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氷の王子様はなぜか俺にだけ当たりが強い  作者: 夜闇
第1章  すれ違う思い
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第2話  氷藤涼貴の本音は

 「ただいま。」

ぼくはそう声をかけて家の中に入った。


 「あらぁ、早いのねぇ、涼貴りょうき。珍しいわね。」

母さんがタオルで手を拭きながらやってきた。


「うん。今日は塾に行かなかったんだ。」

そう答えて自分の部屋がある二階へ向かった。


 静電気が発生しないようにゆっくりと金属製のノブを掴み、部屋の中に入った。


 スクールバッグを机の上に放り投げると、窓の近くにあるベッドにダイブした。


 しばらくうつ伏せになってから、ぼくは起き上がって、窓のカーテンを開けた。


 「あ、千隼ちはや、帰ってる。」

ともらす。


 千隼ちはやというのは、ぼくの幼馴染で、フルネームは安達千隼あだちちはやという。


漆黒の髪が艶やかで、エメラルドグリーンの瞳を持っている。


優しくてしっかりしてて、ちょっと騙されやすいけど、とてもいい友達だ。


 ………なんだけど。


 ぼくは最近、千隼ちはやに冷たい、と思う。


 でもぼくは、千隼ちはやが嫌いなわけじゃないんだよ!?

ただその………


 さっきも言ったみたいに、千隼ちはやはとっても優しい。

一緒にいると落ち着くんだ。

そういうところがすごく好きだ。

もちろん、友達的な………いや、それじゃ足りないな。

家族みたいな感じで、すごく好きだ。


 でも、そんなこと言うと引かれるかもじゃないか。

千隼ちはやも困るだろうし。


一緒にいるとふとした途端にぽろっと言っちゃいそうだから、冷静な自分を保てるようにしてたのに………


 日に日に、千隼ちはやの顔が寂しそうになっているのがわかる。


でも、ぼくにはすぐに態度を変えて話しかけられるような勇気はないんだ。


 「あ、千隼ちはやカーテン開けようとしてる。」

そう呟いて、カーテンをじゃっと閉めると、窓枠に手をつき、その上に顎を乗せた。


頬を膨らませて、千隼ちはやの部屋をじっと見つめる。


 千隼ちはや、ぼくいなくても毎日楽しそうだなぁ。

友達多いもんね、千隼ちはや


 あーあ。

千隼ちはや、ぼくの態度とかどうとも思ってないのかな?

それなら、ぼく今更話しかけても大丈夫なのかな?


 どうなんだろう………


 カーテンを開いたままベッドの上に仰向けになった。

ため息をつくと、扉がカリカリ音を立てた。


 「?」

首を傾げて扉を開けると、足元にふわふわの物体がこすりついてきた。


「あぁ、ヨナかぁ。」

ヨナはぼくの家の犬だ。


ダックスフンドで、千隼ちはやにも結構懐いていた。


 「どうしたんだい?慰めにきてくれたのかい?」

ぼくが聞きながら抱き上げると、ヨナは


「クゥ〜ン」

と可愛くないた。


「も〜、お前は可愛いんだからなぁ。」

ぼくがそう言って頭をグシャグシャなでると、グーンと体をそらせる。


「はいはい、おろしてやるよ。」

と声をかけてゆっくり地面に下ろしてやる。


ヨナはゆっくりと一階へ戻って行った。


 「なんできたんだよ。気まぐれだなぁ。」

そう言いながらベッドに戻り、移動式の本棚に入っていた漫画をつかんだ。


 特に読みたいわけでもないのに、読み始める。



 それから数分がたった頃、下から母さんの声がした。

涼貴りょうき、ご飯よぉ〜、降りておいで〜。」

と、語尾を少し伸ばしたのんびりとした口調に心が穏やかになり、漫画を元の場所に戻す。


そのまま、扉をあけて下に向かった。


 「今日はぁ、ミートドリアでーす。チーズはモッツァレラにしてみたのぉ。」

と、料理好きの母は楽しそうに説明してくれる。


差し出されたスプーンを取って席につき、手を合わせる。

「いただきます。」

「はいどうぞぉ。」


 そうやって言われると、なんだかいつも食べる許可をもらった気分になる。

昔は、『いただきます』って作ってくれた母やコックさんたちのための言葉だと思ってたけど、違うんだよね。

母さんやコックさんが料理を作れるのは食材を作ってくれてる業者さんのおかげで、牛や豚たちがぼくらの生活のために死んでくれているから料理ができる。


 つまり、『いただきます』ってそのすべての人のための言葉なんだよ。


 それがわかってから、ぼくは『いただきます』をきっちり言わないと済まなくなった。


 「涼貴りょうき、最近学校どう?楽しい?」

黙々と食べていると母に言われ、頷く。


「うん、楽しいよ。」

「それなら良かったわぁ。あぁそうそう、最近千隼ちはやくんとはどうなの?」

「え………」

的確に、傷口をえぐってくる。


 確かに、今の千隼ちはやとぼくの関係は言ってないけど………


「最近、千隼ちはやくんの話しなくなったじゃない。なんかあったの?」

「う、ううん。なんでもない、よ。」

ぼくがごまかしの作り笑いを浮かべると、母さんはそれで納得した。


「ふうん。」

ぼくの笑顔の裏を読み取ったせいか、はたまたぼくの笑顔の表を読み取ったのか。


 どっちでもいいけど、納得してくれたなら。


 ぼくはドリアを食べながら、

「美味しい。」

「ん〜、チーズ最高!」

なんて母さんを喜ばせる言葉を連発していたけど、頭の中にあったのは、


千隼ちはやと前みたいな関係に戻りたい。』


という、強い強い願いだった。

 読んでくださってありがとうございます。


どうにか有言実行しました!!


 モッツァレラ、大好きです。

モチモチで、後すっごくお腹にたまりません?

めっちゃお腹いっぱいになるんですよね………

でも好きです。


 それでは読者の皆様、是非とも次の話でお会いしましょう!

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