3頁
悠太は真下を見ながらわなわなと震えていた。
まさか……いまのジャンプでトラウマに?
そんなの悠太のお姉ちゃん失格じゃない!
嫌われたらどうしよう。私生きていけない!と思った私は凄く焦った。
「ちくしょう!こえらんなかったー!!!」
ただ、悔しかっただけみたい。
ホッと胸を撫で下ろしつつ、しゃがみこんで地面に倒れたままの菜月と悠太に目線を合わせて
「お姉ちゃんの奢りでお菓子買いに行こ」
せめてものお詫びのつもり。この際好きなものを買ってあげよう。
「やだ!!」
「なんで、お菓子嫌いじゃないでしょ?」
「だって俺まだ成功してないもん!」
マジかーここで負けず嫌い発揮するかー。するよねー私の弟だもんねぇ。そんなとこも可愛いの。
「成功しないで食うお菓子より成功して食うお菓子のがぜってー美味い!!」
起き上がって服をパンパンと叩いて悠太は言った。
「ゆ、悠太?もうやめよ?」
それを止める菜月。無駄よ。こうなったら絶対辞めない子だもの。
「よーしよく言った!それでこそ私の弟だね!飛べたらお菓子と言わず何でもお願いを聞いてあげよう!」
「俺も姉ちゃんみてえになりてえ!」
正直有頂天でした、この時の私。
「葉月ちゃんものせないのー!!!」
菜月が言うが知ったこっちゃない。次失敗しそうになったら私が抱きとめるんだ。ふふん。
「見てなって菜月。悠太は飛べるよ」
「そんなの出来たって何にもならないじゃない!」
ブランコの飛距離が凄いだけじゃ何の自慢にはならないけど、成功例が必要なの。
長男として父からプレッシャーばかりかけられてる悠太には特に。
自信がつけば何だって挑戦できるんだから。