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happy ending  作者: 雨木うた
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大切な娘

産まれた娘はとても愛おしく可愛らしく、片時も離れたくなかった。しかし両親にとっても初孫である為ずっと傍には居られなかった。

娘が産まれて4ヶ月目とんでもない事がわかった。叔母(父の妹)が身内に内緒で知人の借金の連帯保証人になっていたのだ。叔母が保証人になった相手は知らないが当人から借金の取り立てが出来なくなると、当然だが叔母の元へ取り立てが来た。この時、叔母の家族は叔母に「実家に戻れ」と自宅から追い出したのだが、何故か叔母は実家ではなく我が家に来た。

儀礼以上の付き合いの無い叔母だが、父に「兄妹なんだから助けて」と言い張り我が家に居着いてしまった。叔母の住民票も誰も知らないうちに叔母が我が家にしてしまっていた。

こうなると取り立ては全て我が家に来る。人も書類も電話も毎日。

4ヶ月の娘はインターホンが鳴ったり男性の大声を聞くと大泣きするようになってしまった。

私は両親に、叔母がこの家に居続けるのなら私達がここを出てアパートを借りると伝えた。

両親の返答は「外聞が悪いからやめろ。そのうち収まる」だった。

同席していた夫も「お義父さん達の言うようにしよう」と言った。

叔母はそ知らぬ顔をしていた。

私は夫に「娘が可哀想じゃないの?インターホン鳴る度に、男の人の大声が聞こえる度に大泣きするんだよ?赤ん坊がこんなに怯えてるんだよ?何とも思わないの?」と詰問したが、彼は昼間仕事で居ないからか子供に愛情があまり無いからか「叔母さんも聞いてる場所で言う事じゃないだろう」とだけ言った。

翌週、私は娘と2人でアパートに移った。勿論アパートの住所も、アパートに移る事も知らせず「この家より娘の方が大切なので落ち着くまで戻りません」と一応置き手紙だけはして出た。

それくらい酷い状況だった。

当事は携帯電話が普及し始めたばかりだったから私は自分の電話を持った。信用出来る友人とは携帯電話を使って連絡していた。

家賃や生活費は今まで働いて貯めたお金を充てた。

インターホンが鳴らない、男の大声がしない生活は娘を少しずつ落ち着かせてくれた。

娘だけでなく私にとっても静かで穏やかな日々だった。


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