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 広い公園で、よそ見してたとは言え、ぶつかるとは思えない。

 わざとかな?文句を言ってやろうと思って前を向いたの。



 目の前には帽子を目深に被った身長の高い男が立っていて、視線が私の顔より下を見てた。

 私も視線を下に持っていくと、私のお腹から木の柄が伸びていて、その柄を男が握ってた。


 服からは赤い血が滲んでる。


 その時になってようやく気付いた。


「っあぐ」


 気づいた瞬間、とてつもない痛みが来て無意識に声が漏れたよ。

 でも痛がっては居られなかった。目の前の男が私を刺した。

 


「菜月!!下がりなさい!!」


 菜月に指示を出して悠太を背負ったまま、男の膝に向けて蹴りを放った。


 蹴りは男の膝に当たったんだけど、男が下がる瞬間に包丁が抜けた。凄いね、噴水みたいに血が吹き出したんだけど、それでも倒れちゃいけない。


「葉月ちゃん!血が!」


 私は菜月が駆け寄ってきそうなのを片手で制して男を見すえた。

 男は真っ直ぐ私を見ていた。いや、正確に言うと男が見てたのは私の後ろにいる悠太だった。


 そう、狙われてるのは知ってたんだけどね。まさか白昼堂々来るとは思わないじゃない?


 ニュースでは通り魔の犯行だって言われてたけど、あいつは確実に悠太を狙ってた。

 とにかく、ただの通り魔じゃなかったの。


「っはぁ、どこの誰だか、知らないけど……私を刺して生きて帰れると思わないでね」


 精一杯の強がり。本当は怖い。痛い。すぐにでも逃げ出したかった。

 でも私が背を向けたら男は確実に悠太を刺しに来る。


 例え私の命が燃え尽きようと、引く訳にはいかない。何故なら私はお姉ちゃんで、春日葉月だから。


 その時の悠太?ショックを受けてたのね。私の背中で震えてた。


 可愛そうに。でも大丈夫。お姉ちゃんが守るから。

 その一心だったわ。


「……」

 男は何も喋らなかった。

 代わりに包丁を構えて間合いを測りながらジリジリと距離を詰めてきた。

 

 射程圏内に入ったら包丁を蹴り飛ばして、飛び蹴りで決めてやる。

作戦を決めて、膝を落として構えた。

 悠太を降ろしたかったけど、待ってはくれなかった。


 

 間合いに入ってきた男の腕に蹴りを放つが、蹴りは空を切った。

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