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お題シリーズ6

流されるしかない風船

作者: 枯谷落葉
掲載日:2023/08/05



 一瞬の油断で、おいらの体がふわりと浮かんだ。


 あーあ、手を放しちゃだめっていったのに。


「あっ、ぼくのふうせん!」


 持ち主が手を離したとき、おいらの体はふわり。


 狙ったかのように風がびゅおっと吹いたから、おいらは持ち主から一気に離れていってしまう。


 持ち主の男の子が慌てて追いかけるけれど、おいらはもう空の中。


 こうなったら、もう戻れないな。





 おいらは風船。


 伸び縮みする素材に空気を入れて、ばーんとふくらむまぁるい体が特徴なんだ。


 空気が逃げないようにひもでしばれば、それだけで簡単につくれるよ。


 だから、お祭りの時とかには、たくさんのおいら達が作られてる。


 材料が安いし、作るが簡単だからはすぐできちゃうのがいいのかもね。


 おいらは、どこでもひっぱりだこの、人気ものなのさ。


 でも注意が必要だ。


 おいら達は軽いからね。


 風がちょっと吹いただけでもあっという間にさらわれちゃう。


 だから持ち主になった人達は、おいら達が飛ばされないように、しっかりと握ってなくちゃいけないんだ。


 そうしないと、二度と戻ってこないかもしれないからね。







 びゅう、びゅう。


 すごい勢いで風が吹いてる。


 おいらは、どこまでもどこまでも、とばされる。


 持ち主の姿はもう見えなくなっちゃったや。


 しょうがない。


 これも運命だ。


 そう思ったおいらはのんびり、空の旅を満喫。


 持ち主との触れ合いは短い間だったけど、これはこれで悪くないさ。


 おいらは風船として生まれてきた、風船として必要とされたんだから。


 生み出されても、持ち主の手に渡る前にとばされちゃうものも、わずかにあるからね。


 おいらは風船としての仕事をやりおえる事ができたのさ。


 それに。


「ぴい! ぴい!」


 巣立ったばかりの、飛びつかれた小さな鳥さんが、おいらの上に落ちてきた。


 つい先日までヒナだった子だね。


 不安そうにしてるや。


 空に飛ばされてると、こういう事もたまにはあるから。


「ぴい?」


 おいらがいて良かったね。


 鳥さん。


 元気になるまでおいらの体の上で休んでいるといいよ。

 

「ぴい!」


 ほら、案外こんな人生ーーじゃなくて風船生も悪くは見えないよね? 



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