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氷の王子様はなぜか俺にだけ当たりが強い  作者: 夜闇
第1章  すれ違う思い
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第4話  全種類制覇しろ!

 「あ〜!」

行列を乗り越え、カフェに入ると、俺は声をあげた。


「はい千隼ちはや、落ち着いて〜。」

友達に肩を掴まれ、とりあえず席に座らせられる。


「だって、あんなにたくさんスイーツがあるんだよ!?ほっておくわけに行かなくない!?」

「大声を出すな。食べ放題だから。九十分あるから。だから一旦落ち着け。」

「全種類制覇してやるっ!」

「人の話を聞けっ!」

プンプン怒る友達を無視して、俺は席を立つ。


 「え〜っと、レアチーズケーキと、ガトーショコラと、いちごタルトと、シュークリームと、メロンプリンと………」


ここのバイキングは店員さんに頼んでショーケースの中からケーキを取り出してもらうんだけど、俺が告げる量に、店員さんが目を丸くしている。


 席に戻ろうとすると、


「ね、あの子あんなに小さくて細くて可愛らしいのに、あんなに食べるつもりなの?」

という声が聞こえた。


 小さくねーし!

可愛くねーもん!


 むくれて席に戻ると、友達は食べながら口をぽかんと開けた。


「おい、汚いぞ。」

俺が言うと、友達は慌てて口を閉じ、手を添えてから、


「おまっ………そんなに食べる気か!?」

「だって、全種類制覇するって言ったじゃん。」

「本気だったのかよ………」


 俺ら以外の三人が、次々に戻ってくるたびに、


「え、ちょ、それ何個………」

「お前の胃袋のキャパを教えてくれ。」

「胃もたれしねーの?」

と言うコメントを俺に授けた。


 俺は甘いものが好きだから、いくら食べても胃もたれなんてしない、はず………


 「このいちごタルト、うまー。いちご、甘!」

「メロンプリン、マジのメロンだっ!濃厚〜。」

「シュークリームのこの皮、何?もちもち、ふわふわ!」

「ガトーショコラのチョコ味濃厚だぁ!」

「チーズケーキが、チーズだぁ。ちょっと酸っぱいのもいいなぁ。下のクッキーも硬くて、上のチーズに良くあってる!」


 俺がいちいちあげるコメントを聞きながら、

「お前のを聞いてるとどれがどんな味か大抵わかるわ。」

「食レポうまっww」

などと友達は笑っている。


 あっという間に制限時間の三分の一が過ぎた。


このカフェのケーキの種類は全部で20個。

俺はその三分の一近くを食べ終わっていた。


 友達はだんだん食べるペースが遅くなって行き、俺が6個目を口に入れている間、四人中二人は頬杖をついていた。

俺の方を、よく食べれているなと、呆れたように見ながら。


 そして、俺が10個目を食べ始めた時。

さっきまで頬杖をついていた二人は眠りかけ、残りの二人はあくびをしたりスマホを触ったりしていた。


 ちなみに、俺が10個目を取りに行くと、店員さんは、


「頑張ってね。」

と応援までしてきた。


 一周回って、全種類制覇を願っているようである。


 俺はそれに笑顔を返し、前と変わらぬペースで食べ続ける。


ちらりと時計に目をやり、残り時間が二十分あることを確認。

頷くと、空になった皿を持って立ち上がった。


 店員さんたちは、

『え?』

とお互いに顔を見合わせている。


 頑張って、とは言ったものの、本当に制覇する気でいようとは思わなかったのだろう。


 唖然としている店員さんに、

「すみませーん。この列の五つ、くださーい。」

商品名をいちいち読み上げるのが面倒になり、右から順番に片付けて行った俺は一番左端の列を指差した。


店員さんはハッと我に帰り、営業スマイルを無理やり作り出すと、


「はい、どうぞ。」

と俺に最後の10個の乗った三つの皿をお盆に乗せ、手渡してきた。


「ありがとうございます。」

笑顔を見せると、店員さんは少し引きつった笑いを返した。


 席に戻ると、

千隼ちはや、腹一杯じゃねーの?残してもおれらもう食えねーよ?」

と、割とガチな顔で友達に言われる。


「大丈夫、5個くらいならまだ入るよ。」

にっこり笑って握った拳を見せると、そいつはため息を吐いてゲームに戻ってしまった。


 もはや俺の食べている様子を気にしていない。


 俺が全種類食べられるのを確信している友達と、半信半疑の店員さん、『すげぇ学生がいるww』と好奇の視線を向けてくる一般客。


あんまり見られてると食べにくいんだけど………

そう思いながらも、俺は目の前のケーキを次々に片付けて行った。


 もちろん、しっかりと味わって、だ。

こんな美味しいケーキ、ただ詰め込む奴はただのバカである。



 ───そして。

「あーむっ!」

と声付きで最後の一口を頬張った途端、友達は立ち上がった。


「帰ろう。」

「そうだな。本来の目的はタピオカショップだ。」

「ほら千隼ちはや、お腹いっぱいでも立って。」

「お腹いっぱいじゃないよ、そんなに。立てないほどじゃないから。」

俺の言葉に、友達だけではなく、一般の皆さんまでもが顔を見合わせた。



 レジに向かうと、女性の店員さんは、


「すごいねぇ。秋際学園あきぎわがくえんの生徒さんだよね?」

と聞いてきた。


別に制服でわかるので、頷いておく。


「そんな細いのに、よく食べれるねぇ。」

と笑う店員さんに、友達が少し顔を赤くしながら俺の肩を抱いた。


「こいつ、甘いものだけは良く食べるんです。」

俺を指差すそいつの顔を見て、それから店員さんの顔を見た。


 ───高校生、もっと行ってても大学生くらいだな。身長は167くらい。小顔で、結構可愛い。


 瞬時に分析すると、また友達の顔を見た。

もしかして、こいつ………


 口には出さずにお会計を終えると、


「待って!」

と叫ぶ声がした。


振り返ると、店内にいた女性が俺に手を伸ばしている。


「なんですか?」

「君、フードファイターかなんか?」

「違いますけど。」

ごく一般的な、ただの学生ですけど。


 「君、すごく良く食べるよね。それに食べてるときの顔も幸せそうで可愛らしいし。私はこういうものなんだけど………」

と言って、彼女は名刺を差し出した。


俺の両脇から、友達が覗き込む。


「プロデューサー?」

「そうなの。今度ね、学生だけの大食い番組を企画してるんだけど、学生ってなると出演者が足りないの。その人材集めであそこにいたんだけど………君、どうかな?」


友達が、

『すげぇな、千隼ちはや。やっちゃえよ。』

という目配せを送ってくる。


 「お誘いは嬉しいのですが………俺はテレビに興味はないんで。すみません。」

「そっか………君みたいに小柄なのによく食べる子が出たら、きっと盛り上がると思ったんだけどなぁ。ま、無理ならしゃーないよね。ありがとう。」

女性は俺に頭を下げ下げ、大通りを歩いて行った。


 歩き出すと、友達が俺を小突いた。

「おい千隼ちはや、テレビに興味ないなんて嘘だろ?スカウトされねーかなーとか時々言ってんじゃん。」

「そうだけど、大食い企画はちょっと、ね。俺、甘いもの以外は胃もたれする自信しかねーから。」

「お前の胃袋は甘いもの九割普通の食べ物一割くらいの割合でしか入らねーもんな。」

「ん………」


 学生らしい(?)会話に、傾きかけた太陽が微笑んだ気がした。

 読んでくださってありがとうございます!!

最後に投稿してから約一週間が経っている………


 ケーキ20個とか絶対無理。

吐く。


食べれる人いるんですか?


 それでは次の話でお会いしましょう!!

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