ミツバチ酒を飲まない男3
「おい!鎧を脱げ!反則だろ!」
コウリーはうるさく言う。
「すまないが脱ぐことはできないな」
「へっ!鎧がないと怖いか!まあいい。俺のパンチは鉄をも砕くんだ。おら!!」
するとコウリーは、右ストレートを放つ。傭兵の男は、するりとかわす。右拳が空を打ち付ける音の威力を聞くと、さっき言っていたことは嘘ではなかったようだ。しかし、このパンチに全力を賭けていたのか、コウリーは、右側に体勢を崩しよろけてしまう。この隙を傭兵の男は見逃さなかった。すかさず左ストレート、右そしてアッパーと攻撃を繰り返す。コウリーは、激しくカウンターに打ちつけられた。そして、容赦なく腹に蹴りで攻撃を喰らうと、今まで食べていたものをすべて吐き出して倒れてしまった。酒場は、大盛り上がりである。
傭兵の男が言った。
「そういえば、名前を言ってなかったな。俺の名前は、
レドアム。しがない傭兵さ。依頼があったらまたよろしく。喧嘩の申し込みも大歓迎だが、次からは金をもらうぞ。」
コウリーは気を失っており、聞こえていなかった。しかし、レドアムも自己紹介を聞かせるつもりはなかった。喧嘩を売ってくる相手になど名前を覚えられなくない。
大歓声の聴衆を掻き分け、レドアムは、酒場を出て行った。