【全体的なあらすじ】
二十歳の誕生日を境に、原因不明の体調不良に悩まされるようになった月埜瀬幸希。襲いくる病に悩まされ、大学の勉強にも遅れが出始め、彼女の心に限界が近付いていたある日。
両親から告げられた、――自分の出生と、両親の秘密。
異世界の住人である父親と、地球の住人である母親の間に生まれた幸希。
二つの世界の血と力を受け継ぐ彼女は、……もうこの世界では生きていけないと、異世界への移住を宣告されてしまう。
そして、大学や友人達、見慣れた日常の生活に別れを告げ、幸希は異世界エリュセードの地に降り立つ事に。
地球で生きて行く為に、幼い頃に封じられたという、幸希の『記憶』と『魔力』。
――そして、未知の力。
狼と人、その二つの姿へと自由に変化する事の出来る、狼王族の地で、姪御大好きなウォルヴァンシア国王や、美しい双子の王宮医師、騎士団の者達と始める異世界での生活。
幸希の悲しみと不安を癒し、その傍に寄り添い、過保護な愛情を注ぐ狼王の騎士。
出会いは最悪であったが、幸希と互いを偽る事なく対等の友人関係を築く事になる竜の皇子。
幼い頃の幸希にとって絆の深い相手でありながら、ゼロからやり直す事になった、意地悪でSな面が目立つ、美しい王宮医師の片割れ。
彼らに守られながら、幸希は様々な騒動に直面していく。
竜の第三皇子、カインに纏わる、恐ろしい呪い、――禁呪事件。
エリュセードの裏側と呼ばれる魔竜の国、ガデルフォーンへの遊学。
騒動の裏側で暗躍する者達と、徐々に表面化し始めてゆく、世界の異変。
古の時代に封じられたという『悪しき存在』、災厄の欠片、エリュセードの神々……。
何も知らなかったはずの少女は、やがて……、自身に纏わる、逃れられぬ運命と直面していく事になる。
そして、その試練と戦いの先で……、無垢なる蕾は愛おしきその腕の中、――花、ひらく。