表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君は、  作者: 千草色
1/21

prologue

 本当は、オリオン座なんて好きじゃない。あまりにもありふれていて、新鮮さに欠けるから。

 それでも私は毎年探す。見つけられない年があっても、私の冬からオリオン座が消えることはなかった。——「初恋」、なんて陳腐なことを言いたくはないけれど。

 暖かい部屋の中、冬の澄んだ夜空に輝く七つの星が閉じた(まぶた)の裏に浮かぶ。街灯の明るさで、真ん中の三つがほとんど消えてしまっているオリオン座。

 周りに街灯がない山の頂上で見た綺麗なのも知っているのに、一番に思い描くのはいつだって霞んだ星たちだ。

 ——あれがオリオン座らしいよ。リボンを斜めにしたみたいな形の。

 懐かしい声が耳の奥で響く。あんなに大きいんだ、と驚く私に、君が笑って頷く。

 ——僕もそれ思った。問題だとあんなに小さく書いてあるのに。

 あの頃ちょうど理科で天体をやっていたんだよなあ、と思い返す。問題でよく出てくるオリオン座って意外と本物見たことないよね、なんて話した三日後くらいに君は教えてくれた。

 高校受験が近づいてきて、同時に卒業を意識し始めて、受験勉強に追われながらも感傷に浸らずにはいられなかった冬。

 ——あれから紆余曲折を経て辿り着いた今を、私は愛している。

 だから。

 私は、薄れていく意識をそのまま手放した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ