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happy ending  作者: 雨木うた
4/7

無自覚の刷り込み

両親は私に対しての愛情等はやはり特に無く、有るの支配欲くらいだった。

中三の時、高校受験する前の三者懇談で私は県外の公立高校を希望したが同席していた母に一蹴され、県内の私立の女子校に決められた。

当然直前まで何度も抵抗したが両親は「家を継ぐのに県外に出る必要は無い」「金を出すのは俺達なんだから決めるのも俺達の権利だ」と言っていた。

担任からも早く決めてくれと急かされ、結局両親の望んだ女子校に進学した。特にやりたい事もしたい勉強も無い学校を楽しめる筈もなく、惰性で通学していた為、3年間はあっとゆうまに過ぎた。

高三の個人懇談で進路を決める話の時、担任は私から話を聞こうとしてくれたが母が勝手に喋りだした。私を地元の会社に就職させると言い出した。

私は咄嗟に「違う!」と言い、取りたい国家資格があるから、他県にある専門学校に通いたいと担任に伝えた。

担任は私と母の考えが違いすぎる為、家で話し合って貰いたいと言い、その夜両親と話す事になった。私は奨学金制度を利用して専門学校に通うと伝えると、父は激昂し「奨学金だと?近所に恥を晒すつもりか!」「家を継ぐ人間が他所に住むのはおかしいだろう!」「逃げる気だな?!」と怒鳴り、母は「今まで良い子だったのに何故逆らうの?」と泣き、挙げ句の果てに彼等は「おかしな男にでも入れ知恵されたんだな!?」と私を罵った。

私に恋愛等する精神的余裕は皆無だったが、有り得ない事を言われたが言い返せなかった。

怒りで頭が真っ白だったのではない、今どうしていいかがわからなかったのだ。

祖父母から離され引っ越した日から全てを両親に管理され自由になるのは本を読む事だけの私は、気付いた時にはただの木偶の坊だった。自分の意思を両親に伝える事は出来るが彼等を説き伏せ意思を押し通す事等爪の先ほどすらも考えなくなっていた。

見捨てられたら生きて行けなくなると知った初潮を迎えたあの日から、私は私でなくなっていたのかもしれない。

単なる「跡取り娘」でしかなくなっていた。

その事を自覚した私は全てを諦めた。

高校卒業後、地元の会社に就職したのだ。

高齢の祖父母は喜んでくれたし、両親は満足していた。

ただ、私が自分では何も考えなくなっただけ。楽な方へ逃げただけだ。





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