君の写真。
【 まえがき 】
■E★エブリスタからの再掲です
■作品説明
君の写真を見るのが、好きなんだ。
2013/2/27
君は何時も、ファインダーから世界を見る。空も花も人物も。そこに映る世界は、私の知らない世界であり、君がプリントアウトした写真に映る世界が、私の知る世界だ。
「キレイ」
十数枚のプリントアウトされた写真が机上に広がる。その中から一枚を手に取り、眺める。それは雨上がりの景色であり、雫で光が反射して、キラキラと輝いていた。日常を切り取るのが巧い君は、写真部の部長をしている。ついでに、ここは写真部の部室だ。何時も入り浸っているので、部員は誰も咎めない。
「そ。ありがとう。でも、もう少し光の反射を表したかったなぁー」
少しだけ残念そう。これは十二分だと思うけど。それにそんなこと素人に聞かないでほしい。
「私に言われても解んないよ」
「写真撮るようになれば解るって」
「見る方が好きだから。撮るとなると緊張しちゃう」
君の写真を見るのが、好きなんだ。なんて、言えないけどさ。
緊張とかないし、と彼は笑う。そりゃまぁそうだけど。デジカメ持ってるし。友達と一緒に撮るし。でも、違うよ。君と友達じゃあ全然違うから。
「これどう?」
渡された写真は彼のペットのジャンガリアンハムスターのスターの写真。ハムスターだからスター。ネーミングセンスゼロ。写るスターは毛ずくろい中。可愛いよ。私、小動物好きだし。
「ん。可愛い。ちょっと大きくなった?」
「変わらねーし。それやるから貼っとけ」
「あぁ、うん。ありがとう」
また一つ増えた。宝物が。部屋に飾られたコルクボードに、貰った写真を貼ってる。一枚一枚、思い出が積み重なるの。
貰った写真を床に置いたカバンに入れれば、彼は顎に手を添えた。これは悩んでいる証拠だ。
「コンクールあるじゃん?」
「県の?」
「うん。被写体、どうしようかなって」
「私に聞くより部員の皆に聞いたら?」
見る専門より撮る専門に聞いた方が得策でしょ。
「いや、聞いたんだよ。好きなもん撮れ、が結論」
「じゃあ、撮ればいいじゃん」
「んーなんか、」
「納得いかないんだ?」
好きなものを撮って、コンクールに応募して。入選したら、貼り出されて。――と考えるとちょっと怖いかな。好きなものがバレちゃうわけだし。
「そーだよ。納得いかない」
「じゃあ、私が探してあげる」
君のファインダーから写る世界を。君が眺める人を。
「はぁ?」
間抜けな声。目を瞬かせて、あんぐりと口を開けている。
「だから、私が探してあげるってば。被写体」
「見つかるかぁ?」
「見つけるよ。締め切り、一週間後だっけ?」
「そう。よく知ってんな」
うん、まぁ。だってプリント貼ってあるし、そこの掲示板に。
「まー、期待はしてないけど。そこそこに撮ってるから、見つけたら話し掛けて」
私の頭を撫で、机上に置いたデジカメの一眼レフを首から提げて部室を出ていく。
「縮むでしょ!」
言ったって、聞いてないけど。いないもんね。バカ、と小さく呟いて、私は彼が触れた頭に手を置いた。君が触れたところは熱を持つ。
――惚れた弱味ってやつ。ん? いや、少し違うかな。好きだから、の方が合ってるか。何時から? そんなの知らない。君が隣にいることは日常だったもん。
君の瞳に写るのは、なんなんだろう。知らない。私は彼じゃないし。彼も私じゃないから気持ちに気づくことはない。そんなものだよ。言わなきゃ、解らない。でも、言えない。――壊れるのは嫌だし。
持ちつ持たれつのこの関係が、ちょうどいい。一緒にいられるから。このままが一番いい。
「さて、被写体でも探しに行きますか」
躯を伸ばしつつ誰に言うでもなく言い放ち、部室から抜け出した。
廊下を歩きつつ被写体について頭を巡らせる。ない頭ですけど。空は撮ってるし、花も人も撮ってる。動物も撮ってたね。うーん、ないな。逆に撮ってないものがないんじゃないかと思う。
運動部の人達も撮ったことあるな。そういえば。素人目にも臨場感が伝わってくるように。すごいと思った。その時に、才能あるよね、と言えば、彼は見てくれる奴がいるから、と言った。だから撮るのだ、と。まっすぐな瞳に、私はなにも返せなかった。
「お前――壁にぶつかる気か?」
背後からいきなり腕を掴まれて躯が竦んだ。
「あー、どうも」
振り返れば君の姿。振り返らなくても、声で解ったよ。
手を離し、彼は問う。
「見つかった? 被写体」
「見つからない。てか、すぐに見つかるわけないじゃん」
「そりゃそうだ」
向けられるカメラ。ファインダー越しに、私はどう映ってる? 解らないけど。キレイに映ってるといいな。
「笑って」
悪いけど、言われて笑えるように作られてないよ。私はモデルじゃないし。
替わりにでたのは、すっとんきょうな声。
「は?」
「写真、撮るから」
「意味、解んない」
向けられる瞳。黒目がちの双眸。
きっと顔が赤い。だって熱いもん。躯に熱が籠る。
「私を撮っても、意味なくない?」
「撮るって、言っただろ?」
一眼レフ買ったらお前撮るから――。うん、覚えてる。てか、買ったときに撮ったし。何枚もさ。
「撮ったじゃん」
「そうだっけ?」
のらりくらり。またかわすんだ。意図が読めない。いや、読めたら怖いけど。
返して私は窓ガラスの向こう側を差す。なぜって? キレイだから。青空も好きだし。今は茜も混じってるけど。時間的に。
「もういい。撮って、空」
「なんで?」
「キレイだから」
「好き?」
一瞬心臓が跳ねる。好きとか。そんな突然に言わないでよ。
「っは?」
慌てるしかないじゃん。
「空だよ、空。好きか嫌いか」
「知ってるくせに」
よく知ってるじゃんか。幼馴染みだし。
「知ってるよ。でも、好みは変わるだろ?」
「解らないし」
そんなの解らない。変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。言われたって、はいそうですか、と認められるわけじゃない。
「撮ってくる」
小さくため息を吐いて、彼は走り去る。
呆れられたかな。まぁ、何時ものことだけど。けど、行っちゃうのを見るのは少し淋しいな。
小さくなる背中を眺めて、ため息を吐く。バカみたい。そう呟いて、歩きだす。被写体を見つけるために。
一階の渡り廊下から外に赴けば一度校舎を見上げた。高いよね、校舎って。
顔を戻してグラウンドを見遣れば、運動部の練習風景が映る。運動部と文化部って目に見えないけど、深くて長い溝がありそう。一線は越えられなさそうだ。
「あれ?」
「あ、マネージャーご苦労様でーす」
たまたま友人が傍を通った。手には給水ポット。中身は多分スポーツドリンクかな。
「向こうで写真撮ってるよ、相変わらずだねぇ」
「もうすぐコンクールの締め切りだし」
「そういえば、そんなの貼り出されてたわ。思うんだけどさ、うちの写真部が活躍できるの、新聞部の作る新聞とコンクールぐらいじゃない?」
「異論はないけど、他にもあるんじゃない?」
言って気づいた。他になにがあるのか、と。ないよね、別に。
「他って?」
「さぁ……?」
首を傾げるしかない。話題を変えたらこの話はおしまい。
「ま、いいけど。じゃあね」
給水ポットを抱えて軽く手を振り、友人はグラウンドへと走っていく。ポニーテールを揺らしながら。
可愛い友人。被写体に向いてるかも。言ってもOKは貰えなさそうだけど。でも、交換条件次第で、不承不承やりそうだな。
「難しい」
人選が。いや人じゃなくてもいいんだけどさ。
ため息を吐けば、カキーン、と高い音が響く。打った白球は空へと吸い込まれそう。ホームランかな? 打球は伸びてるし。
野球部は相変わらず甲子園を目指している。うち弱いんだけどね。――それでも、その姿を見るのは気持ちいい。青春してるって感じで、好きだな。
「青春してるよな」
また背後からの声。刹那、土を踏む音がする。
「野球部」
「私達も青春してるじゃん」
隣に並ぶ君はシャッターを切る。本当に写真を撮るのが好きだよね。
「どうやって?」
「学校、来てるし」
「そりゃ、高校生だし。来なきゃ意味ないだろ」
「まぁね」
「他には?」
「え、他って?」
横目で一瞥すれば、彼は一つ咳払いをした。
「恋、とかさ」
「――聞いて、どうすんの」
それを聞いて、君が動く保障はないし。言いたくないし。それに、君の口から好きな人の名前なんて聞きたくない。
「どうもしねーよ」
カメラを私に向ける。今は撮されたくない。泣きそうになってると思うから。目頭熱いし。
一拍置いて彼はカメラから顔を外し、空を見上げた。
「帰るか」
「はぁ……?」
出たのは涙ではなく、掠れている間の抜けた声。突然そんなこと言われたら、誰だってでてしまうんだろうけど。
「ん? 時間だし」
下校時刻だろ、と言って私の手を取る。いや、まだ先だけど。下校時刻。ついでに、写真部の部活終了時間まであと十分もあるんですが。
「なに?」
「ううん、なんもない」
じっと眺めていれば、声を掛けられる。言いたいことがあるなら言え、と物語っていた。言いたいことがあるかと思えば、ないんだよね。だから首を振って否定する。
「そ。なら帰ろうぜ」
歯をみせて笑う、優しい君。でもね。誰にだって優しいから、自惚れちゃダメだよ。とかさ。自分に言い聞かせてるんだよ。だって、落ちそうになるじゃない。そうしないと。
好きっていっても、一方通行。白線引いて引き返し。それを越える勇気は、私にはないの。
「そこ座ってろ」
部室の指定席に私を座らせて、彼は机上に散らばる写真や機材を片す。一眼レフは鍵を掛けて保管。もちろん、鍵は彼が持ってる。
「キレイ」
感嘆と漏れた声には誰も気づかない。私だって、ね。
空も片づけに加わる部員の姿も逆光の君も。全てキラキラしてる。
そこにあるのは小さな世界。私を外した世界が築かれている。
こんな世界、知らない。のに、知りたい。けど、知りたくない。ぐるぐるだよ。頭ん中。何時もね。相反する想いが闘ってる。
「よっしゃ、終わりー」
片づけを終えた彼は両手を軽く払い埃を落とす。
「帰るぞ。鍵閉めっから忘れ物ないようにしろよー」
床に置かれたカバンを肩に掛けて、私の肩に触れる。瞬間躯が強張ったが、小さく頷く。
「あ……うん」
ぐちゃぐちゃの頭ん中を停止して、急いでカバンを手に取った。
部室から出て彼の横に並び、鍵を閉めるのを待つ。忘れ物はないか、ともう一度私を含めた部員達に訊ねる。皆ないと答えれば、ようやく鍵を閉めた。
それを職員室に届ける為に昇降口とは反対方向へと駆け出す。昇降口で待ってろ、と言い残して。
当然待ってますよ。先に帰ると怒るしね。怒られるの嫌だし。
ノロノロと歩き、着いた昇降口で靴に履き替える。敷かれたすのこの上で立っていれば、数分もしないうちに彼がきた。
「お帰り」
家じゃないけどさ。なぜかでちゃうんだよね、この言葉が。不思議だよね。
「おう、ただいま」
爽やかに笑う。キラキラしてる。別に太陽が当たってるわけじゃないのに。どうしようもなくフィルターが掛かっちゃってる。
「なに?」
じっと眺める私を、彼は怪訝な顔で見遣る。解るよ。黙って見られるのは、心証もよくないし居心地も悪くなるもんだし。そうさせてるのは私だけど。
「なんもない」
完全に既視感。ほんの数分前の台詞。
「帰るぞ」
彼は私の手を取って大股で歩き出す。
――あぁ、もう。これじゃあ彼氏彼女に見られちゃうよ。意図せずにさ。
君はどうして。
「バカ」
どうして、優しくするんだろう。解らないよ、全然。
俯く私には気づかなかった。彼の顔が赤いことに。
「――バカはどっちだよ」
彼のその呟きも。小さすぎて。
歩き始めて時間が経った頃、彼は声をあげた。
「――先輩っ!?」
その声に弾かれるように顔を上げれば、彼の家の前に誰かがいた。誰か、なのは逆光で顔が解らないから。
誰かは私達――いや、彼に走り寄る。近づいて解った。彼女は写真部前部長だ。
「遅くなっちゃったけど、頼まれてたやつ持ってきたよ」
白い封筒を彼に渡せば、前部長は私を見据えて微笑んだ。
キレイな人だと思う。ふわふわの髪に小さな顔。身長は高く、それがモデルみたいなオーラを放っている。女の私も見惚れるくらいだから、男の子は皆彼女に落ちそうになるかもね。大変だ。
「――可愛い」
前部長はそう言って、彼に耳打ちをする。彼はすぐさま躯を竦め、「それは絶対ダメです!」と首を振った。耳打ちだからなにを言われたのかは解らないけどさ。
「よ、用が済んだなら帰ってくださいっ」
慌てた様子で彼女の背中を押す姿はちょっと笑えるかも。
「また、ね」
私に手を振っているんだろうと思い、小さく振り返せば前部長は満足げに歩きだした。
視線を彼が持つ封筒へと遣れば、彼はいそいそとそれをカバンの外ポケットへとしまった。
「それ、なに?」
「なん、でもいいだろ。じゃあな」
顔を赤らめつつそのまま家まで走って行ってしまう。
「変なの」
――なんだろ。気になるけど、聞けないや。多分、私には関係ないことだろうし。
あの慌てようだとエッチななにかかな。予測だけど、それなら慌てるのも解るし。男の子だし。
残された私はそんなことを考えながら彼の隣の家に着いた。要は幼馴染みであり、お隣さんの関係なのだ。
部屋に入ればレースのカーテン越しに彼の部屋が見える。カーテンが閉められているので、中まで見ることはできないけど。
怪しいよね。やっぱエッチななにかっていうのは当たってたのかな。でも、聞いてないから正解とも言い切れないか。
「……一々気にして、バカみたい」
そう紡いで頭を振る。もう考えるのはよそう。ぐるぐる巡って解らなくなるから。
制服からジャージに着替えてベッドに横たわる。私の私服はジャージだ。動きやすいから。
目を閉じれば甦る彼の慌てた姿。ねぇ、いま考えるのはよそうって思ったじゃん。
「バカ」
私はバカだ。今更だけどさ。
気になって。気になって。気になって。でもなにも気にしてない風を装って。聞きたくて。聞きたくて。聞きたくて。でも、怖くて聞けなくて。
――勇気がない。それを盾にして、ずっときた。だから彼が誰を気になろうと関係ない。彼が誰を好きになろうとも関係ない。気になろうとも。聞けなくとも。そうしたのは、他でもない私自身だから。
「――バカだぁ……っ」
溢れる涙が頬を伝い、掛け布団を塗らす。それはレースの隙間から漏れる茜に輝いた。
これじゃあ探せないな。こんなもやもやな気分じゃあ、いい被写体は見つけられないだろう。
謝ろう、かな。探せないからごめんって。許してくれるよね。振り回してごめんね。
□■□■□■
次の日の朝、顔を合わせずらい私は彼が迎えに来る前に家をでた。
どうやら私はそのまま寝てしまったらしい。携帯のアラームが鳴り出し、急いで起き上がり辺りを見渡せば朝日が差し込んでいて驚いた。
アレから記憶がないので、寝たに違いないと思う。 行き交う人の波に紛れて昇降口を潜れば、突如腕を掴まれた。驚きに躯を竦めて肩越しに振り返る。
「あ……」
そこにいたのは彼だった。
「なんで、先に行ってるわけ?」
彼は眉を顰め、肩で息をしている。どうやら走ってきたようだ。
「なんでって……なんと、なく……」
視線を逸らして紡げば、彼は腕を引っ張った。人の波に逆らう形なので目立っている気がする。
「ちょ、えっ、どこに、行くの?」
昇降口を出て、どこに行くのだろうか。問うが彼は無言。
ぐいぐいと引っ張られて連れてこられた先は校舎裏だった。
掴む腕が緩み、離される。
「あのさ、泣いた?」
「……泣いてない」
「目ぇ赤いけど?」
伸ばされた手が目頭に触れる。躯を竦めれば、彼はすぐさま手を離した。
「悪い」
「私も謝らなきゃダメなんだ。私ね、被写体探すのもう無理だと思う。だから、ごめんね」
そう言えば彼はカバンからなにかを取り出した。それを私に渡す。
「これって……」
昨日の封筒だよね。形も同じだし。
「中、見ろよ」
「え?」
「いいから、見ろ」
視線を逸らす彼を見据えれば頬が赤い。なぜだろうと思いながら封筒を開けた。
そこにあるのは、写真だった。
「写真、だよね。これ」
恐る恐る取り出せば、そこに写るの私だった。何枚もある写真全て。廊下で友達と歩く姿や教室で佇む姿が写っている。
「っえ……?」
どうして。なんで。私の姿が写っているのか。
「先輩が撮ってた写真、プリントアウトしてもらったんだよ。先輩、可愛いものが好きだから……。昨日だって、「わたしがもらっていい?」って、耳打ちしてきたんだよ」
「もらうってどういうこと?」
「付き合うとかじゃなくて傍に置きたいって意味」
「ダメって言ったのは?」
付き合うって意味じゃないなら、話をしてみたいし。
「――っ……き、だから……」
「聞こえないんだけど」
小さくて全然聞こえない。
「好きだから!」
「好きって、誰が誰を?」
なにを言われているのかいまいち飲み込めない。そんなこと言われるなんて思ってもみなかったから。
「俺がお前をだよっ。お前も、俺が好きだろ?」
「――はっ!?」
言ってないじゃん、そんなこと! 一言も言ってないのに。解るわけ、ないのに。
「な、ななななっ、なんでっ!? なんでっ、知ってるの!?」
「そんなの、見りゃあ解るって」
慌てる私を他所に、彼は手の中にある写真と封筒を取った。
「ずっと見てた。そしたら気づいた。コイツ俺が好きだって」
「――何時から?」
「覚えてねぇよ、んなことは。あと、これ。コンクールに送るやつ」
封筒と写真をカバンにしまいこんでからもう一度カバンを探り、中から透明カバーに入れられた写真を取り出す。それは夕焼け空の写真だ。この風景は屋上から撮ったものだろう。
「――好きだろ、空」
「好き……大好きぃ」
どうしよう。涙が止まらない。
「泣くなよ、バカ」
彼は小さく笑ってから、私にキスをした。
「ふぁえっ!?」
驚きに目を見張り彼を見据える。
「嫌、だった?」
その言葉に頭を振れば、彼は私を抱きしめ、もう一度唇を塞ぐ。
「やっと両思いじゃん、俺ら。長かったなぁ」
彼の笑みにつられるように私も笑みを溢し、彼の背中に手を回した。
end.
2010/11/12
【 あとがき 】
最後までお付き合いありがとうございました。
◆ 執筆時期 ◆
執筆開始 : 2010/7/15 - 執筆終了 : 2010/11/12