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春日葉月は弟妹への愛を語り、自らの死を語る。1頁

 白い壁、白い天井。薄暗い照明にぼんやり照らされたベッド。

 私は今自分の体を見つめている。

 私の体は今薄暗い霊安室のベッドの上に横たわっている。

 鏡や映像で見る自分の顔とは違って、自慢じゃないけど中々綺麗な顔立ちをしてる。


 今触ったら冷たいんだろうなあ。


「人間、そう簡単には死なないと思っていたけど、案外ぽっくり逝っちゃうものなんだね」


 自分は死なない。と言う絶対的な自信があった。

 私は昔から習い事の武術、剣道、ピアノ、学習塾など……始めたものは全て賞を取るほどになんでもできた。

 それによってお父さんの中で双子の妹と確執が生まれてしまったのは良くないけど。でも私は知ってる。お父さんは菜月と悠太の事も溺愛してる事を。


 本当はあの子の方がスペックが高いのに、あの子の天然さと優しさが邪魔をしてるだけで、もしあの子が本気を出したら私なんて足元にも及ばない。


 でも、あの子はそれでいい。

 あの子は優しいだけじゃない心の強さを持ち合わせてる。

 きっとこれからは菜月が私の代わりに悠太を守っていってくれるはずだから。


 代わりなんて言ったら、あの子に失礼ね。あの子のやり方で導いてくれる事を期待しているわ。


 むしろ心配なのは弟の方かな。そう。悠太、可愛い顔してたでしょ?


 あの子には私の全てを叩き込んできたわ。

 長男だから家督を継がせる為とかそういうのはどうでもいいの。私はあの子を理想の旦那に育て上げたかっただけだから。


 え?歪んだ愛?うるさいわね、私はお姉ちゃんなんだから弟を溺愛して当然なの。


 悠太は凄いのよ。可愛いのは当然として、私たち姉妹の良いとこ取りね。あの子は。

 教えた事をなんでも吸収しちゃうし、出来なかったら意地を張って出来るまでやるの。


 私と菜月のハイブリッドよ?最強じゃない?

 え?どっちがどっちって?

 よく勘違いされるけど、私が努力の人で菜月が天才型よ。


 あー。あの子の奥さんになる人が羨ましい。ちくしょう、育てて取られるなんて本当寝取られ気分で屈辱的よ。


 どうか菜月に取られませんように。


 そんなにハイスペックならお姉ちゃんの旦那さんに?ああ、確かにあんたの姉ならお姉ちゃん属性を持ってるから、うちの子と気が合いそうね。

 

 うーん。嫌だけど。めちゃくちゃ嫌だけど。そうなってくれた方がまだマシね。こっちに来たら私と共有させてくれるならギリ許す。

 

 菜月は現世でこれからずっと、悠太と一緒に居られるんだからこっちに来たら、その年数分は我慢よ。我慢。


 とまあ、私の弟妹はこんな感じよ。

 本当に自慢の2人。愛してやまないわ。

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