隠しキャラが鬼畜眼鏡の兄である所以
短編【隠しキャラが鬼畜眼鏡の兄である所以】と同じ内容です。
卒業式を2日後に控えた木苺ノ宮学院は、卒業関連イベントシーズン真っ只中。
校舎内の空気が全体的にピンクっぽかったりお花が舞ってたりするけど、私達一般キャラには相変わらず関係ありません。
……なぁんて思っていたのに、その騒動が私の身に降りかかったのは、お昼休み終了のチャイムが鳴る、10分前の事だった。
「大変よ大変よ!! 結子ーっ!!」
保温ポットを机の上に出したまま、次の授業の準備をしていた私の所に、ずだだだだっ、と恵美ちゃんが豪快な駆け足で突っ込んできた。
よしよし、どーどー。落ち着いて。
「まずはお茶でも飲みなよ。今日は少しだけ抹茶をブレンドした……」
「お茶の話はまた後!! それどころじゃないってば!! 今、3年生の間に激震が走ってるんだから!!」
「は? どう言う事?」
3年と言えば、拓斗くんと蓮くんがいる学年だ。
あと2日で卒業式だけど、激震が走るような卒業イベントでもあったのかな?
何て考えつつお茶を口に含んでいたら、全く予想外な方向の発言が恵美ちゃんから飛び出した。
「隠しキャラの大川拓斗先輩が、同じクラスの神谷由基先輩を家庭科室に連れ込んで、それを知った大川前副会長が家庭科室に乱入して、神谷先輩を巡る三角関係イベントが発生したんだって!!」
ぶっふぅぅぅぅぅぅぅぅぅー!
……恵美ちゃんに向かってお茶を噴いちゃったのは、不可抗力だと思う。
でも、前の席が【メイド】属性の紗月ちゃんで良かったぁ。
咄嗟に、常備してるアルミ合金製の丸盆でお茶をブロックしてくれたから、お陰様で恵美ちゃんが大惨事になるのを免れる事ができたよ。本当にありがとう!
お茶の後始末をしながら恵美ちゃんが話してくれた内容は、纏めるとこんな感じだった。
イベント?が発生したのは、今日のお昼休み。
→拓斗くんが、授業終了と共に神谷先輩を拉致して、家庭科室に連れ込んだ。
→その後、しばらくの間、家庭科室から神谷先輩の悲鳴?が聞こえたらしい。
→静かになったところで、何処からか神谷先輩の事を聞きつけた蓮くんが、家庭科室に強制侵入。
→拓斗くんと蓮くんが言い争う声が聞こえたとかそうでないとか。
→少ししてから、蓮くんが神谷先輩と一緒に家庭科室から出てきた。
これにてイベント?終了、と。
ちなみにこの情報、恵美ちゃんによれば、“ふじょし”な先輩方が目を輝かせて収集・作成したもので、現在絶賛拡散中なんだそうな。
“ふじょし”って普通の婦女子とは違って、凄いんだって。耳は地獄耳&びーえるフィルターって言うのが搭載されてるらしいよ。
他にも色々と恵美ちゃんが説明してくれたけど、良く分からなかった。ごめんね。
とりあえず、これらの情報を集約すると――『拓斗くんと蓮くんは神谷先輩が好きで、三角関係バトル勃発』って事になるらしい。わお、ビックリだね!
ただ、何だか嬉しそうに語ってくれた恵美ちゃんには申し訳ないんだけど、それが正確ではない事を私は知っていたりする。
だって蓮くん、小さい頃から年上のお姉さんが大好きだもん。
初恋は保育園の新人先生だったしね――その様子を見てたし、本人の口からも聞いている――。
しかも、胸がメロンとかスイカなら尚良し、とも言ってたから。先週、一緒に夕ご飯食べてた時にね。
なので、蓮くんが男性の神谷先輩を好きって言うのは有り得ない。
けれども……拓斗くんはどうだろうなぁ。
考えてみれば、拓斗くんって、いっつも妹分の私を構ってばっかりで、好きな女の子のタイプを聞かれても、私の名前出して誤魔化してたっけ。
……はっ、そうか! 分かっちゃった!
拓斗くん、実は男の人が好きだったんだ!
でも、それをオープンにするのが恥ずかしかったから、私を隠れ蓑にして誤魔化してたんだ!
なるほど~、そうだったんだ! 納得納得。
今まで気付いてあげられなくてごめんね、拓斗くん。
私は、拓斗くんの味方だよ! 恋愛は自由だからね! 拓斗くんの恋を精一杯応援するよ! 大川のおじさんやおばさんに弁明する時は、助太刀してあげるからね!
全力で拓斗くんの応援をすべく、ぎゅっと拳を握って気合を入れた。
あ、あれ? おーい、私の両手ー! 気合入れ過ぎっ。痛い痛いっ。
*****
その日の内に、本人に事実確認をしたかったんだけど、卒業イベントの最終打ち合わせとやらで、結局顔を合わせる事が出来なかった。
――で、翌日。
ちょっと寝坊しちゃったので、当然拓斗くんに会う事は出来ず、そのまま普通に登校した。
でも、朝から普通じゃないテンションの恵美ちゃんから、おはようの挨拶をすっ飛ばして知らされたのは……。
拓斗くんに、“銀色の狼耳と尻尾”が生えている! と言う、大層ファンタジーなお話でした。何ソレ?
恵美ちゃんが自分の属性をフル活用して情報収集した結果、どうやらそれは、運営さんに無許可で何かをやらかしちゃった事に対する“ペナルティー”らしい。それも3日間そのまま。
ええ? もしかして、運営さん的に、男の人同士の恋愛はNGって事ですか? 運営さんまで敵になっちゃったっ!?
あとそれに、ふさふさとかカッコイイとか評判の、狼耳と尻尾も早く見たい!
うにゃあああああ~~、気になって何も手につかないよ。
ろくすっぽ集中できないまま、本日の授業は午前中で終了。明日行われる卒業式の準備があるからね。
でも、こんな時に限って、掃除当番だったりする。
早く帰りたい皆と力を合わせて、今年度の最速記録で掃除を終わらせると、私は鞄とコートを引っ掴んで、教室を飛び出した。
向かう先は、家庭科室! 拓斗くんはそこで、卒業式前日イベントをこなしている筈だから。
……と思って、家庭科室の前まで来てみたは良いけれど。
考えてみたら、今日は<プレイヤー>さんが引切り無しに来るだろうから、話をする時間なんてある訳がないよね。とほほ。
イベントのお邪魔になる訳にはいかないから、先に帰って、家で待ってよう。
そう結論付けた私は、来た道を戻ろうと、くるりと体を反転させた。んだけど、同時に、家庭科室の引き戸がガラリと開いた。
「足音はしたのに、いつまでたってもノックがないから、バグでも起きたのかと思ったぞ」
拓斗くんに、後ろから声を掛けられた。
反射的に振り返ると、そこには――銀色の狼耳とふさふさ尻尾の生えた拓斗くんが、立っていた! ホントに生えてるーっ!!
思わず見入る私に、今の自分の状態を思い出したのか、急に落ち着かなくなった拓斗くんは、
「と、とりあえず、中に入れっ。今、<プレイヤー>いないから」
と言って、家庭科室の中に招き入れてくれた。
いつもの様に、奥へと進んでいく拓斗くんの後ろをついて行く。
わー、尻尾がふわふわ揺れてるー。本物みたいー。すっごいなぁ、この世界ならではの“ペナルティー”だよね。
触ったらゴワゴワしてるのかな? 意外にフワフワしてるのかな?
気になって、つい手を伸ばしてみる。――けど。
パチンッ。
あー、やっぱり“禁則処理”で触れないや。残念。
何て思った瞬間、いきなり立ち止まった拓斗くんが、狼耳まで真っ赤にした凄く驚いた顔でこちらを見た。
「い、今、自分から俺に触ろうと、したか?」
「え? うん。尻尾触ってみたいなーって。あ、ごめん、嫌だった? “ペナルティー”だもんね」
すると、う、と小さく唸って、拓斗くんは私から顔を背けた。あ、狼耳と尻尾が元気なく垂れた。
「話、聞いてるよ。拓斗くん、神谷先輩が好きなんでしょ? でも運営さん的にNGだから、“ペナルティー”が発生しちゃったんだよね?」
「…………はぁッ!?!? 何だそれッ!? ちょっと待て、結子……」
言いかけた拓斗くんを、私は右手で制して話を続けた。
「大丈夫。拓斗くんが男の人好きでも、私は拓斗くんの味方だよ! 拓斗くんの恋愛、精一杯応援するからね! 運営さんが敵でも、めげちゃダメだよ!」
「だから待てッ!! 今の俺にとって、最大の敵は間違いなくお前だッ!!」
「何でーっ!? こんなに理解があるのにーっ!」
「そんな明後日な方向に理解があったって嬉しくも何ともないッ! 大体、前から言ってるだろうがっ。好きなタイプは『結子』だって!」
「それ、隠れ蓑でしょ?」
私が言った途端、拓斗くんの狼耳と尻尾が、ビリリリッ、と戦慄いた。
かと思ったら、拓斗くんは下を向いて大きく息を吐き……。
次に顔を上げた時には、いつもの穏やかな顔になっていた。――んだけど。
「――結子、ちょっとそこに座れ」
と言って、手近な調理台の椅子を指差した。
う、うわーんっ、嫌ですっ!
だって、怒ってるでしょ、拓斗くん! 顔や声は穏やかだけど、銀色の狼耳と尻尾が逆立ってるもん~~っ!
本当に怖い人は笑いながら怒るんだよって、お父さんが言ってたよ! ……お母さんを見ながらね。
だから、非常に近寄りたくないです。返事はノー、首は横振りオンリー。何が地雷なのかも分かんないし。
「そうか。なら、こっちにも考えがある」
拓斗くんは少し目を細めてそう言うと、何を思ったのか、スタスタと黒板の方へ向かって歩きだした。
で、柱に掛けてあった不審者取り押さえ用の刺叉を掴むと、足を止めることなくこちらに戻ってきて……。
ダンッ!
刺叉で、私の体を壁に縫いとめた!
「わ、私、不審者っ!?」
「煩い、黙れ」
顔は相変わらず穏やかさんなのに、今度は低い声で言われた。怖いよ~~~っ。
生まれて初めて見る怖い拓斗くんに、思わず体が竦む。
その間に、刺叉の柄を伝って拓斗くんが私の目の前までやって来た。
拓斗くんは、私の顔の横に左手をつくと、至近距離に顔を寄せてきた。ち、近いっ。
「良いか、結子。これから言う事は全部事実であり俺の本心だ。妙な変換しないで、そのままの意味で受け止めろ。分かったな」
「う、うん……」
承認以外に、選択肢がありません~~。
と、とりあえず、頭を空っぽにして、言葉をそのまま受け入れれば良いんだね。よし。
「まず、俺は男色じゃない。ちゃんと女の子が好きだ。昨日の一件は、神谷に相談したい事があって、ここでメシ喰いながら話してただけだ」
拓斗くんは、ノーマルさんって事だよね。ほっ、良かった。
「次に、前のシステムメンテナンス日に話した店の話。確かに結子の煎れるお茶のセンスは良いと思ってる。でも、それだけじゃない。俺が結子と一緒に居たいから、結子の全部を俺の手元に置きたいから誘ったんだ。ちなみに、拒否権は無し」
!? 横暴! それ横暴です!! ってか、蓮くんみたいな事言ってるよ、この人!!
それに、私全部って……そしたら恋人とか結婚とかできないよ! 私はペットじゃないんだけど!
思わずムッとすると、心を読んだかの様に、拓斗くんが真剣な表情でプレッシャーをかけてきた。
「妙な変換するなって言ったよな」
「う、で、でも……」
「でもは聞かない。とにかく今は、変に考えを巡らせず、言葉通りに聞け」
「……はい」
うう、やっぱり怖いよぉ。自然と顔が俯いちゃう。
「最後に、一番重要な事を言うからな。しっかり聞けよ」
そう言ったかと思ったら、拓斗くんは腰を落として、俯いていた私に視線を合わせた。
怒ってるのも初めて見たけど、今目の前にある、微かに熱を帯びた真剣な表情も初めて見る。
拓斗くんの筈なのに……知らない男の人みたい。
――あ。もしかしたら、<プレイヤー>さん達が見ている拓斗くんの顔って、これなのかも。
そっか。こんな顔で告白されたら、嬉しくて蕩けちゃうよね、きっと……。
「好きだ」
ドクンッ、と心臓が高鳴った。
だって、今考えていた言葉が聞こえたんだもんっ。幻聴?
「家族愛もあるけど、それ以上に異性として好きだ。恋愛対象だからな、恋愛対象」
幻聴じゃ、ない?
拓斗くんが、私を、女の子として、好き――?
ほ、ほえええええええええええっ!?
「結子、返事は?」
パニックになっている私に、拓斗くんが何やら返事を要求してくる。
良く分からないけど、とりあえず……。
「は、はい?」
「よし。じゃあ、今この瞬間から、恋人な」
拓斗くんはそう言って、ニヤリと笑った。うわっ、蓮くんそっくり。
……って、そうじゃないよ! それどころじゃないよっ!
「い、い、今の返事って……」
「勿論、交際承諾の返事。撤回は認めない」
い、言い切られちゃったよ。
あわわっ、私どうすれば……。
――トントントントン。
オロオロしていた私に、救いの神ならぬ<プレイヤー>さんがやって来た。わー、えーっと、助かった?
家庭科室のドアが4回ノックされたら、何があろうとも拓斗くんは対応しなければならない。
と言う訳で、イベントモードになり、銀色の狼耳と尻尾が消えた拓斗くんは、はぁ、と一つ溜め息をつくと、私から刺叉を退かした。
「結子は準備室にいろ。鍵は開いてるから」
そう指示を出すと、拓斗くんは刺叉を定位置に戻してから、引き戸の方へと歩いて行った。
おっと、呆けてる場合じゃない。<プレイヤー>さんが入って来る前に準備室に行かなくちゃ。
私は、なるべく音を立てない様にして準備室へと駆け込んだ。
外は明るい筈だけど、準備室には換気用の小さな窓しかついてないから、ちょっと薄暗い。でも、空調は管理されているから、寒くはない。
私は、扉の近くにあった椅子に腰を下ろし、家庭科室側の壁に頭をくっつけた。ふぅ、ひんやり感が逆上せた頭に気持ち良い~。
心地良さに目を閉じると、逆に聴覚が鋭くなったのか、拓斗くんと<プレイヤー>さんの声が薄らと聞こえてきた。
一昨日聞いた話だと、確か、拓斗くん特製アップルパイを食べながら、学校生活を振り返るってイベントだったっけ。
で、卒業エンディングの前振りみたいな台詞を、はにかみながら言うんだよね。
……さっきの告白と全然違う。さっきの拓斗くんは、怖かったし、強引だった。
やっぱり私は、いつもみたいに穏やかさんな拓斗くんが……好きだなぁ。
*****
「……こっ! 結子っ! しっかりしろっ!」
ガタガタと椅子を揺さぶられ、必死な声まで聞こえてきて、私は目を覚ました。
って、あれ? いつの間に寝ちゃったんだろ?
「あ、れ? 拓斗くん、もうイベント終わったの?」
「ああ、終わった。それより、体、大丈夫か? 寒気とかだるさとか無いか?」
復活した狼耳と尻尾をへしょんと垂らした拓斗くんは、心配そうな表情で私の顔を覗き込んできた。
良かったぁ。いつもの拓斗くんだ。
いつの間にか強張っていた体から力が抜けて、私はやっと笑顔になれた。
「うん、大丈夫」
「そうか、良かった」
安心したみたいで、尻尾はフリフリと揺れ、拓斗くんの表情も緩む。
でも、拓斗くんは直ぐに気を引き締めると、私の正面で床に膝をつき、真っ直ぐに私の顔を見上げて口を開いた。
「結子、さっきは強引な真似して悪かった。でも、さっきの言葉に嘘は一つもない。俺は、結子を一人の女の子として好きだ。だから、改めて言うけど、俺と付き合ってくれないか? 勿論、恋愛的な意味で」
穏やかだけど強い意志の籠った声が、静かな準備室に響いた。
……うん。今の拓斗くんの言葉になら、ちゃんとお返事が出来そう。
「私、拓斗くんが男の人を好きなんだって思った時、応援しようって思ったの。拓斗くんの力になりたかったから」
「結子、それは……」
遮ろうとした拓斗くんの口の前に、私は人差し指を立てた。ごめん、もうちょっと付き合って。
「でもね、手が凄く震えたんだ。拓斗くんの口から本当の事を聞ければ落ち着くかなって思ったんだけど、昨日は会えなかったから、ずっと震えっぱなしで、あんまり寝れなかった。で、今朝は寝坊しちゃったよ」
「…………」
どう受け止めたら良いのか迷うような目で、拓斗くんが私を見つめる。ポジティブシンキングで良いと思うよ。
「更に、朝登校したら、拓斗くんが“ペナルティー”を課せられたって聞いて、本気で男の人が好きなんだって思ったら、いてもたってもいられなかった。あ、半分は狼少年バージョンの拓斗くんを見たかったって言うのがあるかも」
「おいっ」
少しだけ硬さの取れた声でツッコミが入った。そうそう、その感じ。
「だから、拓斗くんがイベント連戦なのもすっかり忘れて、家庭科室に来ちゃったんだけど……。正直言って、さっきの拓斗くん、すっごく怖かった。あれは嫌。蓮くんみたいだったし」
「うっ……わ、悪い」
拓斗くんがペッコリと凹んだ。狼耳と尻尾もこれ以上ないくらいへこたれてる。かわいい。
そんな拓斗くんに、イイ事を教えてあげましょう。
「で、待っている間に思ったの。私は、いつもの穏やかな拓斗くんが好きなんだな、って」
「……って、事は……?」
恐る恐る聞く拓斗くんに、私はぺこりと頭を下げた。
「えっと、不束者ですが、よろしくお願いします?」
「何で疑問形なんだよ」
肩から力が抜けたような、でも嬉しそうな声が聞こえた。
そろっと拓斗くんの顔を覗き見てみれば……うわっ、何このキラキラしいエフェクト付きの甘い笑顔!
だ、誰かお茶くださーいっ! 糖分過多でーすっ!
うわわ、何だか今頃になって恥ずかしくなってきたーっ。
「た、拓斗くんっ、ちょっと頭外して袋に詰めてっ。キラキラエフェクトが眩し過ぎて顔上げられないっ」
「無茶な事言うな。ついでに、イベントじゃないからエフェクトは発生してないぞ」
「じゃあ、袋かぶった袋男で良いからっ」
「お前はのっけから彼氏を変質者にするつもりか? ……ってか、結子、お前もしかして、照れてる?」
い、言い当てられたーっ! わーんっ、もう帰るーっ!!
恥ずかしさが爆発した私は、その場から脱兎の如く逃げ出した。
……昇降口で、めっちゃくちゃ嬉しそうな顔した拓斗くんに捕まったけどね。
これにて本編完結です。
この後、番外編が入ります。