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happy ending  作者: 雨木うた
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言葉の呪い

「良い子」を辞めても赦されますか?

一番古い記憶の中で、私は裸で台所に走らされていた。祖父と父の喧嘩を止めてこいと祖母に風呂場から押し出されて。

祖父と父の喧嘩は毎日あった。元々の原因は知らないが毎日喧嘩していた。

だからか私の古い記憶の中では物の壊れる大きな音や怒鳴り声ばかり残っている。

祖父と父が毎日喧嘩していた時、祖母と母は幼い私から見て「泣く」か子供(私)を使って止めようとする程度で、今にして思えば2人は祖父と父が喧嘩してようが本音はどうでもよかったんだろう。まぁその程度の喧嘩だったのだろう。

両親は共働きで祖父母は農業をしていた。

両親は帰宅も遅かったので私の子守りは必然的に祖父母がしてくれていた。

そのせいかは判らないが私は両親と一緒に眠った記憶が無く、両親の事は苦手で毎日祖父母と寝起きしていた。

父と喧嘩していない時の祖父はいわゆる普通のおじいちゃん、とゆうよりかなり面白い人だった。

収穫した野菜を市場に出荷するからと私を「ドライブ行くか」と市場に連れて行ってくれ、その帰りにカウンターのお鮨屋さんに連れて行ってくれたりしていた。

当然祖母に叱られていたけど、それでも私を連れて色々出掛けてくれた。

反対に祖母は普段とても厳しい人で、箸の遣い方や茶碗にご飯粒を残してはいけない理由やら明らかに幼児には無茶な指導をしていた。

でも夜眠る時は祖父母は毎晩優しかった。

夜眠るまで何度もオルゴールを鳴らしてくれたり、私がなかなか眠れない日はおぶって一緒に星を見てくれたり、真冬に私がおねしょした時は叱りも怒りもせず私を着替えさせて私を濡れてない側の布団に寝させ祖母は私のおねしょで湿った側の布団に寝てくれていた。

そんな優しい祖父母と苦手な両親だが全く同じ事を私に言っていたのだ。

「大人になったらお婿さん貰って家を継いでくれ」「良い子だからそうしてくれるよね」と。

幼い私にはよく意味がわからなかったけど「私」が「良い子」にしてたら祖父と父は喧嘩しないかもしれないし、優しい祖父母の望むようにしていれば祖父母が笑っていられると思った私はとにかく祖父母の望みを叶えなければと思うようになってゆく。



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