、目覚めた彼は『記憶喪失』となっていた。
自分の名前も、帰るべき場所もわからない青年を、王宮医務室で面倒を見る事になる。
☆大欲場帰りのカインの許に、女帝ディアーネスが奇襲をかけにやってくる。
☆ウォルヴァンシア王宮にて、舞踏会が開かれる。
アレクにエスコートされ参加した幸希は、そこでウォルヴァンシアの貴族とその息子、そして、美しい一人の女性に出会う。(この時点で、貴族の二人と、女性に関しては、まだ出番は三章内にはない為、忘れても問題なし)
その後、幸希は迷子の少女(演技をしている女帝ディアーネス)と出会う。
☆ラスヴェリート国王夫妻と側近帰国。
ウォルヴァンシア王宮内、王宮医務室にて、記憶喪失の青年と会話。
この時、ルイヴェルが持って来た本から、青年は自分の使う仮の名を決定する。
(名前はフィルクに決定)
☆幸希と、女帝ディアーネスが正式な立場で再会する。
ガデルフォーンへの遊学を持ちかけられ、悩んだ結果、少々不純な動機で遊学を決意する。
ルディー
「……と、ここまでが、ウォルヴァンシアでの出来事だな。
姫ちゃんてば、結局、不思議動物ファニルに惹かれちまって、遊学を決意しちまったんだよ」
サージェスティン
「それは俺も初耳だったよ。そっかー、ファニル目当てだったんだー……」
ルディー
「勿論、他国で学ぶ事にも興味があったみたいだし、
ファニルはきっかけに過ぎなかったんだろうけどな」
サージェスティン
「さっと内容を読んでみたけど、自分の事で他の人に迷惑をかけるかもと思っていたユキちゃんが、
ファニルを本で見た瞬間、即決だったようだねー。アニマルパワー恐るべしといったところかな」
ルディー
「姫ちゃん、もふもふ大好きだからなぁ……。
アレク的には引き留めたかったみたいだが、ファニルに負けたしな……。
まぁそんなわけで、遊学が決定したわけだ」
サージェスティン
「作者が必要だと思う部分だけ抜き出して説明しているからね、、これ……。
皆、わかりづらくてごめんね。作者に代わって俺が謝罪させて貰うよ」
ルディー
「俺も同じく、ほんっとーに申し訳ない。
……じゃあ次、ガデルフォーン側に移ってからの話だな」
サージェスティン
「物凄く長くなるんだよね、ガデルフォーン編って……。
はぁ、ちゃんと『おさらい』出来るのかなー」
~第三章・ガデルフォーン編・その1~
☆ガデルフォーン皇宮に到着した幸希一行。
到着したと思ったのも束の間、謎の触手達に襲われ戦闘開始。
宰相シュディエーラの女帝に対する鬱憤晴らし(幸希達は巻き込まれただけ)だと判明する。
男性陣と別れ、ディアーネスと共に大欲場に向かう幸希。
そこで、彼女の兄達の事を聞かされ、その胸に深い傷跡を見付ける。
☆幸希・カイン・レイルの三人で、ガデルフォーン城下町に向かう。
大食堂で大量の食事を根性で食べ抜こうとした幸希の具合が悪くなったところ、後ろの席から親切な言葉がかかり、ガデルフォーン騎士団長、サージェスティン・フェイシアと出会う。
☆朝の講義の後、ガデルフォーン皇宮内の庭にて、幸希は念願の不思議動物、ファニルと出会う。
しかし、その際に子供のファニルに丸呑みされ騒動が起こるが、無事に救出される。
☆ファニルとの騒動を終えた後、カインと騎士団長サージェスティンが、鍛錬場にて手合せ。
ボロボロに負けたカインは、自身の戦闘能力を磨く為、サージェスティンに師事する事になる。
☆ガデルフォーン皇宮内にて、王宮魔術師であるユリウスとクラウディオと出会う幸希。
その日の夜の食事にて、クラウディオとルイヴェルの因縁を目撃。
☆深夜の女帝執務室にて、ルイヴェル・サージェスティン・シュディエーラ・クラウディオ・ユリウス・ディアーネスによる、国内の異変についての話し合いがもたれる。
魔力値の低い『場』に生じた小さな異変、『場』への干渉を調査し、乱れていた魔力バランスの調整が終わっていたにも関わらず、後日再調査したところ、再び干渉の跡が見られた。
通常、『場』の魔力バランスを調整し終わってから少しの期間で、魔力の揺れが起こる事はない。
自然的には……という意味なので、何者かの干渉があったとみられる。
この際に、ルイヴェルにも協力が求められ、後日、再び『場』へと赴く事になった。
☆宰相シュディエーラと、騎士団長サージェスティンからの提案により、ファニルを飼う事になった幸希。
☆女帝ディアーネスからの提案で、幸希が魔術の訓練を始める。
この際に使用する事になったのは、ルイヴェルの魔力。
周囲の者達に守り続けられるのではなく、自分自身も強くならねばと決意する幸希。
☆ガデルフォーン皇宮内の庭にて、居眠りをしているルイヴェルを発見。
おかしな寝言を聞くが、中身は不明。
彼が目覚めた後、幸希は魔術を行使する為のアドバイスを受け、一歩前進。
☆ルイヴェルが、ガデルフォーンの皇宮魔術師達と共に、『場』の調査に同行。
数日ほど、ガデルフォーン皇宮には帰って来ない。
☆朝食時、女帝への挑戦を掲げやって来た者達と、カイン、サージェスが戦闘。難なく圧勝。
サージェスティン
「はい、良い子の皆、一旦休憩しようねー。
ガデルフォーン編は長いし、まだ終わってもいないから、先が長いんだよ。
ちょっと休もう」
ルディー
「姫ちゃんも、すげー頑張ってんだなぁ。
魔術を覚える為に、あんなに頑張って……、やっぱ良い子だなぁ」
サージェスティン
「そうそう、ウチのユキちゃんは良い子だよ。
努力を忘れないし、向上心や自分の弱さを省みる力もある」
ルディー
「ちょっと待て。いつ、誰が、お前ん家の子になったんだよ!!
姫ちゃんは、ウチの!! ウォルヴァンシアの姫ちゃんだぞ!!」
サージェスティン
「今はガデルフォーンに滞在してるんだから、ウチの子だよー!!
一緒にラナレディアの町にだってお出掛けしたしねー!!」
ルディー
「なんつー羨ましい事を!!」
サージェスティン
「ユキちゃんに似合いそうなフリルいっぱいの服とかも沢山買ってあげたしね!!
あれを毎日見られる俺は幸せ者だよー」
ルディー
「フリル!! 何だよそれ……、俺も姫ちゃんの可愛いフリル衣装見た、痛あああああ!!」
――急に出て来たルイヴェルが、ハリセンでルディーとサージェスをしばく。(笑)
ルイヴェル
「真面目に、進行を続けろ」
ルディー&サージェスティン
「ゴメンナサイ……」
サージェスティン
「どっかで来そうな予感はしてたけど、まさかハリセン持ち出すとはねー……。
しかも、衝撃威力を増幅させる為の術まで仕込んで……、痛たた……」
ルディー
「はぁ、俺もノリ良くサージェスにつられたからなぁ。
うん、俺が悪かった。だから、そのハリセン向けたまんま睨んでくるのやめてくれ」
ルイヴェル
「普段であれば、別にお前達がじゃれついていようが構わないんだがな。
今回は、第三章の『おさらい』とやらを簡単にやっていくのが目的だ。
その辺りを念頭に、――さっさと進行を進めろ」
ルディー
「りょーかい! じゃあ、次は、ガデルフォーン編の『その2』あたりの話だな~」
サージェス
「そうだね。まだまだ先は長い序盤2だね、これは。
それじゃあ、『その2』のおさらいいってみようー」
~第三章・ガデルフォーン編・その2~
☆幸希・カイン・レイルが皇宮の二階を散策中、主の気配が消え去った部屋を幾つか発見する。
その廊下の奥にある部屋に向かった所、皇家の者達の肖像画を見つけた際、ウォルヴァンシアの騎士団長、ルディー・クラインに良く似た男性の肖像画を発見。
☆その後、女帝ディアーネスと宰相シュディエーラに、勝手に部屋に入った現場を目撃される。
謝罪をし、肖像画に描かれている人達の事を聞いてみると、女帝ディアーネスは、そこに描かれてある男性達は自分の兄達であること、そして、その命を奪ったのは自分だと口にする。
多くの兄を持ちながら、彼女が女帝へと即位した経緯、それを聞けぬまま、彼女は退室してしまう。
☆肖像画のある部屋に残された幸希達と、宰相のシュディエーラ。
ディアーネスの過去を説明する前に、部屋の奥から現れた赤い髪の男性。
ルディーと似た顔立ちをしたその男性の名はラシュディース。
ルディーの父親であり、また、ガデルフォーン皇国の皇子でもあり、ディアーネスの兄でもあった人であると判明。
そして、竜の皇子カインが幼き日に出会った恩人でもある。
☆そのラシュディースと共に、宰相シュディエーラの部屋に向かった幸希達は、ガデルフォーン皇家に起きた過去の悲劇を知る。
☆ガデルフォーン皇家の姫を名乗る少女の存在は、ディアーネスの兄皇子達を傀儡とし、当時の皇帝を酷いやり方で惨殺させた……。
そして、その罪をディアーネスに被せ、追手を差し向ける事に。
☆ラシュディース・シュディエーラ・ディアーネスの三人は国内に身を顰め、皇宮内の情報を手に入れながら、何とか追っ手から身を隠していた。
☆そして、ラシュディースを呼ぶ謎の少女との邂逅を経た後、一度皇都へと戻ったディアーネス達だったが、味方だと思われていた傀儡となっていない方の兄達の裏切りに遭い、ディアーネスは深い傷を負い、城下の闇町と呼ばれる場所に逃げ込む事になった。
☆闇町で怪我人や病人を診ている医師と、その弟子である青年、騎士団長となる前のサージェスティン、それから、シュディエーラ達三人の治療により、彼女は一命を取り留める。
☆そして、サージェスティンの放った『痺れと眠り』の効果のある薬のお蔭で、謎の少女の許まで辿り付けたディアーネス達は、彼女を檻へと閉じ込め囲い込む事に成功する。
しかし、どこからか響いた小鳥の声を聞いた直後、檻の中に閉じ込められていた謎の少女の身から、禍々しい魔力が溢れ出し、檻は砕け散り、少女は自由の身となってしまう。
☆戦闘の結果、謎の少女の霊体を消滅させる事に成功したディアーネスだったが、その代償とでもいうかのように、傀儡の術が解けた兄皇子達の身に異変が起きる。
☆それぞれが手分けをして、各皇子達の様子を確認しに走ったが、ラシュディースが駆け付けた先、第二皇子アルフェウスの部屋では、大量の血を零し瀕死状態にあったアルフェウスの姿が……。
他の部屋を確認したディアーネスの口からも、兄皇子達が同じような状態である事を聞いたラシュディースは、ディアーネスに次期女帝となる覚悟を迫る。
☆皇子達を助ける為、強い魔力の集まる『ガデルディウスの神殿』に彼らを運び、そして、術師達の魔力を増幅させる効果のある『宝玉』を継承し、女帝となったディアーネスがその恩恵を術師達に授ける……。
ディアーネスはこれを了承し、『宝玉』の継承に向かう。
☆『宝玉』を宿し、女帝となってガデルディウスの神殿に現れたディアーネス。
彼女が継承した『宝玉』のお蔭で、皇子達は死の淵より救い出され、途中までは回復も上手くいっているかのように思えた。
しかし、消滅したはずの少女の存在が、高笑いとなって神殿に響き渡ったかと思うと、治療を受けていた皇子達の身体から『魂』が消失し、古の昔、ガデルフォーンを悲劇と惨劇に巻き込んだ『魔獣』が封じられし場所へと縛られてしまった……。
それから数十年、いまだ皇子達の『魂』は解放される事なく、そこに在るのだと……。
サージェスティン
「はーい、ここで一旦、また休憩ターイム。
シリアス続くと疲れちゃうからねー。
とりあえず、ここまでの話のおさらいとしては、ガデルフォーン皇家の過去と、
『魔獣』の事についてが少し出て来たね」
ルディー
「皇子さん達は生きてんのに、いまだに魔獣と一緒に縛られてるからなぁ……。
親父や女帝的には、早く助け出してやりたい気持ちでいっぱいだろうな」
サージェスティン
「外側から、中の様子を探る事は出来るんだけど、
その中に侵入して、皇子達の魂を助けるってのが、また難しいんだよねー。
一応頑張れば、入れない事はないと思うよ?
だけどねぇ、出られる保証は、ぶっちゃけない」
ルディー
「片道切符ってやつだな。
しかも、助け出さなきゃいけないのは、一人じゃなくて大人数だからなぁ……。
ウォルヴァンシアも協力してる件だけど、いつか助け出してやれるといいよなぁ」
ルイヴェル
「『魔獣』の息の根を止められる手段があるのなら、
封印自体を解いて、皇子達を外に出す事も出来るんだがな……」
サージェスティン
「どうだろうねー……。
当時の皇帝でも苦戦してるわけだし、相当の力を持っていたんだと思うけど……。
まぁ、封印されてから、かなりの長い年月が経ってるし、
皇帝の血筋も、その力を強めるようにパワーアップしてるわけでしょ?
……一回封印を解いて戦ってみるのもありかもねー」
ルイヴェル
「その際に生じる被害は甚大だろうがな……。
それより、先に進めるぞ。次は序盤の次の展開といったところか」
ルディー
「いつの間にか、ルイヴェルに進行役を取られている件について!」
サージェスティン
「そこを気にしたらおしまいだよー。
じゃあ、次は、……あぁ、ユキちゃんと皇子君の話からみたいだね」
~第三章・ガデルフォーン編・その3~
☆ガデルフォーン皇家に起きた悲劇の話の後、幸希とカインの喧嘩が起こる。
☆ウォルヴァンシア視点に一度移行し、王宮医師セレスフィーナと、記憶喪失の青年フィルクの話が展開される。
この時に、幸希がガデルフォーンに行ってしまったせいで気落ちしているウォルヴァンシアの王、レイフィードを慰める場面があり、何やらフィルクが提案をする事になる。
その後、夜に、セレスフィーナと、ガデルフォーンの『場』の調査に同行しているルイヴェルとの通信が行われ、情報交換が行われる。
ガデルフォーンの悲劇により、今もまだ『魔獣』の封じられし場所に、その『魂』を縛られている皇子達を救い出す方法を探し続けていた双子王宮医師の父親。
その役目は、ある事情により、息子であるルイヴェルへと引き継がれている事。
そして、皇宮にラシュディースが戻っている事を知ったルイヴェルは、帰還次第、彼に会う事を予定に入れた。
それともうひとつ、幸希とカインが喧嘩をしている事もセレスフィーナから教えられ、ルイヴェルは帰還しても喧嘩が続いているようならば、自分がどうにかしようと請け負う。
☆通信後、セレスフィーナは王宮医務室から繋がっている奥の部屋から大きな物音を察知し、今その部屋を使用している主、記憶喪失の青年フィルクの異変を目撃する。
荒い呼吸に顔色の悪さ……、いつもは自分を『僕』と表すフィルクが、この時だけ、『俺』という一人称を使い、何かを否定するように半狂乱となるフィルク。
セレスフィーナは、彼の異変に、何か嫌な予感を覚えるのだった……。
☆視点は同じくウォルヴァンシアのまま、ウォルヴァンシア騎士団長ルディー・クラインへと移る。
騎士団の部隊長である三人が帰還し、ようやくアレクをガデルフォーンに向かわせる状態が整う。
☆幸希とカインの喧嘩から三日が経ったある日の朝、朝食の席で、騎士団長サージェスティンに、どこかに出掛けないかと誘われた幸希。
女帝の許可もあり、幸希の予定はサージェスティンと共に過ごす事になった。
☆幸希とサージェスティンが出掛けた頃、カインは朝食の席で精神的に未熟な面をサージェスティンに刺激された件を考えながら、鍛錬場にて訓練を行っていた。
消す事は出来ない自分の過去と、これからの自分……。
レイルとの会話の後、カインは気晴らしに城下へと向かう事に。
☆城下の大食堂で、かつての師匠・セルフェディークと再会したカイン。
まだイリューヴェル皇国で荒れていた時代、カインはセルフェディークに破門され、会う事自体がなくなっていた関係だったのだが……。
彼を伴い、皇宮に戻ると、共通の友人であるラシュディースをまじえ、カインがウォルヴァンシアで大変な目に遭った事と、ガデルフォーンに来てからを語り合う事に。
そして、昔の事をセルフェディークに詫びたカインを許したセルフェディークは、弟子の初恋を、ラシュディースと共にからかい、カインが望まない計画を練り始めるのだった。
☆サージェスティンに連れ出された幸希は、ラナレディアの町で、可愛らしい金髪の少女と、不精髭を生やした中年男性と出会う。
しかし、彼らと別れた直後、幸希は目眩を覚え意識を失ってしまう。
☆倒れた幸希を宿屋に運び込んだサージェスティンは、彼女の身体に瘴気の影響が在る事に気付き、すぐに浄化の術をかけた。
治療が終わり、幸希を見守っているところに、転移の術を使い現れたルイヴェルによって下敷きにされたサージェスティンは、ルイヴェルだけでなく、ガデルフォーンの王宮魔術師であるユリウス、クラウディオとも再会する。
幸希が瘴気の影響を受けた事や、『場』に起こっている異変について会話が成される。
☆幸希が目覚めた後、彼女が出会った金髪の少女と不精髭の男性の事について聞かされたサージェスティンとルイヴェルの頭の中には、過去に遭遇した因縁の相手が浮かび上がる。
嫌な予感を感じながら、幸希を皇宮に連れ帰る一行。
そして、皇宮に帰り着いた途端、王宮医師ルイヴェルと、カインの師匠であるセルフェディークの再会の戦闘が起こってしまい、困惑する幸希。
さらには、目の前で大戦闘が起こっているというのに、サージェスティンを筆頭に、彼が買い込んだ服を手に、男性陣が暢気に服選びに没頭してしまう始末。
その光景を見つめながら、幸希は自分が、どこまでも『甘やかされている』のだと、ラシュディースに告げる。
皆に守られて、ただ、甘やかされているだけの存在……。
その話を聞いたラシュディースは、それを自覚している事が、変わっていく為の第一歩なのだと幸希に教えてくれた。
サージェスティン
「はい、休憩ー。ふぅ……、長い、長すぎるよ、おさらい」
ルディー
「ふあぁ……、本当になぁ。
もうちょっと簡潔になんねーもんかな……」
サージェスティン
「全部省略していいなら、
ガデルフォーンに遊学する→なんか色々あった→多分あれが復活しそう、で終わるけど?」
ルディー
「それは省略しすぎだろ……」
ルイヴェル
「あながち、間違ってはいないがな……。
まぁ、俺達やガデルフォーン側にとって、因縁の相手である者達の影が浮上し、
ガデルフォーンの地に良くない気配が漂い始めていると言ったところか」
ルディー
「この時点まではな。
それが徐々に輪郭を成して明らかになっていくのがここからなわけだが、
ガデルフォーン編が長すぎて、画面前で寝てる読者が多いと思うに一票」
サージェスティン
「もっとテンポ良く進め! って、絶対思われてるよねー。
ネットで更新出来る話だから、色々詰め込んじゃってるみたいだけど、
まぁ、今更新している本編の続きからは話をどんどん動かしていく気みたいだよ」
ルイヴェル
「カインに三話分使い、その後にユキとアレクの話も入っているからな……。
あぁ、違うな……。一番余計だったシーンは、サージェスとの出掛ける話だろう。
お前がユキを外に連れて行かなければ、あれが瘴気に害される事もなかった」
サージェスティン
「ルイちゃーん……。棘が、棘が俺の心にグサグサくるよ……。
いや、まぁ、俺の責任である事は間違いないけどねー。
さてと、じゃあ、そろそろ続きいってみようか」
ルディー
「次からが中盤って感じかなぁ……」
~第三章・ガデルフォーン編・中盤1~
☆ルイヴェルの従兄、セルフェディークとの対面を終えた幸希。
その後、セルフェディークに蹴り飛ばされ気絶したカインを自分の寝台で休ませた幸希は、自分も休息をとる為に眠る事になる。
☆同日、自室に戻ったルイヴェルは、過去、ラスヴェリート王国に起きた騒動を思い出す。
そこに現れた従兄のセルフェディークと情報を共有し、彼の協力を得る。
☆同日、夜、休息から目覚めた幸希は、カインと仲直りを果たし、レイルも含めた三人で城下へ遅い夕食をとりに行く事にしたのだが、皇宮の入り口付近に現れた『猫』のような動物が変化した姿、巨大な魔物に襲われ、間一髪の所をサージェスティンに救われる幸希。
ルイヴェルとサージェスティンが、二体に増えた魔物達を相手にしている際に、転移の陣から現れたアレクディースと、蒼く大きな狼の姿を纏うレイフィード国王が参戦し、『核』で動いていた魔物二体を撃破する事に成功。
☆同日・深夜、部屋に戻った幸希は、気分転換をする為に皇宮の庭へと足を運ぶ。
東屋となっている場所で眠ってしまう幸希だったが、そこで、二人の不思議な子供に出会う。
一人は、ラナレディアの町で出会った金髪の少女、もう一人は、どこかで見た事があると既視感を抱かせる銀の髪に一部青メッシュの入った少年だった。
二人からの『プレゼント』という言葉と共に額に受けたキス。
すぐにどこかへと消えてしまった子供立ち、その後、皇宮を再び襲った魔物達の襲撃。
☆発生源へと駆けだした幸希は、途中でカインに発見され、お説教を受けてしまう。
この際に、カインの術により、幸希の首にチョーカー的な装飾品が付けられてしまう。
カイン曰く、勝手にどこかに一人で行ったら、問答無用でカインの許に矯正転送されてしまう代物らしい。
『一人でどこかに行く』というのは、『危険な場所に一人で行く』という意味合いの為、普通の行動、安全な場所に一人、などの場合は除く。
この後、アレク、レイルと合流。
☆翌日、レイフィードとルイヴェル、レイル、アレクと共に城下へと食事に向かう幸希。
何故ウォルヴァンシアにいるはずのレイフィードとアレクがガデルフォーンに来たのか。
アレクの方は、騎士団長のルディーが仕事を調整してくれた為。
レイフィードの方は、記憶喪失の青年フィルクの提案により、魔力によって偽りの身体を作り、それに精神を移し、幸希と同じ歳ほどの肉体をもってガデルフォーンにやって来た。
……という説明をされるが、結局のところ、幸希会いたさに押しかけて来ただけである。
昨夜の一件と、幸希が出会った子供達の件を聞いたルイヴェルは、あとで彼女の診察をする事を決める。
☆食事を終え、ガデルフォーン皇宮に戻った幸希は、サージェスティンとの朝の訓練を終え、ボロボロになったカインの治療を終えたルイヴェルと、カインの部屋に取り残され、お説教を恐れて逃亡を試みるものの、退路を断たれ、ルイヴェルの部屋に連行される。
何故、昨夜、自分の部屋から不用意に出てしまったのか……。普通であれば闇に包まれた皇宮内を女の子一人でうろつく事すら恐れるはずなのに。
自分でも、改めて考えてみると違和感を覚えずにはいられない昨夜の行動。
幸希はその事をルイヴェルに伝え、彼の診察を受けた後、治療と称して、とんでもない恐怖を味わう事になってしまう。
そして、その治療を終えた直後、幸希は大人げないルイヴェルに仕打ちに激怒し、途中から部屋に入って来たサージェスティンの目の前で、ルイヴェルに『大嫌いです!!』と、渾身の一撃を放つ事になる。
その後、幸希は自室に一度戻り、アレクの部屋へと連れて行かれる事になる。
☆部屋で眠っていたアレクの寝惚け暴走と、彼が起きてからの言動で、恋をするという事に怯えを抱くようになる幸希。
自分が誰かを好きになる事で、誰かが傷付く事になる……。
そして、自分の心もまた、傷を負う事になるのだと、幸希は悩む事になる。
☆幸希がそんな迷いと想いに悩まされている頃、玉座の間では、『場』に生じている異変についての報告と話し合いが行われていた。
何重にも重ねられた術隠しのベールを施された各地の『場』。
得体の知れない術の正体を暴く為、ベールを剥がしながら各地の場にて作業をしている術師達。
当初の予定では、『場』を封じる計画ではあったのだが、ディアーネスの指示により、ベールの下に、どのような術が施されているのかを確かめるまでは待てという命が下っていた。
その為、各地の『場』にはガデルフォーンの魔術師達が集まり、ベールを剥がす作業に追われている。
昨夜の魔物達の一件と、幸希の前に現れた子供達の事も含め話し合われる玉座の間。
ルイヴェルの報告では、幸希の身体には、『呪い』と『傀儡』の術がかけられていたのだという。
それが、子供達が口にしていた『プレゼント』なのかもしれないと、全員が危惧する中、術の解呪はすでに終わっており、今は問題ないと語るルイヴェルに一同は安堵する。
この後、ディアーネスはレイフィードと共にガデルディウスの神殿へ。
サージェスティン
「もう嫌だ……。これ、ちょっと長すぎるよ。
もっと簡潔に説明出来ないのかなー……」
幸希
「皆さん、お疲れ様です。お茶とお菓子をお持ちしました」
サージェスティン
「あぁ、ごめんね、ユキちゃん。
作者が要領悪いせいで、読者の子達や君にも気を遣わせちゃって……」
幸希
「いえいえ。今回は私、何もする事がありませんから」
――テーブルの上にお茶の用意をしていく幸希。
ルイヴェル
「この時点で、ひとつ言っておくが……。
当初は、異変が生じている『場』を全て封じる案がユリウスの口から出ていたが、
どうやら適用されずに、調査続行となっていたようだな」
ルディー
「術の効果さえわからずじまいじゃ、色々と不安もあるだろうしな。
ベールを全部剥いで、術の正体を突き止めてから、になったようだぞ」
サージェスティン
「その説明が本編に一切なかったからね。ここで補足を入れる事にしたわけだよ。
あ、ユキちゃん、有難う。……はぁ、可愛い女の子から淹れて貰ったお茶は美味しいねー」
ルディー
「サージェス……、なんかおっさんくさいぞ」
ルイヴェル
「ユキのいた世界の年齢で考えると、すでに死んでいてもおかしくない歳だからな。
向こうの世界でのおっさんを通り越して、ご老体年齢をとうの昔に越している」
サージェスティン
「そこー? 魔竜の種族と人間を一緒にしないでくれるかなー。
俺なんてまだまだ若輩ものだよー」
幸希
「そういえば、サージェスさんて、……今、お幾つなんですか?」
ルイヴェル
「俺よりは年上だったな、確か……」
ルディー
「俺よりも、年上……だよな?」
サージェスティン
「ラシュさんよりは年下だよー。
実年齢は……、内緒」
幸希
「……何で皆さん、そうやって誤魔化すんでしょうか。
カインさんやルディーさんも、正確な年齢は教えてくれませんでしたし」
ルイヴェル
「誤魔化す、というよりも、実年齢を大よそにしか把握出来ていない、が正解だろうな。
種族的に言えば、俺もサージェスの種族も、人間よりも遥かに寿命が長い。
その上、生まれついて魔力が高ければ、それ以上に生きる可能性もある」
幸希
「な、なるほど……」
サージェスティン
「そうそう。人間に生まれついた子でも、魔力が高かったり例外的な要素を持つ子は、
二百年以上は軽く生きる事が出来るよー」
ルイヴェル
「まぁ、何にせよ、向こうの世界でもこちらでも、人間という種族は俺達から見れば儚いものだがな」
ルディー
「やめろー、お前ら本当やめろー。
そういう寿命とか生死に関わるネタはやめろー……。
何かしんみりしてくるだろうが……、大丈夫か? 姫ちゃん」
幸希
「は、はい……。こう、詳しく聞いていると、自分の寿命なども気になりますけど、
……今は考えない方が良いですよね」
ルディー
「サージェス、ルイヴェル、姫ちゃんが気落ちしちまったじゃねーか!!
お前ら、もうその話はやめとけよ」
サージェスティン
「ルディー君が、俺の事をおっさんくさいとか言ったのが始まりだと思うんだけどなー。
まぁいいか。さて、ここまでの本編についてだけど、
『場』に施された術隠しのベールの底には、一体『何』があるんだろうねー……。
二人の子供達の件も気になるけど、良くない事色々出てきそうな予感しかしないよね」
ルイヴェル
「そうだな……。
さて、続きを説明していくとするか」
~第三章・ガデルフォーン編・中盤2~
☆玉座の間での話し合いを終え、サージェスティンとルイヴェルがアレクの部屋に訪れたところ、狼の姿でファニルと共に在るアレクを発見する。
扉を開けると、そこには泣き腫らした様子で眠る幸希の姿が……。
☆その夜、自分の部屋の中で眠りから目覚めた幸希は、サージェスとルイヴェルに、自分の中で恋をする事に戸惑いと不安、恐れがある事を話す。
恋ではなく、誰も傷付ける事のない友情を選びたくなってしまう幸希。
けれど、それが逃げである事を、それを選択する事で、本当は二人を傷付けてしまう事を感じていた。
この後、アレクとカインがそれぞれに、自分の中に在る想いを幸希に告げる事になる。
幸希の中で迷いは晴れないものの、アレクとカインは喧嘩勃発で退場。
自分の心を落ち着ける為に、サージェスティンが持って来た本の中から、古の魔獣について書かれた本を選んだ幸希。
しかし、本にかけられていた術が狂っており、この時には読む事が出来ないで終わった。
その後、眠ろうとする幸希の傍を離れないルイヴェルとサージェスに疑問を投げると、どうやらディアーネスの命で、就寝時にも護衛を傍におく事が決まりとなった事を知らされる。
その過程で、自分に『呪い』と『傀儡』の術が施されていた事を知った幸希は、それが解呪されている事も知らず、一人不安に陥り、ルイヴェルに助けを求めるが、内心、幸希に言われた『大嫌い』の言葉が心に突き刺さり、多大なダメージを受けていたルイヴェルは、大人げないにもほどがあるという言動で、幸希の不安を煽るような事を言った為に、その嘘がバレた瞬間、二撃目の渾身の『大嫌い!!』を頂き、卒倒。自業自得である。
ルイヴェル
「待て、そんな不要な部分まで説明する必要がどこにある?」
サージェスティン
「いやー、話の進行を説明するにあたって、必要な事だよー」
ルディー
「凄いな、ルイヴェル。温厚な姫ちゃんから、『大嫌い!!』って言われたのか~。
どんな行動と言動すりゃ、そんな大打撃確実な言葉言われるんだろうなぁ」
幸希
「あ、あの時は……、その、言いすぎたと反省はしていますけど。
で、でも、ちゃんと仲直りをこの後にしていますし、私も、もう怒ってないんですよ!!」
サージェスティン
「むしろ、ユキちゃんの怒りが長引いて、土下座して許しを請うルイちゃんとか見たかったなー」
ルイヴェル
「サージェス、進行役を辞して、冥界にでも行ってみるか?」
サージェスティン
「いやー、それはご遠慮したいかなー。
作者から預かった大切なお役目だからね。さぁ、ルディー君、続き行こう!!」
ルディー
(ルイヴェルの目がマジだったなぁ……。
姫ちゃんに『大嫌い!!』って言われた事が今でも心の傷に……)
~第三章・ガデルフォーン編・中盤2の続き~
☆翌日、朝食の席で、ルイヴェルが体調を崩し今日一日は休みを取る事を聞かされる。
自分のせいだろうかと気にする幸希だったが、サージェスのフォローが入る。
その後、男物の服を身に纏って現れた宰相シュディエーラとサージェスの会話により、シュディエーラが男性である事を知る。
☆食事が終わった後、自室で読書をする事になった幸希は、昨夜読めなかった本にかかっていた術を修復し持って来てくれたサージェスにそれを渡され、中を読んでみる事に。
読み手に合わせ、その字体を変化させる術がかかっている本は、懐かしい幸希の故郷、日本の文字を本の中に綴っていた。
そして、内容を読んでいくにつれ、表情が曇っていく幸希と、周りの面々。
ガデルフォーンの『外』、有害な瘴気や毒素が集まる空間から侵入してきた『魔獣』。
その魔獣がもたらした惨劇は、ガデルフォーン国内を浸食した。
そして、当時の皇帝は、『魔獣』が欲していた、自分自身の存在を餌とし、罠を仕掛け、今はガデルディウスの神殿が立つその場所に拘束し、封じようとした。
しかし、魔獣の抵抗は、ガデルフォーン皇家の双子の兄妹を道連れとしてしまった。
二人の皇子と皇女は、魔物が抱く瘴気に呑まれようと、最後まで力を使い皇帝の力となろうし、最後には、魔獣と共に封印されてしまった……。
サージェスティン
「何の犠牲も出さずにハッピーエンド、とは……いかないからね」
ルディー
「結局、ガデルフォーンを混乱と悲劇に陥れた魔獣は封印されたものの、
失った民や皇子と皇女、二度と帰って来なかったものもあったって事だな……」
ルイヴェル
「当時の皇帝は、最後まで自分の娘と息子を救い出そうと方法を探していたらしいが、
その願いが叶う事はなく、悲しい死を迎えている」
幸希
「双子の皇子様と皇女様は、今でも魔獣の中で生きているんでしょうか……」
ルイヴェル
「さぁな……。瘴気に呑まれた時点で、無事ではないだろうが……。
中の様子を気配という形でなら探れるが、皇子と皇女の事まではな……」
幸希
「そう……ですよね」
サージェスティン
「うーん、またしんみりとしちゃったねー。
これに関してはまた本編進行でまた色々関わって来る可能性もあるから、
次行こうか。そろそろ終わりが見えてきた感じだしね」
ルディー
「長かったよなぁ……。
この『おさらい』が終わったら、やっと、ウォルヴァンシア視点に移動か~。
はぁ、本当に長かったな……」(遠い目)
~第三章・ガデルフォーン編・中盤3~
☆一日休養をとる事になったルイヴェルの許に訪れたレイフィードとレイル。
ウォルヴァンシア王国にいるセレスフィーナと通信をとり、王兄ユーディスに『各国で起きている異変や動向』について、情報を集めるように頼むレイフィード。
お互いの情報を共有し、通信を終わらせたレイフィードの心には、数十年前に起きたある出来事がよぎっていた。
☆魔獣についての本を読んだ後、幸希はルイヴェルの部屋へと連れて行かれ、仲直りを目的として、その部屋に取り残されてしまう。
目覚めたルイヴェルに謝罪された幸希は、自分も酷い事を言ってしまったと謝罪し、二人は仲直りする事になる。
☆その夜、レイフィード以外の男性陣が大欲場に行っている間に、ウォルヴァンシア王国側のユーディス達と通信を行おうとしたレイフィードだったが、間違ってイリューヴェル皇国にいるイリューヴェル皇帝に繋げてしまった。以下延々と喧嘩。
その後、体調が良くなったルイヴェルが大人げない国王二人の喧嘩を仲裁し、この日は終了。
戻って来た男性陣の中、カインだけが散歩に出かけて戻って来るのが遅くなった。
☆そして三日後の、ガデルフォーンのとある『場』において、術隠しのベールがついに最終段階のところまで剥ぎ終わり、残す作業はあと少し……。
最後の作業を行う為に、ひとときの仮眠をとる為に眠りへと入ったユリウスは、目覚めた直後、『場』を襲った力により、術師達ともども、安否が不明となる。
☆同日、鍛錬場にて、『場』を襲った力の余波を受けた幸希は、その場にいた皆と一緒に不快感と具合の悪さに襲われる事になる。
その上、幸希だけが『場』に起きている状況を脳裏に流し込まれているかのように異変を起こす。
ルイヴェルとサージェスの力により、その影響を遮断する事に成功。
どうにか落ち着いた幸希は、玉座の間へと走る事に。
☆玉座の間に就いた幸希達は、空間を割り、『場』の状況を見つめているディアーネス、レイフィード、シュディエーラ、ラシュディース、セルフェディーク、クラウディオの姿を目にする。
黒銀の光に覆われた『場』の姿。
ディアーネスが現地へと飛び込もうとした瞬間、妨害が入り、『場』への空間は閉じてしまう。
その直後、幸希が出会った二人の子供が出現する。
☆戦闘が始まる玉座の間。逃げる為の出入り口を塞がれた幸希達は、瘴気の靄と闇に閉じ込められてしまう。
ウォルヴァンシアの王、レイフィードは、仮の器でその瘴気を払う為に力を使った為、器が損傷し、器は消滅。その精神はウォルヴァンシアへと戻った。
瘴気を晴らすと共に、二人の子供達へも傷を残していったが、子供達が余裕を失う事はなかった。
☆その時、幸希は一瞬意識を闇に呑まれ、次に気がついた時……、ルイヴェルの腰の辺りを背後から短剣で刺してしまっている自分に気が付いた。
決して故意ではなく、本当に、何故かもわからない事態……。
さらには、駆け寄って来たカインまでもが、その剣がもっと深くまで食い込むように、幸希の手を握り、短剣の刃をルイヴェルの奥深くまで抉った。
☆ルイヴェルを自分の手で害してしまった幸希は、そのショックの大きさにより、自分の中に在った魔力以外の力を暴走させ、同時に幼き日の記憶も取り戻してしまう。
大好きだった兄とも呼べる人、ルイヴェルを刺してしまった罪悪感とショックは、突風となって玉座の間を荒れ狂い、幸希は半狂乱とも呼べる状態となってしまった。
☆しかし、傷を負っているにも関わらず、ルイヴェルは幸希の中に在るはずの、魔力やそれ以外の力が暴走した時に発動する、自分とセレスフィーナ、そして父親の術が発動するように、幸希の許へと向かい、その力をどうにか収束させるに至った。
☆幸希の暴走を収め、レイルとサージェスティン、セルフェディークの術により治療を受けるルイヴェル。
だが、玉座の間で高笑いを零す金髪の少女、マリディヴィアンナと銀青の少年は、カインの姿を纏った偽物と共に、再び戦闘が再開される。
その中で、幸希は銀青の色を髪に纏う少年から、嘲るような言葉を向けられてしまう。
何も力になれない自分、ルイヴェルを刺してしまった自分、役に立たない自分の立場。
幸希の心を踏み躙る銀青の少年。
それに対し、幸希の心が折れないようにと支えに、前に出てくれたのはサージェスティンだった。
たとえ今は無力でも、それに対し前へと歩もうとする心、努力をし、自分を変えようとする幸希は、決して、無能ではない、と。
セルフェディークもまた、幸希が抱く自己嫌悪や罪悪感を緩和させようと言葉を向けてくれる。
☆銀青の少年とサージェスティンが戦闘を行っているのを目にしながら、ようやく治療が何とか終わり、ルイヴェルの意識が戻ると、玉座の間の外から一頭の巨大な竜が中へと突撃してくる。
傷を負った漆黒の竜の正体は、今度こそ正真正銘のカインだった。
人の姿に戻ったカインは、自分の偽物と対峙し、戦闘を行う。
その後、女帝ディアーネスの『宝玉』が発動し、子供達は深手を負い、ラシュディースとシュディエーラの創り上げた檻に、カインの偽物と共に閉じ込められる。
ディアーネスは一度『場』へと向かい、玉座の間に残された面々の前で、王宮魔術師クラウディオは、『場』に閉じ込められているユリウス達を救う力を自分が持たない事に罪悪感を感じ内心打ちひしがれていたものの、幸希の叱咤により、何とか精神を持ち直す。
☆直後、クラウディオの左腕に嵌められていた腕輪から光が生じ、ガデルフォーンの外、エリュセードの表側にいる、ガデルフォーンの王宮魔術師団の団長と副団長との通信が繋がる。
何らかの力の妨害により、ガデルフォーン国内に戻れない事、どうにか通信だけを繋げる事に成功した事……。
ラシュディースは外にいる魔術師団の二人に、その力に干渉し、その力を採取。
そして、ウォルヴァンシアに持ち込み、分析を成すように命じる。
同時に、ガデルフォーン魔術師団の団長代理の権限をクラウディオに与え、国内の混乱に対処するようにと、副団長から命がくだる。
☆魔術師団の二人との通信が終わった後、檻の中に囚われていた三人を見ていたルイヴェルが、銀青の髪の少年の気配を、禁呪の件の時にも感じた事があると口にし、意識を失ったフリをしていた檻の中の三人が、それをルイヴェルに指摘され、目を覚ます。
そこに現れた第四の人物、不精髭の男ヴァルドナーツによって、三人は解放され、戦闘を行った後、どこかへと消えてしまう。
この際に、カインの偽物が元の姿と思われる状態に戻ったと思われたものの、その顔がカインがもう少し歳を重ねたような二十代半ばほどのものになっていた姿を全員が目にする。
☆その後、『場』にて、ユリウスの姿をした人形を手にかけたディアーネスは、マリディヴィアンナと銀青の少年の手に、本物のユリウスが傀儡となり奪われた事を知る。
そして、水晶球の中に、各地の『場』に閉じ込められていた魔術師達が封じられている事を突き付けられ、戦闘を行った際に、その場に現れた兄のラシュディースの助けがあり、水晶球を奪還。
しかし、ユリウスは助け出す事が出来ずに、マリディヴィアンナ達と共に消えてしまう。
☆ひとときの休息を得た幸希達ではあったが、ディアーネスの私室にて今後の事が話し合われ、ガデルディウスの神殿に封じられた魔獣が子供達の狙いではないかという話が出る。
しかし、あの子供達が揮っていた黒銀の光を纏う力をどうにかしなくては、また煮え湯を飲まされるだけ……。
ウォルヴァンシアとガデルフォーン、両国で採取したその力の分析を進める事になったのだが、幸希はクラウディオの口から、ユリウスの傍にいた『水色の小鳥』についての話を耳にしてしまう。
禁呪の時にも目にした、一羽の水色の小鳥と、儀式の場で目にした小鳥の羽根。
嫌な共通点を感じながらも、幸希達はガデルフォーンを襲う不穏と対峙していく事になる。
サージェスティン
「終わったー!! 終わったよ、皆!!
物凄く長かった「おさらい」、終わったよー!!」
幸希
「サージェスさんが、今まで見た中で、一番テンション高く喜んでいるような気がします」
ルディー
「相当長かったもんなぁ……。俺もぶっちゃけ疲れた。
次はようやくウォルヴァンシア視点か……。どうなるんだろうな」
ルイヴェル
「ガデルフォーンとウォルヴァンシアで、あの子供達が揮っていた力を一部採取出来たからな。
それを両国の魔術師団で分析し、力の正体を暴く」
ルディー
「ウォルヴァンシアには、フェリデロード家がいるからな。
古い書物や、魔術データも多いし、早く結果が出ると良いんだけどなぁ」
サージェスティン
「ついでに、早くガデルフォーンへの道を開いて、応援に来てくれると助かるよねー。
これから何か、物凄く面倒な事になりそうだし」
幸希
「あの子達は、本当に何がしたいんでしょうか……。
もし、ガデルディウスの神殿に封じられた魔獣が復活するとして、
それで得られるようなものなんて、ないと思うんですが……」
ルイヴェル
「惨劇が見たいだけ、という風には感じられないからな。
何か裏があるとみていいだろう」
サージェスティン
「そうそう。エリュセード自体にも異変がちらほらとあるみたいだし、
何か壮大になっていく気がするよねー」
ルディー
「ま、それは今後明らかになるだろうさ。
ふあぁぁ……さーてと、俺は大浴場に行って、ゆっくり寝るかなぁ。
皆、お疲れさん。おやすみ~」
サージェスティン
「ここまで『おさらい』を読んでくれた子がいたら、本当に有難うね。
物凄く長かったでしょ? 作者に纏める能力がないからね……本当にゴメン。
お詫びの印に、サージェスお兄さんがハグしてあげるよー! おいでおいでー!!」
幸希
「はは……、元気ですね、サージェスさんは」
ルイヴェル
「疲労の溜まっているこちらとしては、非常に鬱陶しい姿だがな。
――落ち着け、サージェス」
サージェスティン
「ルイちゃーん? そう言いながら、人の背中を蹴倒してグリグリするのは酷いと思うよー」
ルディー
「こいつ、本当に俺達よりも年上なのかって疑いたくなるよな……」
(踏まれてもされるがままになっているサージェスを残念な目で見ながら)
幸希
「確かに……」
(苦笑+微笑ましさ)
ルディー
「姫ちゃん、これ以上見てると疲れるから、本編に帰ろうぜ」
幸希
「そ、そうですね。では皆さん、次話は、ウォルヴァンシア視点で本編が再開されます。
色々と大変な事になっていくらしいんですけど、見守ってくれると嬉しいです」
ルディー
「じゃあな~!!」




