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っち。取り敢えずお前は死ねよ」

 押しのけられ、私の体は仰向けに倒れた。

 今日も天気いいなぁ。空が青い。


 目の前がぼやけてきた。涙か、血か、意識が遠のいてるのか。痛みも、もう私にはわからない。

 多分男が包丁を振り上げてるんだよね。朧気ながらそうみえた。


 こんな状態なら変なことされる心配はないよね。

 ていうかどうせ死ぬんだから、そんな心配なんてしなくても良いのよね。


 死んだ後の体なんて私じゃないから、その後でどうされようがどうだっていい。


 それよりも。

 

 もっと、もっと悠太と遊びたかった。もっと菜月と。もっと涼夏と。もっと雪人と。もっと悠太とイチャイチャしたかったよぅ。

 

 死にたくないよ。やっぱり死にたくない。

 

 だけど男は直ぐに私を殺しはしなかった。

 ナイフを振りかぶるだけで何にもしないの。

 私の上に跨って見てるだけ。楽しそうにニタニタ気持ちの悪い笑みを浮かべたまま。

世の中にはごく1部だけどいるみたいね。信じられないけどアニメにたまに出てくるやつ。あの、生命が失われる瞬間を見て快楽を得るタイプのサイコ野郎。


 この時ばかりは私も早く殺して欲しいと願ったよ。


 殺るなら早くしてよ。未練ばかり残るじゃん。つーか呪ってやる。悠太が狙われないように。呪殺してやる。


 ってね。


「姉ちゃん!」


 聞き慣れた声が聞こえたかと思えば、私のぼやけた視界から急に男が消えて、目の前には顔をぐちゃぐちゃにした悠太がぼろぼろ泣きながら私を見てた。


 夢?幻覚?そう思いながら、目線だけを動かすと確かに私の体は真っ赤に血に濡れてた。

 じゃあなんで?


「お姉ちゃん!ごめんね、ごめんね!」


 菜月もいた。2人とも私に縋りついて泣いてる。最後に神様が見せてくれてる?

 いや違った。すぐ近くに頭から血を流しながら倒れたまま動かない男が倒れていた。


「……ち、が、やたの」


 どっちがやったのか聞きたかったのに声がでなかった。

 大方悠太だと思うけど。


「救急車呼んだから喋らないでお姉ちゃん」


 無駄だよ。意識あるのが奇跡。全身穴だらけ。もう抱かれてる感覚すらなかったり

 でも最後にみたい顔を生きてる内に見れて良かった。


「姉ちゃん死なないよな!死なないで!俺姉ちゃん大好きだから!」


 この間姉ちゃん嫌いって言ってきたの気にしてたのかな。可愛いやつめ。

 だから私もお姉ちゃんとして、2人に言って上げたかった。


 全身全霊葉月ちゃんだね。


「な、き、ゅーた」

「しゃべらないでって!!」

「姉ちゃん喋っちゃダメだよ」

 今言わなきゃ。もう直接言え無くなるんだから。



 

「愛してる」


 言えた。

 本当はもっと伝えたいことあるけど。

 この姉弟ならこれで伝わると、私は信じてる。


「ここまでが私の最期の日かな」

「それで、この後私が死ぬんだよね」

「うん。巻き込んで本当にごめんね」

「葉月が悪いわけじゃないよ。悪い人は殺した人と、お願いした人」

「たまたまそこに居たとはいえ狙われてたのは私たちだから、巻き込んだのは事実じゃん?お姉ちゃんは自分が許せません」

「じゃあ、何でも言う事聞いてくれる?」

「いいよー。どうせ時間は無限にあるから、お姉ちゃんに話してみなさい」

「んー。私のお姉ちゃんは麗奈だけなんだけどなあ」

「お互い姉と妹同士だから気にする事はないよ」

「たしかに。じゃあ葉月お姉ちゃん、次は真姫のお話聞いてね」


「うん。聞いたげる」

 


 

 

これにて葉月ちゃん編はおしまいです。

まだまだ続きますので、良かったらブクマ、感想聞かせてくれたら僥倖!!

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